- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309462929
作品紹介・あらすじ
一九四〇年代アメリカ。チナスキーは様々な職を転転としながら全米を放浪する。いつも初めはまじめに働こうとするが、過酷な労働と、嘘で塗り固められた社会に嫌気がさし、クビになったり自ら辞めたりの繰り返し。そんなつらい日常の中で唯一の救いは「書くこと」だった。投稿しては送り返される原稿を彼は毎日毎日書きつづける。嘘と戦うための二つの武器、ユーモアと酒で日々を乗り切りながら。ブコウスキー二〇代を綴った傑作。映画『酔いどれ詩人になるまえに』原作。
感想・レビュー・書評
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H30.9.1 読了。
・転職と解雇、女とセックス、酒浸り。まさに表題通り、勝手に生きろですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
チャールズ・ブコウスキー『勝手に生きろ!』河出文庫。
酒まみれの自由自在な人生。何とも破天荒で自由な生き方は、逆に死に急いでいるのだろうか……カルト的な人気を持つチャールズ・ブコウスキーの自伝的な小説。
1940年代のアメリカをチナスキーは職を転々としながら、放浪する。酒まみれ、女まみれの放蕩暮らしで、いつも仕事は長続きせず、それでも作家として書き始めた原稿は少しずつ出版社に採用され始める。
確か北野武が『町でいちばんの美女』を絶賛したことがきっかけで人気が出たのではなかったかな。 -
チナスキーの生き様は波乱万丈だ、一旦職にありついても、サボってすぐにクビになる。それを永遠と繰り返している。けれど著者であるブコウスキーはあとかぎでもある通り公務員を50年勤労していたのだから面白い。反社会的な小説だった。
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酒や女に溺れて職場を転々とする青年の話。
自己啓発とか心理学の本よりよっぽどまいった精神には効くかも -
あまり外国文学を読まない僕が、唯一と言っていいかもしれないほど目にすれば読んでいるのがチャール
ズ・ブコウスキーである。
この【勝手に生きろ!】はブコウスキーの20代を自伝的に綴ったもので、映画【酔いどれ詩人になるま
えに】の原作でもある。
ブコウスキー作品の特徴は、本書のあとがきで訳者の都甲氏が書いている言葉がとてもよく的を得ている
かもしれない。それは「みもふたもない」という事だ。ありのままを書く。現実の世界を書く。それがブ
コウスキーだ。アメリカンドリームなんてあるわけない。そんな世界を自分の目線で、自分の言葉で書き
連ねていく。けして高尚な文学ではないが(ブコウスキー自身、高尚な文学など書こうと思っていな
い)、それゆえに共感できるものが多いのだろうと思う。
自称、作家の主人公チナスキーは、いつも初めはまじめに働こうとするけれど、過酷な労働と、低賃金に
嫌気がさしてクビになったり逃げ出したりしながら、酒と女とギャンブルに逃避する毎日。そんな中でも
「書くこと」はやめず原稿を投稿しては送り返されの繰り返し。どこを切り取っても同じような毎日をた
だ繰り返しているだけだった。最後の最後までそのまま。物語として大きな盛り上がりがあるわけでもな
く、ドキドキするような展開があるわけでもない。ただただ、どうしようもない、ろくでもない毎日のこ
とを綴っているだけである。それでも僕がこの作品に惹かれたのは、カッコつけるわけではないが、そこ
にロックを感じたからだ。ブコウスキーの生き方、この作品ではチナスキーであるが、彼の生きざまは
ロックである。社会に対する不満を叫び、逆らう。しかしそこには優しさもあり愛もある。
弱いものの立場から見える社会を描き、きれい事は言わない。言うなれば、泥臭い。けれど、それが彼が
見てきた、経験してきた真実なのだ。だからリアリティがある。
社会の底辺からバカヤローと叫んでみる。ふんぞり返る偉い人たちに一泡ふかせてザマーミロと叫んでみ
る。逃げるのではなくて闘うからこそ不満だったり、痛みだったりが出てくるのだということをわからせ
てくれる作品だ。はっきり言ってろくでもない大人ではあるが・・・そこで見い出せるものは計り知れな
いほど大きなものであると僕は思っている。
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セックスと水よりもよく飲む酒で失敗し続け、転職を繰り返す話なのだが、不思議とこの反復が癖になる。不思議とちゃんとコンドームを使っているのか、子どもができてしまわないのが不思議だった。「ピンプ」ほどの暴力描写はなくて、女性には不足しない、男の放浪と放蕩の人生が描かれている。途中、日本人女性が出てくる。画材屋で働いていたときの場面か。いざ、事に至ろうとしたときに、童貞の人間に邪魔されてクビになる。色をごまかして販売している。朱色じゃないのに、朱色のラベルを貼って売っていたり。底辺の仕事をしながら、それぞれの職場にある、嘘や労働のきつさを描き続ける。様々な労働者が出てくる。社会の片隅で、金持ちが絶対に見ることができない……見えない人間たちが描かれている。その見えない人間たち同士での、削り合い、ののしり合い、奪い合いのなか、退職金の小切手片手に次から次へと働ていくチナスキーは、読んでいくうちに、だんだん共感というか、追いかけたくなる人物になっていく。履歴書をごまかしたり、大学に行っていたことを消して高卒にしたり、小説が雑誌に載ったことを話したり、この社会が嫌で嫌でたまらない、言葉にできない嫌な感じが、チナスキーのむちゃくちゃさを通して長い時間をかけてにじみでてくるところがよかった。あと、女性が暴力をふるわれて従順に従う……ようには描かれておらず、つねに、輝いていて、向こう側にいるような、遠い存在としてある。やりまくってるのに、遠い感じがする。逆レイプみたいに、襲われるところもあるし、マッチョな感じの小説でもない。しかし、解説にもあったけれども、ブコウスキーの素晴らしいところは、郵便局員として、長く仕事を務めてきた、真面目なんだか、飲んだくれなんだか、わからないところ。ここがやっぱり、心に染み入る鍵のところのような感じがする。
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なんてだらしない主人公だ!
でも、そんなところが好きです。 -
著者のブコウスキーの自伝的な小説です。
主人公のチナスキーは、飲んだくれて、タバコを吸って、女と寝て、たまにありついた仕事はクビになっての繰り返しです。(^^;
ある意味どうしようもない人なのですが、そんなチナスキーにどこか愛嬌を感じます。そして、そんな彼の生き方をみていると、人生意外となんとかなるもんだと思えてきます。 -
これからの日本人に必要な器量。ロングセラー
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映画もいいんだよねえ