バレット博士の脳科学教室 7½章

  • 紀伊國屋書店
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314011839

作品紹介・あらすじ

【従来の情動理論に異を唱えて一躍脚光を浴びた『情動はこうしてつくられる』の著者バレットの第2弾】
これまでの脳に対する見方を払拭し、〈身体予算〉というたとえを用いて脳と身体の機能を解説しながら、〈予測〉〈脳と社会の相互作用〉など近年注目されているトピックを歯切れよくユーモラスに語る。脳科学の魅力が凝縮された一冊。
《明快でコンパクトな、新時代の脳科学入門書》

《目次》
Lesson½ 脳は考えるためにあるのではない
Lesson 1 脳は三つではなく一つである
Lesson 2 脳はネットワークである
Lesson 3 脳は世界に合わせて自己を配線する
Lesson 4 脳はあなたのあらゆる行動を予測する
Lesson 5 脳は無意識に他の脳と協調し合う
Lesson 6 脳は複数の種類の心をつくる
Lesson 7 脳は現実を生み出す

感想・レビュー・書評

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  • バレット博士の脳科学教室7 1/2章 L・F・バレット著 紀伊国屋書店 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/701466

    Lisa Feldman Barrett | Neuroscientist, Psychologist, and Author
    https://lisafeldmanbarrett.com/

    バレット博士の脳科学教室7 1/2章 / バレット,リサ・フェルドマン【著】〈Barrett,Lisa Feldman〉/高橋 洋【訳】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア
    https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011839

  • 脳は体内の予算管理しているというのは面白かった

  • ・脳の最も重要な仕事は思考ではなくアロスタシス管理
    −トレードオフのごとく経済活動に例えられる
    −ポケモンでいう「たくわえる・のみこむ・はきだす」的な?

    ・脳が見せる世界はファジー

    ・身体性は重要
    →哲学や数学、論理を考え続けるより運動やピアノの方が脳が活性化するとされるのは身体を用いるからでは…という仮説が浮かんだ
    (身体に合わせて脳が造られると池谷先生も述べておられるように…)

  • 「脳とは、ネットワークであり、記憶も蓄えられているわけではなく、再構築されている」
    「見たり聞いたりしているものは、外界に存在するものと、脳によって構築されたものの組み合わせである」
    「日常の経験は、脳によって構築された、注意深くコントロールされた幻覚である」

    これらを2500年以上前に見抜いていた、釈迦は、やっぱりすごいな。

  • 2021/11/10
    最初は一般向けの解説本かなと思って読み始めたけれど、その内容といい、テンポといい、脱線かと思いきや実は密接に絡んでいたりと一気に読ませてくれる。
    各章のタイトルは後で見直しても感心させられてしまい、整理するのも判りやすい。
    それぞれの章で再認識や納得させられる内容が多かったが、特に3章の幼少期における外部依存が人間にとって必要不可欠なものであること、4章での行動予測、5章での環境や文化の影響とそれを自他ともに認識することの重要性、そして最終章での五つのCのうち圧縮が抽象を生みそれが人間特有の「社会的現実」を作り上げていることが印象に強く残った。
    そして何よりも科学的な内容から踏み出していると思われることについても、決してきれいごとだけではなく、脳にとって、人間にとって、そして人間が生み出した「社会的現実」にとっても…という視点からコメントしているのも説得力を感じた。
    短いけれど内容の濃い一冊。

  • 最新の脳科学について「平易」な言葉で書かれた本です。
    一読目で「わかった気にさせる」訳者さん素晴らしい。
    さらにP170の訳者あとがきも上手にまとめられてて素晴らしい。

    とりあえず、脳の常識のある程度は否定され、正しい知識が得られます。

  • 脳の進化のきっかけに狩りをする捕食者の誕生があった。
    それまでが単に無作為に丸呑みしていただけだったのが、獲物を探知して、意図的に食べる能力を獲得した生物が現れた。
    家計の管理に似た身体予算管理により、泳ぐ、走るなど資源を費やす活動をするごとに身体予算の口座から預金が引き出され、また、食べる、眠るなど、資源を補給する活動をすれば預金が増える。
    エネルギーを無駄にしない効率性と予測が生存に不可欠で、複雑な体内の感覚系や運動系を発達させた身体は、効率的な運用のため、司令塔的な存在である脳を必要とするようになった。

