- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751166
感想・レビュー・書評
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ゴーゴリというと名前だけは聞いたことがあるけれど
全く読んだことがなかったロシアの文豪??
ドストエフスキーはゴーゴリがいたから
自分の小説が書けた、みたいなことを言っているくらいの
すごい偉い人なんだろうなぁという印象だけはあった。
で、今回初ゴーゴリだったわけですが
ぶっ飛びました。
なんだ、このバカバカしさは!!
これは凄い。笑えます。
今の作家でいうと町田康なんかは近いのかも。
でもぶっ飛び具合のスケールが違う。
「鼻」という短編なんかは
朝起きたら虫になっていたというカフカどころではなくて
鏡を見たら鼻がなくなっていて
探しに町へ出たらその鼻が偉そうな格好で
町で紳士然と闊歩しているという話ですからね、
鼻が服着て歩いてるんですよ(笑)
意味わかりません(笑)
「外套」という短編も面白い。
ストーリー的には小学生が作りそうなレベルなところが凄い。
でも、なんか響くんですね。
何の取り柄もなく新しい外套を買うことが
何よりも楽しみになる、という小市民な男の話が。
ロシアではドストエフスキーとかトルストイよりも
ゴーゴリが人気がある、ということですが
なんとなくわかる気がします。
ついでに翻訳が落語みたいで読みやすいのも良いです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「なんだよう、これ・・・・面白いじゃんかよう・・・。」と呟きながら読んだ『鼻』。なんかこういう夢見たことある気がしてくる支離滅裂っぷり。『外套』は、あぁきっとこの後酷い目に遭うんだろうなぁって思ってたらほんとにその通りになってしまい「あぁぁぁ( ;∀;)」と声が出た(笑)そこから先のもうひと押しが良いね。『査察官』は、前2作の方が好きだな、と思ってたけど、終盤にかけてシニカルな笑いが止まらなかった。解説でゴーゴリめっちゃ悪口書かれてて笑ってしまったが、おバカな天才だったんだろうか。他の作品も読みたい。
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えーっと。岩波版の方を読んでいないので良くわからないのだけど、私はこの落語調の翻訳が原典の魅力を損なっているように感じてならない。鼻がひとりでに歩き出すというおかしみをもうちょっと硬派な文体で読みたかったかも。岩波の方も読んでみようと思う。「査察官」は落語調の翻訳がピタッとはまってこの中で一番楽しく読めた。主人公がゴーゴリの投影なのか。ゴーゴリという人物に興味がわいてきた。この翻訳は賛否が分かれそうな感じがする。2012/082
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新訳版ではべらんめえ口調となっているようです。
これ岩波版と対比で読んでみたいなぁ。
どう違う印象を受けるのでしょうね。
3つの作品どれもが好きです。
2つはまあありえないよ的な
非日常物語。
何せ最初の作品は鼻ディサピアードですので。
しかも移動しよるから恐ろしい。
でも、一番の傑作は
滑稽さ前回の「査察官」
悪いことしなければごまかしの連続なんかに
ならなかったのにね。
最後のあの場面は「頭にこびりつく」ことでしょう。
賛否両論あるでしょうが
この口調もわるかない。 -
読み始めて「なんだか落語のような文章だな」と思っていたら、意図的に落語調にしていたことを解説で知った。おかげでテンポよく読め、掲載された三作品ともこのノリがマッチしていると思うが、その一方でロシアを舞台にしながら日本語独特の言い回しを多用していることに、やはりどうしても違和感がぬぐえなかった。
内容は……奇抜な『鼻』を筆頭に、よどみなく流れるドタバタ感がとても楽しかったが、訳の特徴にばかり目が向いてしまったせいで、正直これという感想が思い浮かばない結果になったのは、はたしてよかったのか悪かったのか(苦笑)。 -
『鼻』を新作落語にできないだろうか、などと考えながら読んだ。落語調に訳すという試みは、自分は面白いと思った。でも、あくまでも「調」なのであって、本寸法の落語ではない。だからこれを元にして、プロの落語家や落語評論家が手直しすれば、新作落語に「改作」できるのではなかろうか。それを白鳥師匠が演じたら…などと、妄想が尽きなかった。
いわゆる「古典」だからといって、肩肘張って読まなくてもよい。このことに気づけたのは大きな収穫だった。
作品自体のレビューも忘れずに書きたい。喜劇『査察官』も面白かった。皮肉の利いた言い回しとドタバタっぷりが、面白い。そして、幕切れの前衛的な雰囲気に息を呑んだ。このシーンだけでも必見です。 -
哀れな小男が主人公の話が多い作者。
この視点は世の中を冷めた視点から見るのに必要だと思う。 -
最初に読んだ訳が落語調というのはちとツライ気もする・・
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外套は読んでいて目頭が熱くなった。
光文社の方は査察官も入っているので岩波よりお得。 -
善悪の行使とその必然性、そして表現のなかにおける寓話性のバランスを構築して破壊しまくった時代の本。古典だけれど妙に生々しく恐ろしい。