花のノートルダム (河出文庫)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 162
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463131

感想・レビュー・書評

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  • それは汚物と体液と腐臭に塗れた、ひとつのサーガだった。緊張した意思の、時には酷く辛い努力によって齎された眼が語る、強烈な詩だった。人殺しの密売人の泥棒のごろつき達が、悲劇のレチタティーボを歌う。身に纏う幸福を一枚一枚剥がされ、老男娼は聖女となった。糞尿の海での溺死。嫉妬も怒りも嘆きも愛も身に纏いながら、月は荘厳に昇る。

  • さっぱり分からなかった・・・。下ネタの部分しかほとんど頭に残ってなくて、自分の読解力がほんとに悲しくなる。
    でも都市の裏側で生きている人たちの感情を描いているところが当時は新鮮だったのかなぁ・・・。なんてことは漠然と感じた。

  • 暗い。そしてドロドロしているだけで特に中身はない、、、気がした。嫌い。。

  • すごく昔に堀口大學訳で読んでるんですが…そちらはもう絶版なのかな。手に入るこちらで読み直してみて、こんなに難解だっけ?と思ったのですが、もしかして訳の印象もあるのかなあ。まあ面白かったですけど。

  • うーん…ね? いろいろと本質的なことが描かれているような気はする。ところどころハマる。でもなぁ……
    自分に合わないだけなんだろうけど、これをきちんと理解するには仏語を理解し原文で読む必要がありそう。
    原文のイメージやリズムを壊さず伝えようとしているのかもしれないけど、日本語訳がヘン。脳内で言葉を換えたりするとスムーズに読めたり。
    今のところ、ほかの作品を手に取ることはなさそう…

  • 聖水と精液は同じだし汚物を吐くのと繭を吐くことも同じ。
    脆弱は華奢、堕落し背徳するは天への埋葬と同義語。
    悪は正義。殺人強盗も喜ばれる事項として処理される。
    ジャン・ジュネはピカレスク小説を純粋なる童話へ昇華させた。
    くるりくるりと廻る世界に絶対的基準も標準もない。常識も神も死んだ。
    あるのは破門された聖女の聖歌とエゴイズムな娼婦の画像。
    澱んだ聖性は汚物に塗れ再び聖餅として胃袋に収まるのだ。
    ある種のアポトーシスが完成し瀟洒な聖堂が建築される。
    時代と供にジャン・ジュネの感性は広がり乱反射されるのが、
    私の望みであるとともに繊細なこの文学の瀰漫の排列を望むのだ。

  • 昔カッコつけて読んだけど相変わらず意味不明で自分が成長していないことが確認できた。まるでSF…

  • 味わうには色の濃い作品。これが処女作だなんて信じられない、と思っていたのも束の間、さらりと読み終えてしまいました。
    彼の精神的な世界を垣間見て、どこかうっすらと汚れた沢山のものが、煌めいて、嫌な笑みを零しているんじゃないか、と思ってもみたり。

    (2010.09.04)

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著者プロフィール

ジャン・ジュネ(Jean Genet)
1910年、パリで生まれる。父は不詳。七ヵ月で母親に
遺棄されモルヴァン地方の指物師の家の養子となる。
小学校卒業後わずか一〇日で職業訓練校の寄宿舎から
逃走。放浪する間の微罪のため一五歳で少年院に収監
される。一八歳で軍隊に入隊、中東、モロッコなどに
配属されたのち、1936年脱走する。訴追を逃れるため
贋の身分証でスペイン、イタリア、ユーゴスラヴィ
ア、チェコスロヴァキア、ポーランド、オーストリ
ア、ドイツ、ベルギーを転々とする。

1937年フランスに戻り、以後七年間に窃盗などの罪で
一二回告訴される。1942年、フレンヌ刑務所在監中に
詩集『死刑囚』を出版、以後矢継ぎ早に『花のノート
ルダム』『薔薇の奇蹟』『葬儀』『泥棒日記』など、
犯罪者の、また同性愛者の立場を公然と引き受けた特
異な小説群を発表、コクトー、サルトルらの賞賛を受
け作家としての名声を獲得する。1949年に最終恩赦を
受けたのち六年間沈黙。

1955年から戯曲『黒んぼたち』『バルコン』『屏風』
を発表し劇作家としてカムバックする。1968年以降は
アメリカ黒人解放闘争、パレスチナ解放闘争、移民運
動などに加担、ときおり特異な政治評論を発表してい
たが、1986年パリで死去。パレスチナ滞在期の追憶を
中心とする長編回想記『恋する虜』が絶筆となった。

「1999年 『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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