(萌えすぎて)絶対忘れない! 妄想古文 (14歳の世渡り術)
- 河出書房新社 (2022年10月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309617466
感想・レビュー・書評
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古文の世界は魅惑的なカップリングだらけ。そこを萌えポイントにすれば、苦手な古文も好きになるし、忘れない。そんなコンセプトで書かれたのが本書。
冒頭は私もイチオシの中宮定子と清少納言の『枕草子』。その後は『源氏物語』『伊勢物語』『落窪日記』『更級日記』『とりかへばや物語』…。
何ともおもしろい視点のアプローチで、ざくざくと読み進めた。古文はちょっと…という人も楽しく読めることは請け合い。ちょいちょい出てくる若者言葉や中年オヤジへの辛辣な物言いに、まさにオッサンな私は若干たじろいだが(笑)。
なかでも私がおもしろく読んだのは、高校の授業
の時から凄まじく親近感を覚えた『更級日記』で知られる菅原孝標女。文学オタクのイメージだったが、そうなるのかと興味津々。
そして最終章の『古今和歌集』。これは萌える!なんじゃ、この大河も真っ青な人間ドラマは!おお、萌えるとはこういうことかと興奮して、出てきた短歌を書き留めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「光る君へ」が面白く観れるように、ちょっと古文の知識入れとこ。と思って読みました。
紫式部と道長は関係があっただろーと当然のように思っていたが、紙くれたからぐらいしか根拠のないとしてわかっていなかった。紫式部日記の中の和歌のやり取りから推察されるわけね。
道長が、源氏を見て、梅の下に敷かれた紙に「すきものと名にし‥」酸っぱくて美味しいと評判の梅の枝を折らずに通り過ぎる人がいないように、源氏作者を前にして口説かないわけにはいかないのです。
返し「人にまだ折られるものを‥」まだ折られていないのに、どうして味がわかるのですか?どうして評判が立つのですか?
そしてその晩、ドンドン戸を叩く音。無視。
翌朝「夜もすがら水鶏よりけに‥」水鶏はコンコンと鳴きますが、私は一晩中水鶏より大きな音で叩いてましたよ。
返し「ただならじとばかりに‥」普通じゃない叩き方でしたが、お遊びでしょ。そんな水鶏に開けたら後で後悔しますから。
源氏物語の、源氏と若紫。後の紫の上の初夜の場面。源氏のクズ男っぷり。なるほど。よく知る22歳の今までいいお兄ちゃんだった人が14歳の子をいきなり襲う。しかも、綺麗になったなあー藤壺に似てるなぁだって。身代わりか!
「あやなくも隔けるかな‥」どうして僕たち今まで服を脱がさなかったんでしょうね。と下品な歌。しかも、若紫の情けない気持ちに、全く気付かず、「まだ子供だなあ、かわいいなー」と思うだけ。
歌物語 「うい、大和、ヘイ」歌物語、伊勢、大和、平中
作り物語「作ったうつぼ」作り物語、竹取、宇津保、落窪
平安以後の物語「源氏、ハマ、チュ、夜目覚めて、衣を取り替えて」源氏、浜松中納言、堤中納言、夜半の寝覚め、狭衣、とりかえばや
紀貫之 職業歌人として評判高く、文学の世界で活躍。しかし身分は高くない。自分は歌を作りながらひっそりと人生を終えるのだと思っていたら、ある日天皇から「現代最強の歌集を作ってくれ」「へっ?」古今和歌集
「俊頼髄脳」に貫之、躬恒コンビの連歌。
「奥山に船漕ぐ音の聞こゆるは」
「なれる木の実やうみわたるらむ」
海と熟み 掛詞。 -
古文の勉強が楽しくなる。
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古文のテストにはほとんど出ないだろうけど古文の勉強のモチベーションにはなりそう。時代背景の説明もするする読めて面白かった。
しかし、2022年でもこの感情は「萌え」でいいんだね?!となりました。レーベル的な想定読者層は中高生だけど、今の中高生は「萌え」っていうのかな…… -
わかりやすくて面白かった!
文中にもある通り、1000年の時を超えて残ってきた文章は、一度や二度では味わいきれない!
文芸の裏にある人間ドラマ、楽しめました。 -
古文て動詞や形容動詞の活用ばかり覚えて中身は全く忘れてしまっているし難しかった記憶しかないという諸君に、本当は面白い古文というのをわかりやすく教えてくれる良書。
私はすでに作者の三宅氏のファンで彼女の本を何冊も読んでいるのだがやはり過去の名文を令和の時代に合わせて現代人に伝えてくれるのが巧い。
本当はもっと1冊1冊を深堀りしたいんだろうーなーという気持ちを抑えて、おいしい部分だけを凝縮して興味を持ってもらえるように仕掛けている。挿入されているイラストも素晴らしい
『枕草子』『源氏物語』『紫式部日記』『伊勢物語』『落窪物語』『更級日記』『浜松中納言物語』『とりかえばや物語』『有明の別れ』『万葉集』『古今和歌集』と取り上げているものが多く、そのどれかには共感できる。個人的には『更級日記』を読んでみたくなった。
2024年の大河ドラマは紫式部に決定したそうだ。まずはこの本で予習をするとよいかも
三宅氏は江戸時代のものなどまだまだ書きたいものがいっぱいあるという。この本が売れたら続編が出そうな勢いなので是非ぜひお願いしたい