偽りの墳墓 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334734220

感想・レビュー・書評

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  • 偽りの墳墓
     1 夜おとずれた客
     2 湖畔の疑惑
     3 カードの数字
     4 服は汚れていた
     5 手紙と万年筆
     6 海の島
     7 なぜ驚いたか
     8 雨の唄
     9 残された解釈
     10 破局の対話
    あとがき
    文藝春秋社「偽りの墳墓」 1963年7月
    (原型 「偽りの墳墓」 小説新潮 1962年8月)

    偽りの墳墓 鮎川哲也
    立風書房「鮎川哲也長編推理小説全集4 砂の城」 1975年10月

    エッセイ 斎藤栄
    鮎川哲也氏と私と鎌倉など

    解説 山前譲
    鮎川哲也と取材旅行

  • 鮎川哲也の長篇ミステリ小説『偽りの墳墓~鬼貫警部事件簿~』を読みました。
    『人それを情死と呼ぶ~鬼貫警部事件簿~』、『準急ながら~鬼貫警部事件簿~』に続き、鮎川哲也の作品です。

    -----story-------------
    浜名湖東岸の温泉街で、土産物屋のおかみ・いくが首吊り死体で発見された。
    自殺を偽装した痕跡があったことから、多額の保険金を掛けていた夫・捨松(すてまつ)が疑われるがアリバイが崩せない。
    さらに、保険会社の依頼でいくの死を調べていた美人調査員が殺される、第二の事件が発生。
    やはり真犯人は捨松なのか!? ところが事件当日いくを訪ねてきていた第三の男の存在が浮上して……。
    巧緻を極めたトリックに鬼貫警部が挑む!
    -----------------------

    1962年(昭和37年)に『小説新潮』で発表された短篇を翌年、長篇化したもので鬼貫警部シリーズの作品です。

     ■一 夜おとずれた客
     ■二 湖畔の疑惑
     ■三 カードの数字
     ■四 服は汚れていた
     ■五 手紙と万年筆
     ■六 海の島
     ■七 なぜ驚いたか
     ■八 雨の唄
     ■九 残された解釈
     ■十 破局の対話
     ■付録1●あとがき 鮎川哲也
     ■付録2●偽りの墳墓 鮎川哲也
     ■エッセイ●鮎川哲也氏と私と鎌倉など 斎藤栄(作家)
     ■解説●鮎川哲也と取材旅行 山前譲(推理小説研究家)

    浜名湖沿岸にある温泉地・舘山寺の土産物屋の女将・山野いくが首吊り死体が発見されるが、遺体には偽装工作の跡が見え、夫・捨松に容疑が懸かかり、自殺を装った保険金目的の殺人事件として捜査が始まる… しかし、捨松には鉄壁のアリバイがあり容疑者から外される、、、

    その後、保険会社からの依頼で、りくの殺害事件を調べていた女性調査員・須田和歌子が他殺死体で発見される… 当初は保険金目的の殺害に続き、その事実を知った調査員を殺害するという一連の事件と思われたが、捜査を進めるうちに意外な事実が判明し、事件は二転三転する……。

    読み終えてみれば納得の真相ですが… なかなか難しいアリバイ崩しでしたね、、、

    ちゃんとフェアに情報は提示してあるんですけどねー そこが、鮎川哲也の作品らしいところですかね… メモや万年筆、赤いワンピースといった小物の使い方も巧いし、当時のハンセン氏病への社会の無理解等も織り込まれており、社会派としても読める逸品でした。

  • なんだか感じ悪い人ばっか出てくるんだけどなんとなくカラっとしてて読みやすかった。

  • ★3.5かな。
    初めて読んだ鮎川作品。
    派手な密室トリックやダイイングメッセージなどはなく、地味に物証を集めながら推理して行くストーリー。
    リアリティがあり、好きです。

  • 2013.5処分

    鬼貫警部のアリバイもの。
    土産物屋のおかみ、いくが首吊り自殺に見せかけて殺され、夫の捨松が疑われる。
    さらに保険会社の雇った女性調査員が死体となって発見される。
    調査員の同僚である男が疑われるが、アリバイがあって…という内容。
    ワンピースの購入やインクを使ったアリバイ工作は、あぁ成る程〜という感じ。

  • 1963年発表

  • 鬼貫警部シリーズ

    妻の首つり死体を発見したという山野捨松。しかし自殺ではなく他殺の疑いが・・・。進む捜査。死の直前いくのあっていた男性の秘密。保険金受け取りの為の調査。保険会社の調査員・須田和歌子の殺害事件。胸を病み長期入院を続ける和歌子の夫と和歌子の浮気相手。和歌子の服を質入れした女と女の証言に登場した男。インクの付いたコートの秘密。和歌子の浮気相手は?和歌子の同僚・大津との捜査。

     2010年12月19日読了

  • アリバイ崩しがメインの本格もの。
    前提が「死亡時刻がはっきりと断定できない時代」なので、それをうっかり失念するとオチにびっくりする。
    鬼貫、丹那コンビシリーズではあるものの、特にこれと言った主人公をおかず「警察」の捜査で1つ1つ事実を洗い出しては確認していく手法は、いつものことながら読み応え十分。
    ラストの犯人に辿り付いたと思わせる描写もいい。
    やはり鮎川氏の小説は地味にずっしり面白い。

  • obtnd

  • さすが堅実、というか安心して楽しめるなぁ。今回鬼貫警部ほとんど出てこないんだけど繰り返される殺人とその容疑者たちへの鉄壁のアリバイといういつもの構図に、いったい誰が本命の容疑者なのかといういつもとは違った興味を掻き立てられる。なんせ今回鬼貫警部もかなり迷ってるし。時刻表トリックであることは確かなんだけどそれだけでなくそのトリックを補強するための小技が光っててかなり楽しめる。ただ、個人的にだけどなんとなく最後の真相の暴露の部分がすっきりしなかった感じがある。あれは推理で突き止められるのかな?

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著者プロフィール

鮎川哲也(あゆかわ・てつや)
本名・中川透。1919(大8)年、東京生まれ。終戦後はGHQ勤務の傍ら、様々な筆名を用いて雑誌へ短編を投稿し、50年には『宝石』100万円懸賞の長篇部門へ投稿した「ペトロフ事件」(中川透名義)が第一席で入選した。56年、講談社が公募していた「書下ろし長篇探偵小説全集」の第13巻「十三番目の椅子」へ応募した「黒いトランク」が入選し、本格的に作家活動を開始する。60年、「憎悪の化石」と「黒い白鳥」で第13回日本探偵作家クラブ賞長編賞を受賞。受賞後も安定したペースで本格推理小説を書き続け人気作家となる。執筆活動と並行して、アンソロジー編纂や新人作家の育成、忘れられた探偵作家の追跡調査など、さまざまな仕事をこなした。クラシックや唱歌にも造詣が深く、音楽関連のエッセイ集も複数冊ある。2001年、旧作発掘や新人育成への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞を受賞。2002(平14)年9月24日、83歳で死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞を贈られた。

「2020年 『幻の探偵作家を求めて【完全版】 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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