イラク (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334031879

感想・レビュー・書評

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  • 37991

  • 9.11テロより10年をきっかけに本棚から引っ張り出して読んでみた。

    2003年、フセイン大統領が大量殺人兵器を隠し持っていることで、米英軍がイラクに侵攻する3ヶ月前、著者はイラクを訪れる。

    そんなイラクの雰囲気は平和そのもの。対イラン戦争、湾岸戦争を経た国民はとって戦争は想定内なのだろう。

  • [ 内容 ]
    湾岸戦争時の劣化弾の後遺症で苦しむ子供達、国中に満ちあふれるサダム・フセインの肖像画、その一方で、高級品が豊富な巨大市場、ジャンクでパソコンを組み立てるバグダッドの「秋葉原」、市場最高値をつける株式市場、ビジネスマンで混雑するホテル…経済制裁下のイラク庶民は、アラブ的絆のもとに、どこか平穏で安定した生活を送っていた。
    イラクを通して見えてきた世界史の巨大な暗渠―民主主義は万能薬か?
    はたして国家とは何だろうか?
    アメリカはいったい何をしようというのか。

    [ 目次 ]
    大使館訪問
    バクダッドへの道
    表敬訪問
    二つの民族主義
    シーア派の聖地
    庶民生活
    プロパガンダと部族政治
    バクダッドの秋葉原
    アメリカの変節
    劣化ウラン弾の町
    ホテル・アンチブッシュ
    イラク人と日本人

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • (2004.01.12読了)(2003.05.11購入)
    著者は、中東やイスラムの専門家というわけではないので、その辺は期待せずに読むのがいいのでしょう。
    この本は、著者が2003年の1月6日から19日まで、イラクを訪問したときのことを基に書かれている。今からちょうど一年前になる。
    現在は、フセイン政権が無理やり取り除かれ、イラクの民主政権構築のために努力が続けられている状態であるが、国連の事務所も爆破され、やっと再開されようとしている。
    いつになったらテロが治まり、平和に暮らせる時代が来るのでしょうか?
    日本も自衛隊を派遣して、生活基盤の回復に寄与しようとしているが、いつごろになったら民間団体に引き継げるようになるのだろうか?かなりの長期戦を覚悟しないといけないのではないだろうか?

    イスラムの国では、女性はほとんど外出しないというところもあるようですが、イラクでは、公務員には女性が多いということです。官庁も、教師もということです。理由は、インフレがひどくて、公務員では一家を支えるに十分な給料がもらえないので、男性は公務員から民間へ移っているためだそうです。
    経済制裁のため物資が自由に手に入らないため、中古市場が開かれて繁盛しているようです。現在あるものを工夫して修理技術や、本当の技術の習得が進んでいるようです。
    例えば、韓国車は日本車の技術供与を受けているので、相互に部品が使える。というような技術関係が中古部品を扱うようになってわかった、というようなことです。
    イラクの官僚の能力は高いといっているのですが、「フセイン政権が倒されても、官僚制度が残っている限り、イラクはすぐに復興する」といっている人もいるということですが、・・・
    著者のガイド役のフセインさんは、著者の舌足らずに言う要望をきちんと解釈、忖度して聞き実現してくれた、といっています。
    その一方、アメリカが石油の安定供給を重視するならフセイン政権を温存したほうがいい、という見解もあります。イラクが1932年に独立してから1968年にフセインが副大統領になるまで、ずっと不安定な国だった。イラクでは、サダム・フセイン以外の人が安定した国家運営をしたことがない。米軍の侵攻でフセインが抹殺されると、その後のイラクは、国家として統一された状態を維持できるかどうか分からない。ということです。
    今はこちらのほうが優勢というところでしょうか?
    著者のイラク人に対する印象は、非常にいいようです。「私が会ったイラク人の多くは、人間関係の微妙さについて知っている、洗練された「都会人」だった。エチケット感覚もあり、・・・。日本人は、いったん関係が悪くなった時の修復作業については、一般的にあまりよい方法を持っているようには見えない。だが、イラク人には、人間関係修復術もある。」と高い評価を与えています。
    早くイラクが復興して、メソポタミア文明の遺跡を見に行ける日が早く来るように祈ります。

