シモーヌ・ヴェイユ アンソロジー (河出文庫 ウ 11-1)

制作 : 今村純子 
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 199
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464749

感想・レビュー・書評

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  • 解題を参照しつつ、なんとか読了。
    今まで読んできたヴェイユの本の中では一番読みやすくわかりやすかった。
    努めて平明に、とする努力を垣間見られる編纂。

    まだ父を亡くして間も無かったので、とりわけ不幸や摂理に対する従順さについては噛み締めながら読んだ。

    労働者の言及には社会主義を色濃く感じ、今の世に当て嵌めて考えることはなかなか難しいけれど、その中の少しずつのエッセンスは、自分の引き出しに入れて置いて損はないだろうと思った。
    日常生活そのものが詩であることが求められる。
    これは当時のブルジョワ階級にも適用されるのかしら。
    現代の私たちにも。

    彼女の思想を心身に織り込んで生活すれば、きっと大変生きにくくなる。
    また、この思想は理想でしかないと言われればそうにも思える。
    けれど、この思想を知ると知らないとでは全く景色が変わってくる。
    全ての人がヴェイユを読んだら、きっと世界が変わる…とまで思える。
    とにかくこの本は読みやすいし、万人に広く読まれたらいい。

    以下雑感。

    他人を思いやるとか、自分を労わるとか、丁寧に暮らすとか、ぼんやりした言葉がありふれている世の中だけど、言葉の根底に哲学が存在していればその言葉の深みがわかる。
    ここ日本では近年道徳が必修科目となったので、ならば哲学も必修とすべきじゃないかなぁ。
    道徳の下地には哲学があるのだから。
    社会はその哲学の上に成り立つのだから。
    私もあの小学生時代、プラトンやヴェイユに出会っていればどんなに救われただろう。

  • 哲学

  • ヴェイユは筑摩書房と岩波書店から文庫で出ているが、今度は河出文庫から。我が道を行く河出文庫だけに、もう2~3冊、文庫で出して欲しい。ちくまと岩波と被らないやつを……。

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著者プロフィール

(Simone Weil)
1909年、パリに生まれ、43年、英・アシュフォードで没する。ユダヤ系フランス人の哲学者・神秘家。アランに学び、高等師範学校卒業後、高等学校(リセ)の哲学教師として働く一方、労働運動に深く関与しその省察を著す。二度転任。34─35年、「個人的な研究休暇」と称した一女工として工場で働く「工場生活の経験」をする。三度目の転任。36年、スペイン市民戦争に参加し炊事場で火傷を負う。40─42年、マルセイユ滞在中に夥しい草稿を著す。42年、家族とともにニューヨークに渡るものの単独でロンドンに潜航。43年、「自由フランス」のための文書『根をもつこと』を執筆中に自室で倒れ、肺結核を併発。サナトリウムに入院するも十分な栄養をとらずに死去。47年、ギュスターヴ・ティボンによって11冊のノートから編纂された『重力と恩寵』がベストセラーになる。ヴェイユの魂に心酔したアルベール・カミュの編集により、49年からガリマール社の希望叢書として次々に著作が出版される。

「2011年 『前キリスト教的直観 甦るギリシア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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