ifの迷宮 (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (571ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334734695

感想・レビュー・書評

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  • ifの迷宮
     章Ⅰ まだ名なき者と無名死体
     章Ⅱ 不死迷宮の始まり
     章Ⅲ 死と語る人々
     章Ⅳ 消えた死体の素顔
     章Ⅴ 災厄の中の密室
     章Ⅵ 二つめの不死
     章Ⅶ 急転直下
     章Ⅷ すべて運命のもとでなく・・・
     終章 ifの福音
    光文社「ifの迷宮」 2000年2月

    解説 宮部みゆき
    死を見つめつつ、いかに生きるか

  • 死んだはずの人物の遺伝子が殺人現場から発見?という謎から始まり密室や死体消失?と言ったミステリの謎解きと遺伝子や精子バンク、障害者、命の「選別」という重いテーマが同時に進んでいきます。障害児を育てながら捜査にあたる百合絵を初めたくましく生きていく女性達に好感を持ちました。

  • 本格ミステリというよりも社会派ミステリのように感じられた。事件を複雑化させているネタは事前にある程度の知識がないとわからないものだったのでその素養がない私には謎解きされるまでさっぱりわからず。読み応えはあったけれどテーマがテーマだけにちょっと陰鬱な気分にもなった。

  • 出生前診断がいつの間にか当たり前のような時代になりつつある昨今、医療関係の技術においてどこまで倫理的に許されるのか。
    をテーマにした推理小説。

    証拠隠滅をした人の神経がヤバイな気もするけれどやっぱり犯人が一番ヤバイ人だったわ。

    ハプスブルグ家のスケールダウン版な感じがしてしまう。

  • 死んだ人物の遺伝子が殺人現場から発見?

  • 世の中の医療は飛躍的に進歩し、病気を治療するだけでなく、その因子を撲滅するところまで及ぼうとしている。
    出産前遺伝子検査が当たり前となりつつあり、遺伝子的に問題のある出産を避けるのが主流となっている。
    中にはそのような考えに異議を唱え、あえて検査を行わない者もいた。刑事朝岡百合絵もその一人であった。彼女の第一子は心身ともに発育不全である。そのことを世間では親としての怠慢と責める風潮があった。そんな百合絵は現在妊娠中、遺伝子検査を行うかどうか迷っている。そんな彼女が担当することになった殺人事件は遺伝子研究産業の大手SOMONグループの娘、亜美が被害者である。暖炉に上半身を突っ込む状態で発見された被害者。さらに彼女は足の裏を薪で焼かれている。犯人はなぜそんなことをしたのか。
    2年前の死体遺棄事件や遺伝子産業反対運動、土砂災害など様々な問題が絡みあい事件は徐々にすすんでゆく。

    ばくっとネタバレのないように語ればこのようなとっかかりです。
    作者本人も語っているように(あとがき解説者談)うんちく本格推理小説。
    このいまいち退屈さもありながら淡々と読み進めてしまう感覚をどこかで知っていると思ったらダン・ブラウン作品でした。ウンチクミステリー。
    医療分野の方が読まれたらすぐにトリックがわかるのでしょうが、門外漢から見ればただただ「へーそーなのー」と言うしかない。
    けっこう分厚い文庫本で2センチくらいあるのですが、3/4まではわからないことだらけ。残りで一気に解きほぐす様は圧巻でした。
    通勤途中のコマギレ読みには向かないですね。
    お休みの日にゆっくりとじっくりと読むのがよいと思います。
    面白いかどうかはともかく、たくさんの知識が得られます。

  • トリックはちょっと強引かなーと思うところもチラホラ、でも実は子供のころ離れ離れになった双子でした!とかの私の嫌いな展開にもならず、その辺は◎でした。
    なんとなく誰に焦点を当てていいかわからない内容で全体が散漫になってしまった印象があります。

  • 先日の新しい出生前診断スタートのニュースに刺激され再読。遺伝子に関する専門用語が多いので、なかなか取っ付きにくく、好き嫌いが分かれる作品かもしれない。個人的には医療ものは好きなので評価は高め。

  • 日本の推理小説のレベルの低さをまざと見せつけるような作品だな。突っ込みどころが多すぎて突っ込む気力も失わせる。

  • 殺害現場から20年前に死んだはずの人物のDNAが検出され・・・
    とても複雑な内容だし遺伝子やら難しい題材でもあるけど興味を持って読み進められた。
    だけどただでさえ複雑な事件なのに遺伝子技術の進歩による倫理問題とかいろいろ詰め込みすぎてやたらとながい!
    もうすこし短くてもよかったんじゃないかとは思う