    ●関連図書
    「アラビアン・ナイト」全19巻、前嶋 信次訳・池田 修訳、東洋文庫、1966-1992
    「サッダーム・フセインの挑戦」小山 茂樹著、日本放送出版協会、1990.11.20
    「湾岸戦争の嘘と真実」宮崎 正弘著、太陽企画出版、1991.05.10
    「イラクという国」水口 章著、岩波ブックレット、1993.10.20
    「タリバン」田中 宇著、光文社新書、2001.10.25
    「イラクとアメリカ」酒井 啓子著、岩波新書、2002.08.20

    著者 田中 宇
    1961年5月7日 東京都生まれ。
    1986年 東北大学経済学部卒業。
    東レ勤務を経て共同通信社に入社。
    京都と大阪でバブル崩壊時の金融事件などを取材した後、93年から東京でゼネコン汚職、自動車産業、アジア経済などを取材。
    1996年春より同社内で英文記事を翻訳する部署に異動。
    同年夏から、解説記事のメール配信を始める。
    1997年よりマイクロソフトに入社、「MSNジャーナル」を立ち上げる。
    1999年退社。
    現在は個人で国際ニュース解説記事をメールで配信

    (「BOOK」データベースより)amazon
    湾岸戦争時の劣化弾の後遺症で苦しむ子供達、国中に満ちあふれるサダム・フセインの肖像画、その一方で、高級品が豊富な巨大市場、ジャンクでパソコンを組み立てるバグダッドの「秋葉原」、市場最高値をつける株式市場、ビジネスマンで混雑するホテル…経済制裁下のイラク庶民は、アラブ的絆のもとに、どこか平穏で安定した生活を送っていた。イラクを通して見えてきた世界史の巨大な暗渠―民主主義は万能薬か?はたして国家とは何だろうか?アメリカはいったい何をしようというのか。

  • (2008/12/5読了)

  • イラク戦争の開戦直前にジャーナリストの田中宇さんが実際に
    イラクを訪れて、その時の状況やアメリカ・周辺諸国との関係
    を描いた1冊。
    イラクに関してはほとんど無知ですが、それでもイケました。
    メディアで知る作られた現実ではなく、田中さんの目で見た
    イラクの本当の姿に触れることができます。
    ただ戦前に書かれた本ですので、現状を知る為にも田中さんの
    メルマガや、本書に記載されている森住卓さんのサイトなどを
    見てみようと思います。
    http://tanakanews.com/
    http://morizumi-pj.com/

    ちなみに田中さんのメルマガは学生時代に取っていましたが、
    遊び呆けていたわたしにはちんぷんかんぷんで続きませんでし
    た。。
    あの時ちゃんと勉強しておけば…、なんて思ってないけど、、
    これからがんばります。。

    ちなみにもう上記のサイトは見たんですが、イラクの現状は本
    当に悲惨です。
    自分に何が出来るか分からないけど、まずは今を知ること、そ
    の上で小さな事でも何らかの形で復興に貢献できたらいいな、
    と思います。

  • 現地の様子はきちんと伝えているけど、政治のことや経済のことはわかっていないんだろうな、という感想。
    でも言論の自由はあるものね。

  • 田中さんの主張に全面賛成ではないけど納得させられることが多く,他の作品と同様にひいきにしています。テレビより書物の方が田中さんにあってるね。

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著者プロフィール

国際情勢解説者。1961 年東京生まれ。東北大学経済学部卒。東レ勤務を経て共同通信社に入社。新聞、テレビ、ネットニュースでは読めない情報と見解を発信するメールマガジン「田中宇の国際ニュース解説」を主宰。
著書に『タリバン』(光文社)、『非米同盟』(文藝春秋)、『世界がドルを捨てた日』(光文社)、『日本が「対米従属」を脱する日』(風雲舎)、『金融世界大戦』(朝日新聞出版)、『トランプ革命の始動──覇権の再編』、『感染爆発・新型コロナ危機──パンデミックから世界恐慌へ』(ともに花伝社)ほか多数。

「2020年 『コロナ時代の世界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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