    ゆえに脳は、考えるためでも、理性を行使するためでも、想像力を発揮するためでもなく、ただエネルギーの需要が生じる前に予測しておくことで、恐ろしく複雑化した身体を効率的にコントロールするために生まれたのだ。
    脳はニューロンの集まり以上のもので、泣き叫ぶ乳児をなだめようとしている時、実はその子の脳のチューニングやプルーミングを手伝っているのだということを、親は気づくべきなのだろう。

    皮膚に当たるシーツの感触や、目覚まし時計の音、コーヒーの匂いなどを感じているのは、実は耳や鼻、皮膚ではなく脳である。
    脳が積極的に経験を構築しているのは、体外だけでなく、体内の感覚もそうで、寝不足による疲労や空腹の経験も、実際には脳で構築されている。
    このような日常的な幻覚が、感覚に意味を与え、経験を生み出している。
    しかも、1杯の水がのどの渇きを一瞬にして癒やしたと感じられるように、体内の変化は常に予測が先行して実行され、直接的な影響に先立って身体の準備を整えるのだ。

    「<予測>は、光の流れを目に見える物体に、気圧の変化を聞き覚えのある音に、化学物質の痕跡をにおいや味に変える。また、このページに印刷されたインクのしみを、文字や語句や概念として読んで、理解できるようにしてくれる。さらにいえば、結論を書かずに終わる文章に違和感を覚えるのも<予測>のせいである」

    立て続けに発せられるビーコンの如く、すべての予測が後から取り入れられる感覚データと整合するわけではなく、予測を更新せずそれに執着を続ければ、牛を連れた少年をゲリラ兵と見間違えて引き金を引くことも起こりうる。
    脳は予測する器官であり、自分が気づく前に行動するように配線されている。
    我々は、まず感じてから行動すると考えているが、実際の感覚は行動の後で生じる。
    敵を見て、葉音を聞いてライフルを構えるのではなく、ライフを構えて敵を見、葉音を聞いている。

    車を運転するごとく、自動操縦モードで行為が実行されるため、行動は変えられず、責任が伴わないわけではない。
    脳の予測を変えることは可能だし、事故の行動をコントロールすることができる。

    「今日の行動は明日の脳の<予測>になり、その<予測>が自動的に未来の行動を駆り立てる。したがってわれわれは、自分の脳の<予測>を新たな方向へと調節する自由を持ち、ゆえに自分がとった行動の結果に対してある程度の責任を負わなければならない」

  • 養老先生の唯能論に近いなぁ。
    人間が社会を作る為の能力として、5Cを挙げている。創造性・コミュニケーション・模倣・協力はなんとなくわかったが、圧縮compressionは目から鱗のご指摘でした。

  • 入門書なので新書みたいな短さ。よくある「悩みどころ」は丁寧に描かれていてそれなりにおもしろい。見間違えについてのあたりは印象的なものの全体としての印象は「素朴」といった感じ。

  • 脳科学の本としては非常に読みやすい語り口です。

    興味深い内容ばかりですが、中でもレッスン4の「脳は(
    ほぼ)すべての行動を予測する」は抜群に面白かった。

    「縮重」「チューニング」「プルーニング」など気になる言葉も沢山です。

    このジャンルが好きな人ならおすすめです。

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著者プロフィール

【著者】リサ・フェルドマン・バレット(Lisa Feldman Barrett)  
米・ノースイースタン大学心理学部特別教授、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院研究員。心理学と神経科学の両面から情動を研究しており、その成果は米国議会やFBI、米国立がん研究所などでも活用されている。2007 年に米国立衛生研究所の所長パイオニア・アワード、2018 年に米国芸術科学アカデミー選出、2019 年には神経科学部門のグッゲンハイム・フェローなど、受賞歴多数。

「2021年 『バレット博士の脳科学教室 7 1/2章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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