- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309464749
感想・レビュー・書評
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解題を参照しつつ、なんとか読了。
今まで読んできたヴェイユの本の中では一番読みやすくわかりやすかった。
努めて平明に、とする努力を垣間見られる編纂。
まだ父を亡くして間も無かったので、とりわけ不幸や摂理に対する従順さについては噛み締めながら読んだ。
労働者の言及には社会主義を色濃く感じ、今の世に当て嵌めて考えることはなかなか難しいけれど、その中の少しずつのエッセンスは、自分の引き出しに入れて置いて損はないだろうと思った。
日常生活そのものが詩であることが求められる。
これは当時のブルジョワ階級にも適用されるのかしら。
現代の私たちにも。
彼女の思想を心身に織り込んで生活すれば、きっと大変生きにくくなる。
また、この思想は理想でしかないと言われればそうにも思える。
けれど、この思想を知ると知らないとでは全く景色が変わってくる。
全ての人がヴェイユを読んだら、きっと世界が変わる…とまで思える。
とにかくこの本は読みやすいし、万人に広く読まれたらいい。
以下雑感。
他人を思いやるとか、自分を労わるとか、丁寧に暮らすとか、ぼんやりした言葉がありふれている世の中だけど、言葉の根底に哲学が存在していればその言葉の深みがわかる。
ここ日本では近年道徳が必修科目となったので、ならば哲学も必修とすべきじゃないかなぁ。
道徳の下地には哲学があるのだから。
社会はその哲学の上に成り立つのだから。
私もあの小学生時代、プラトンやヴェイユに出会っていればどんなに救われただろう。
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哲学
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ヴェイユは筑摩書房と岩波書店から文庫で出ているが、今度は河出文庫から。我が道を行く河出文庫だけに、もう2~3冊、文庫で出して欲しい。ちくまと岩波と被らないやつを……。