- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334032869
作品紹介・あらすじ
「自由だからこそ、人は権力にとらわれていく」「自由でないことが問題なんじゃない、自由であることが問題なんだ」-そういった直感を、学問というフィールドで表現することはかなり難しいことでした。いくら理屈を積み重ねてもなかなか周囲の人に理解してもらえず、自分は何か決定的な思い違いをしているんじゃないか、そう思うこともありました。そういう試行錯誤を二〇年近く繰り返してきたわけですが、それだけ年を重ねると最初は直感でしかなかったものの姿も、かなりクリアになってきたように思います。この本は、そうやってみえてきた姿を、できるだけわかりやすく説明しようとした結果の産物です。
感想・レビュー・書評
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評判悪いね。先生。
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第1章の最初の問いかけ
「自由=幸せ」って本当?
自由を「制約からの解放」と捉えるのは甘い!
自由と服従とは表裏一体なのだ。
自由だからこそ、人は権力にとらわれていく。 -
自由と服従との交錯した関係について論じている本です。
ただし本書は、現在でもときおり見られるフーコーの亜流のような、観念の操作によって近代的な主体性の陥穽を考察する本ではありません。社会状況の単純なモデルを想定し、簡単なゲーム理論の手法を用いて、自由であることが服従へとつながっていく理路が存在しうることを指摘しています。
とりあげられている題材には、サッカー日本代表の選抜をめぐるトルシエ監督と中田英寿、中村俊輔の駆け引きのほか、小笠原祐子の『OLの〈レジスタンス〉』(中公新書)や江原由美子らによる男女の会話についての権力分析、岸政彦による建築労働者の参与観察記録などがあり、読者の関心を引く工夫もなされていて、読みやすい本になっています。 -
「自由である」ということは、実は何かの権力に「服従している」という逆説的な概念を論理的に説明している。「理由なき反抗」「理由なき服従」「理由ある反抗」「理由ある服従」というそれぞれのスキームの合理性を考えた上で、選手と監督とか、OLと総合職社員というケースで具体例に当てはめている。総じて腑に落ちるし、目から鱗も落ちる。本来、社会学の本だと思うが、最終章では哲学的な思索に近く、(社会学の文脈での)「自由」という概念や定義を、あらためて考えさせられる。いろんな局面での価値感評価なんかに応用できそうな感じ。
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自由であるからこそ、自らの合理的判断によって「服従」(他者の提示した選択肢に従って)してしまうことを説いた本。
監督と選手の関係、職場における「OL」、自由恋愛市場における男女、建築労働現場の4つを例として挙げ、モデル化して説明している。
考えたことのない視点だけど、違和感を感じていたことに気づけきたので、面白かった。ただ、説明が必要以上に長く、本論が見えづらい部分があるかも。 -
自由と服従は反意語として語られる
他人との関わり自分を客観視できるかがポイント
表現がクドい -
メモ
他人の評価幻影 -
他人が自分を評価しないことを受け入れることができない限り、つまり他者はいつだって自分を評価してもらいたいと考えているか限り、かえって自分は他者に縛られ、自由でありながら、自由をうしなうことになる。
ポストモラトリアム時代の若者たちにも通じる。
スティグマから逃れることも難しいが、それを幻影と考えてみるのも手である。 -
なんとなく生きづらい、と思うことがあれば読んでほしい。
第1章と第6章を読むだけでもかなり救われる。モデル化した上での分析はいまいち腑に落ちなかったけど、結論として言いたいことはよくわかる。
自分が自由な社会の中で、なぜこんなにももがいているのかがわかった。
ちなみに、第5章はエスノグラフィーをベースにしてあるのでとてもおもしろかった。読んでいるだけでその世界に足を踏み入れた気分を味わえるのって、いい。