白馬山荘殺人事件 (光文社文庫 ひ 6-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334711221

感想・レビュー・書評

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  • 雪山山荘での密室殺人が自殺かの謎、マリア様は〜の謎のメッセージ。個性が光る登場人物達。
    真相を追う中でまたしても起こる事故、そして各部屋に記された【マザーグースの唄】
    3年連続で同じ時期に人が死ぬ山荘。
    ーーーーーーーーーーーーーーメモ。

    個人的にマザーグースの暗号に関して
    英文→和訳 のお陰もあり英語力並以下の私でも困ることは無かった。確かにトリックとして重要部分ではあるのだが、内容がわかっても理解は出来ていない状態だ。それでも問題はなかった。

    拙い脳で考察を楽しみながら読み進め、努力虚しく迎える真相解明に致死量のアドレナリンが出る。
    ネタバレだけども、伏線無しでの共犯者はアンフェアだ...見逃したのか...。共犯者のお陰で密室トリックはあっさり破られてしまった。悶々してた私の時間は一体。

    そしてやはり何かあった髭面と太っちょの二人。ここ、結構鳥肌物だと思うのですが....。サラッとオマケ程度に付けられていて勿体無い!でもなんか粋!

    ホテルボーイの兄ちゃんの結末を悟った状態で涙腺待機に入る。そして彼のフルネームに堤防が崩れた。最初こそどれもキャラが弱いなぁ なんて思っていたが、本を閉じてからの満足感が凄い。

  • 「マリア様が、家に帰るのはいつか?」謎のメッセージを残して兄は自殺した。
    妹のナオコは友人のマコトと信州白馬の『まざあ・ぐうす』を訪れ、兄の死の真相を探ることに。
    英国風のペンションに集う、事件に居合わせた人びと――。彼らは何を求めてここに集まるのか?
    兄はなぜ死んだのか? 密室トリックの謎とマザー・グースの暗号を解け!


    引き籠りの四連休最終日。

    東野圭吾の長編は、もうほとんど既読だろうなぁ~と思ったが、
    古本屋をざっと見てみたところ、何冊か未読のものがあった為、
    数冊仕入れてきた(*^-^*)

    かなり古い小説だが、東野圭吾はあまり古さを感じさせない(*^-^*)
    やっぱりストーリー展開が早く飽きさせない。

    全く情報が無いまま読み始めたが、お!?これは私の大好きな
    クローズドサークルもの!?フーダニット!?o(^o^)o
    ワクワクしながら読み進めた。


    マザーグースの暗号がだったり、密室殺人だったり、
    ミステリ好きが欲しいところがてんこ盛り(*^-^*)

    難しいことを考えず、頭カラッポにして楽しめるそんな作品でした~(*^-^*)

  • 東野さんの“山荘もの”。本書はかなり初期の作品ですね。

    白馬のペンションで自殺した兄の死の真相を探る為、自殺から1年後の同時期に、件のペンション・・その名も<まざあぐうす>を訪れた、菜穂子と親友の真琴。
    死の直前に兄から届いたハガキには「マリア様が家に帰るのはいつか?」という謎の文言が書かれていて・・・。

    兄の自殺の真相、それを調べている最中に起きた新たな殺人、過去の“事故”・・・所謂“犯人捜し”と併せて、ペンションの各部屋に飾られた、マザーグースの唄に隠された暗号の謎・・。
    まさに“ミステリお徳用詰め合わせ”的な展開で楽しませて頂きました。
    特に終盤は、登場人物の意外な事情やペンションに関わる背景等、畳み掛けるように色々な真相が明らかになってくるので最後の最後まで油断禁物です。
    正直、ちょっと盛り込みすぎかな?と思わないでもないですが、エンタメとしてサービス満載という事ですかね。
    因みに、扉ページと本文に記載の「誰が殺したコックロビン」というマザーグースの一節を見て、“クックロビン音頭”を思い出したのは私だけでしょうかww。

  • すごく面白かった!

    白馬山荘という英国風ペンションが舞台。
    主人公である女子大生の菜緒子は、
    兄をこの山荘で亡くしている。
    兄はノイローゼ気味だったということで
    自殺として処理されていた。

    納得のいかない菜緒子は、
    友人の真琴とともに
    事件のあった一年後の同時期、
    冬に訪れ真相を調べることにする。
    この山荘は毎年馴染みの
    同じお客さんが泊まるからだ。

    「まざあ・ぐうす」という山荘の名前の通り
    各部屋にはマザーグースの歌詞が飾られ
    部屋名もそこからつけられている。
    これが暗号になっていると知り、
    2人は暗号解読に取り組む。

    昨年の兄の死。
    その前年にも転落死事件があったことを知る。
    そして滞在中にまたひとりが転落死する。

    暗号を解き、事件は解決したかに見えたが…。

    最後には何重にも話が展開し
    見えていなかった背景も解かれてゆく。

    誰が犯人かも、さまざまな人間模様も
    全く予測することができず、
    ただただ感心し通しで読み終わった。
    またこのパターンね、とならない新しさ。
    暗号解読も密室トリックも
    複雑な構成もすべて素晴らしい。





  • それぞれの人にそれぞれの事情。

    約340ページに纏められた本書はその題名から駅の売店で売られている読み捨て感覚のノベルスの1つに過ぎないと高を括っていたが、いやはや色んな謎が重層的に織り込まれたなかなか味わい深い作品だった。

    上の梗概にも書いた密室殺人の謎、「マザー・グース」の暗号の謎、遠隔殺人トリック、2年前の事故死の謎に加え、ペンション「まざあ・ぐうす」の前の所有者である英国未亡人の自殺の謎と盛り沢山である。