  • 8月-16。2.5点。
    時間かかった。読み辛い。
    遺伝子問題、謎の殺人。死んだはずの人間の遺伝子が、出てくる。
    ちょっと難しいトリック。

  • 個人的にキャラクターがつかみにくかったですが、SFになりそうな設定を綺麗に昇華できてると思いました。胎児を分別するなんて、選択自体が哀しい。

  • 2011/1/27 Amazonより届く
    2011/8/14〜8/19
    最先端医療企業、SOUMONの周りで起こる不審死体の発見と殺人事件。遺伝子鑑定を行うと、とっくに死んだはずの人と全く同一人物であることがわかった。死者は蘇ったのか?
    私とは相性の良くない柄刀作品。宮部みゆきさんの絶賛帯にもかかわらず、やはり前半は辛かった。後半は畳み掛ける展開で持ち直したけど。トリック、サブストーリーなど盛りだくさんで、
    宮部さんが絶賛するのもわからなくはないが、やっぱり相性が悪いのかなあ。

  • 『福祉、と呼ばれた日本の精神は、産まれてきても大丈夫よ、ではなく、ここで死んだほうが幸せなのよ、という段階でその成長を止めた。』

    テーマは遺伝性疾患。著者曰く、「情報うんちく系のミステリー」らしい。なるほど、本書には、最先端医学や考古学の話題がふんだんに盛り込まれている。さらに、題目の通り、情報分岐が幾重にも折り重ねられているため、それはもう、やたら重みがある。とても片手まで流し読みできるような本ではないことは確かだろう。

    一つの命題を軸として、扇形にストーリーを構成し、転も結もその範疇に収める技術は素晴らしいと思った。ただ、そのせいでオチが読めてしまう点と、最後がifではなくcaseで終わっていた点が、少し残念だと感じた。

  • とにかく分厚い。
    そして長い。
    遺伝子の話が長々と出てきましたが、まさかそういう落ちでは…と
    疑う事暫し。
    この作者なので、そんな事はなかろうと
    安心して読み進めましたが。

    最後の解答編は、さすがに全てを回収するため
    かなりの長さで進められます。
    とはいえ、すべてが驚きで、まったくこういう落ちとは
    考え付きませんでした。
    そういう知識も、一応あったのですが…。
    やはりすごいです。
    が、長いですw

  • 遺伝子を巧みに利用した推理小説。医学的知識が乏しい為読みはじめはつまずいたが、乗ってくると次々に謎が解けて行く快感があった。

  • 食いつかせは良かったけど、結末はもう一ひねり期待してしまった。

  • +++
    とっくに死んだはずの人物の遺伝子が、殺人事件現場から発見されたら!?遺伝子治療や体細胞移植を手がける最先端医療企業SOMONグループ。その中枢を担う宗門家で、顔と手足が焼かれた女性の死体が発見された。現場のDNA鑑定が示したのは、“死者の甦り”という肯きがたい事実だった―。読者を謎の迷宮へ誘う本格推理の真骨頂。
    +++

    ほんの少し先の時代を舞台にした物語である。出生前診断で退治の遺伝子をチェックすることが、一般的になり、中絶の選択権がゆるやかになっている時代である。そんな時代に、遺伝子治療や体細胞移植をてがける宗門家の周りで殺人事件が起こるのだが、次々と奇妙な事実――とっくに亡くなっているはずの人物の遺伝子が検出されたり、被害者だと思った死体の遺伝子が加害者のものだったり――が判明するのである。
    命の問題、人生の問題、幸福の問題・・・。さまざまな問題を投げかけられているような心地で読んだ。何が正しいのか、一概には言えないと思うが、安易に流されていい問題ではないと改めて思わされた。

  • 被害者は「誰」で犯人は「誰」なのか。
    死人が蘇って犯したとしか思えない犯罪、一族に君臨する当主と「家」と「血」にまつわる妄執。
    蒙きを啓く柄刀マジック。
    熊ん八も初登場。

  • 200ページ目で...断念。
    たまたま気分的にこの手の本格派のミステリーが
    ハマらなかったのか、作品自体が好みに合わなかったのか
    は分かりませんが、その200ページに至るまでも相当な苦痛
    を伴う読書でした。

    後日、時間を空けて再読にチャレンジ!

