宇宙生物ゾーン (廣済堂文庫 い 6-15 異形コレクション 15)

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  • Amazon.co.jp ・本 (563ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784331608142

感想・レビュー・書評

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  • SF。ホラー。短編集。マンガも1作。
    テーマが好きすぎる。
    ホラーというよりもSFの要素が強いが、「宇宙麺」「時間虫」のような、トラウマになってもおかしくない程インパクトのあるホラーもあり。
    ほとんどの作品が面白かった。
    個人的ベストは、菊地秀行「安住氏への手紙」。20ページにも満たない短さに、突飛な発想、興味深い謎、予想外の展開、人間の感情の激しさまで詰め込まれた傑作。落ち着いた丁寧な文章も、作品の内容に合っていて好ましい。
    今まで読んだ異形コレクションのシリーズで、一番好きな一冊になりました。

    他、特に好きな作品は以下4作。

    野尻抱介「月に祈るもの」
    作者版、ソウヤー『さよならダイノサウルス』。
    石田一「破滅の惑星」
    ミステリ的なミスリードで、意外な結末を迎える惑星調査の話。
    田中啓文「三人」
    狂気と幻覚。不謹慎な怪作。
    横田順彌「来訪者」
    明治時代が舞台の落ち着いた雰囲気が好印象。

  •  古いのだが、たまにすばらしい作品と出会えるからうれしい井上氏のSFアンソロジー。

     まずは、ショートショートで「火星ミミズ(江坂遊)」。そして、”ペンローズの量子脳理論”なんかでてきて楽しい「月に祈るもの(野尻抱介)」はすばらしい。オチが決まればもっといいのだが、ちょっと尻すぼみ。

     気持ちはわかるがイマイチの「アカシャの花(山下定)」、霧生物というアイデアがなかなかいいが、トンネルの意味がわからない「黒洞虫(森下一仁)」、”ボーデの級数”まで登場するんだが、二番煎じっぽい「緑の星(谷甲州)」、使い尽くされた感がある人類滅亡の武器を扱った「パートナー(森岡浩之)」 と続き、意味深長でSFにするのはもったいない感じの「言の実(岡本賢一)」 でまだ前半も終わっていない。

     長いだけで意味がわからない「一匹の奇妙な獣(山田正紀)」、既読の「魅の谷(梶尾真治)」、これまた意味不明の「夜を駆けるものたち(大場惑)」、ディックっぽい味だが面白くない「破滅の惑星(石田一)」、さらに面白くない「三人(田中啓文)」、漫画でこれまた面白くない「宇宙麺(とりみき)」 でおよそ半分まで進む。

     後半は意味がわからない「話してはいけない(ひかわ玲子)」 、まったくテーマが見えない「古いアパート(竹河聖)」、バルンガ世代には懐かしいがそれ以外は受けないだろうと思われる「バルンガの日(五代ゆう)」、意味不明「懐かしい、あの時代(友成純一)」、面白くない「占い天使(笹山量子)」 、自己満足の「内部の異者(かんべむさし)」、きれいだが面白くない「来訪者(横田順弥)」 であっという間に後半が消化される。

     編者自らの哲学的な「探検(井上雅彦)」を読んで、つまらない「安住氏への手紙(菊地秀行)」 、既読だが今読んでも面白い「時間虫(堀晃)」、ラストにしてはさっぱりの人類滅亡ねた「キガテア(眉村卓)」でおしまい。

     このシリーズ読破する予定だが、古いから字が小さいのが問題だな。でも、面白いな。

  •  宇宙生物に関するホラーアンソロジー。
     いろいろな生物が出てきて面白かった。

  • 異形らしくホラータッチもあるが、本アンソロジーはそのテーマ性に則って、SF家の作譚が傑出している。それと、中途半端な感じが少なく、出来不出来が両極端な印象。良かったのは、野尻抱介「月に祈るもの」、森下一仁「黒洞虫」、谷甲州「緑の星」、岡本賢一「言の実」、五代ゆう「バルンガの日」、堀晃「時間虫」、眉村卓「キガテア」と、かなりの傑作が編まれる。ということで、異形コレクションの中でもオススメの一冊である。

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著者プロフィール

鳥取大学大学院 医学系研究科

「2019年 『公認心理師 実践ガイダンス 2.心理支援』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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