    またそれぞれの謎についても1つの真相に留まらず、そのまた隠れた真相と二重構造になっているのもかなり贅沢だ。デビューした作家が必ず通るカッパ・ノベルスでの、所謂『量産物』的作品と位置づけるには勿体無いくらいの満腹感がある。

    東野氏は本作で当初叙述トリックを試みようとした節がある。よくあるパターンのトリックなのだが、しかしそれは早々に種明しされる(なんと始まって30ページ弱のところで)。通常ならばこの手法を用いるのにそんなに早い段階で明かさないのだが、恐らく書いている途中(もしくは一旦書きあがった途中)にこのトリックが作品のバランスを欠くものだと判断したようだ。
    私は逆にこの判断を尊重する。本作を読むに別に最後の方で明かすことは困難ではなかっただろう。ちょっとしたサプライズとして取っておくことは可能だっただろうが、やはり最後のエピローグまで読むと、この段階で明かすことが賢明だったように思える。
    この辺の思い切りのよさが単なる「推理」作家に満足していないとの認識を得た。

    しかしとは云いつつ、本作のメインの2つの謎―密室殺人と暗号―は結構複雑。

    まず密室殺人。過去2作の密室殺人から判断できるように、東野氏の密室殺人は密室が何段階にも分けられて構成されていることに特徴を感じる。最初は開いていた扉が次には閉まっていた、ここが逆に読者を更なる難問へと導くのである。

    だからその解明も結構複雑だ。詰め将棋が解かれる様を見ているようである。

    しかし、逆にこれが所謂“ファイナル・ストライクー最後の一撃”効果を大いに減じているのは確か。読者はロジックを理解するのに腐心して、カタルシスを感じないのである。

    それは「マザー・グース」の暗号にしてもそうである。いやいや、かなり難しい。英文と訳文2つを駆使して、しかもそれぞれの詩の構成を参考にして分解・再構成をしなければならないとくれば、いやもうこれは一種、数学の難問と取り組むのと変わらない趣きがある。

    先ほど述べたように、カッパ・ノベルスと云えば出張や旅行の車内で暇つぶしに読むといった感じの蔵書であるから、この作品だと暇つぶしどころか、かなりの頭脳労働を強いられる事だろう。
    おっとこれは本作の出来には関係のない余計な詮索だった。本筋に戻ろう。

    東野氏の作品は物語にコクがあるのも事実で、本作もそれぞれの宿泊客は元よりペンションのオーナーにシェフ、従業員の男女にも深みのあるバックストーリーが用意されている。これが今回のプロットを重層的に構成させるのに大いに貢献しているのだが、このストーリー性とロジックに偏ったトリックとがいささか上手く溶け合っていないように感じる。
    前2作はまだ良かったが、3作目の今回は特に強く感じた。宿泊客がそんな複雑な仕掛けをするかなぁというのが私の感想である。確かにそれを裏打ちするエピソードも用意されてはいたのだが、1年に一度訪れる現場では準備に苦労するという気持ちは否めない。

    しかし、まだ東野ワールド創世記である。現時点このクオリティだから、今後更に大いに期待できるのは間違いない。
    ああ、次はどんな話を用意してくれるのだろうか。

    最後にちょっと蛇足めいた感想を。
    他の人の書評にもあったが東野氏の過去の作品には昔の時代を感じさせる表現が時々出てくる。今回もあるにはあったが、1つだけ。
    数千万円相当の宝石を評して、プロ野球のトップ選手の年棒とあるが、今の数億円プレーヤー頻出の世の中では失笑を免れない表現である。これは次回重版時に削除したらよいかと思うが、どうだろうか?

  • 題名だけ見て買った一冊。

    たんたんと話が進むような感じだった。

    こうゆう小説を読んでると、最後のほうで人間関係がわかってきて、なるほどと思う時が多々あるが
    この小説もマザーグースの謎解きより人間関係のほうが印象強かった。

    謎解きの難しい小説でした。


  • 雪の山荘、マザーグース、暗号、密室、ワクワクする設定が勢ぞろいなだけにもったいなく感じた作品。
    面白くないというわけではないが、パンチが足りない。

    暗号に重きを置き過ぎて人物や背景が深く描けていない気がした。
    だから、犯人がわかっても驚きもなかった。
    肝心の暗号も読者で解けた人はいるのだろうか…
    あれは難しすぎるというか考えつく人いないような。

    しかし、プロローグの謎を最終章で上手く回収し、エピローグまでドラマチックに盛り上げドキドキさせてくれたのはさすが東野さんだ。

    この作品があったから、「仮面山荘殺人事件」や「ある閉された雪の山荘で」が生まれたのだろう。この2作品好きだ。

  • 初期作であり、作者の醍醐味である
    人間描写には至らず、多くの密室殺人小説の粋を越えず 楽しめなかった。

  • うーん…
    おもしろいんだけど、どうにも違和感が拭えない…
    本格ミステリーってことはわかるし、3作目がこのレベル!?って感じはします。
    マザーグースのトリックが難しめだしちょっとついていくのに必死だったかなというのが正直なところです。
    動機や登場人物の真意についてはあまり言及がなかったように思います。

  • 久々の山荘シリーズ。(シリーズというとが正しいのかわからないが)

    結末がよくわからんくなってしまった笑
    仮面山荘が良すぎたためにどうしても比べてしまうなぁ
    良くないけど
    登場人物がなんだか不思議な雰囲気出過ぎてました笑
    真琴があんな男っぽいのってなんの意味もないんかーい

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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