  • 2004年4月20日読了

  • 社会派本格ミステリ。最後に一気に謎が解けます。

  • ものすごく専門用語の多いミステリな気がします…読みづらかった!遺伝が苦手なもので。遺伝子について鋭く迫っている1冊です。こんな世界が本当なら…と,ちょっと恐ろしくなりました。

  • なんかめちゃくちゃ読みづらかった。<br>
    この読みづらさはやたら専門用語が出てくるだけじゃないという気がするなあ……。<br>
    主人公は事件を担当する女刑事。<br>
    出生前遺伝子診断がほぼ当たり前にありつつある近未来、障害のある子供を産み育てている彼女は、2人目の子供を妊娠しており、その出生前診断を受けるかどうか悩んでいます。<br>
    出生前の遺伝子診断は最近も話題になった気がしますが、「生命の差別化」と「福祉とは何か」が主なテーマでしょうか。<br>
    ミステリ部分はいまひとつ解決も物足りなかったんですが、「産まれてくるより、死んだ方が幸せなのよ」という言葉が、心に刺さりました。

  • 私の苦手な「遺伝子」がいたるところで語られるミステリ。でも、読みすすめるうちに、"難しい"よりも真相が気になって仕方なかった。近未来の話だけど、既にこうゆう人がいるかもしれない。先天的障害児を生まないための遺伝子チェック等、現在にも通じる問題があり考えさせられる。宮部みゆき女史のオススメ。

  • 近未来での遺伝子問題を徹底的に予測した事件。確かに、その人だと断定できる技術は進歩しそうだがそれと同時に断定できなくなる、同じ遺伝子を持つ物の存在が現れる可能性もはらむということを推測させた。話としてはおもしろいのだが、いかんせん、作風だろうがやたらと登場人物の視点を変えるので読みにくくて仕方がない。

  • 池澤の死体を『拾い魂の社』近くに埋めたと証言する八木とともにその現場に訪れた百合絵達一行。彼らの元へ、村人が死体を見つけたと来たものの、その場所には死体など無く青白い炎があるだけだった。
    遺伝子治療や移植など最先端の医療企業SOMONグループ。その宗門家の洋間で顔と手足を焼かれた若い女性の死体が発見される。被害者はDNA鑑定で宗門亞美と断定された。
    親子鑑定する為に亞美の亡父・継信の遺髪を分析していた夫・真一の元へ訪れた百合絵は、モニタに映し出された塩基配列から2年前に殺害された池澤の塩基配列を思い出した。
    そして、20年近く前に亡くなった継信と池澤のDNAが一致するという信じられない結果が出る。



    これは、本格推理の名作だと思います。この作品が何の賞も取らなかったのが、もの凄く不思議。でもって、2000年の“このミス 10”に、なんで入らなかったんだろうと思ったり。
    これほど骨のある本格物は久し振りに読んだ気がするのになぁ。残念だ。

    時代はちょっと現在より進んでるという現在。判りにくいなぁ(笑)
    遺伝子医療や分析などが現在より少し進んでいるという設定を引いてるのでこんな書き方しか・・・決してSFでは無いです。(一応、近未来設定だからSFといえないことも無いが・・・)

    おそらく、医療従事者ならある程度予測はつくんじゃないかな。20年前の死者と2年前に死んだ人物がどうしてDNA一致するか・・・という辺り。謎の一つだが、私は全く知らなかったので、このトリック(と呼んでいいのか?)は目にうろこという感じ。
    だから余計にこの作品に惹かれたのかも。この辺りがすぐ読めちゃうと確かに面白味は半減しますね。
    ただ、謎は一つでは無く密室もあるし、後半には再び死者が殺人を行ったかのような展開もある。突飛な設定なので読んでいて、本当に理論的に解明するのか?と疑ったほど。
    投げたら偶然に屋根にのっかったとか、ゴロンと家が一回転したとか、手でごりごり動かせただのとか(別にこれはこれで面白いので非難してないけど:笑)言うゴリ押しは無しだよ!?とか妙に心配しつつ読んだりしたのも事実(笑)
    しかし、読み手の不安をものの見事に拭い去ってます。綺麗に無理なくENDしてます。現代より遺伝子分野がちょっと進んでる設定ってのがミソといえばミソですね。
    そして、遺伝子分野の学問が進むと人類はこういったジレンマを絶対に抱える事になるだろうな・・・というのが物凄くリアル。もう、そこまで来てるという感じもします。
    ミステリーの中でも本格推理が好きな人はご一読あれ。「3000年の密室」より遙かに良い作品だと私は思います。

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著者プロフィール

1959年、北海道生まれ。1994年に「密室の矢」が読者投稿アンソロジー『本格推理3』(光文社文庫、鮎川哲也・編)に採用され、以降も「逆密室の夕べ」と「ケンタウロスの殺人」の投稿作品が採用された。98年、長編「3000年の密室」で作家デビュー。代表作は「時を巡る肖像」「密室キングダム」。日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブの各会員。

「2022年 『【完全版】悪霊の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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