赤と黒 (上) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751371

感想・レビュー・書評

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  • 何度も叫んでしまった。「ジュリヤンこのやろーーー!!!」と。
    この野郎、一人の親友に恵まれ二人の女性に愛され三人の恩師に助けられ(ピラール神父、シェラン司祭、ラ・モール侯爵)多くの民をその美貌と才知と得体の知れなさで魅了し死んだ後は小説になっちゃって今でも数え切れない人間の心に語り残り続けているというのに、出世?権力?なんじゃそりゃ!人間不信にも程があるし、勘違いも甚だしい。感情に煽られっぱなし。コミュ障。KY。挙げだしたらきりがない。でも憎めないんだ。嫌いになれないんだよ。「死ぬな」って願っちゃうんだよ。愛しちゃうんだよ。君みたいな男を。君だから。だからもう一度叫ばしてもらおう。「ジュリヤンこのやろーーー!!!」と。

  • モームの選んだ「世界10大小説」の一つ。『赤と黒』の初版本には、副題として表紙に「19世紀年代記」、中扉に「1830年代記」と記されている。

    「年代記(chronic)」という単語に「この作品を単なるフィクションとは受け取るなかれ」という著者の意図が見てとれる(訳者野崎さんの読書ガイドより引用)。

    『赤と黒』で描かれるのはシャルル10世の治世(王政復古期)である。王党派や教会権力(保守的勢力)vs. 自由主義勢力(改革派)という対立構造があることを踏まえておくと良い。

    また、この小説は「史上初の、サラリーマンを主人公とする小説だと述べる研究者もいるくらいで、ヴェリエールではレナール氏、パリではラ•モール侯爵に雇われるが、家庭教師に雇われる前の彼の蓄え、給料を比較しながら見ると、彼の社会的な「価値」のバロメーターがわかるというわけだ。

  • 学生時代はえらく面白く読んだ気がする。
    まぁ、今読んでも面白いけどね、昔ほどではない。

  • 1820年代のフランスを舞台に、立身出世を目指す貧しい木こりの子(この文庫本では、彼はそれなりに裕福な木材商の子弟とされている)・ジュリアンの野望と転落を描いた、スタンダールの小説。世界史の歴史に載るほど有名なのに、今まで読む機会がなかった。安倍政権発足以来、日ごとに高まる「反知性主義」に対抗するためには古典を読むのが一番だと思いながら書店内を散策していて、たまたま目に入ったのがこの本である。
    主人公ジュリアンは実家を出て、地元有力者・レナール家の家庭教師になる。ほどなくして主人の妻・ルイーズと恋愛関係になり一線を越えた関係になるが、主人は二人の関係に疑念を持ち、レナール家に気まずい空気が流れてしまう。主人公の立場をおもんぱかったルイーズは、彼を神学校に入学させることにする。ジュリアンはレナール家の一員になって以降、上流階級の持つ欺瞞性を嫌悪していたが、神学校入学後はその思いを強めていく。彼は自らの知性と美貌を武器に「上流階級」に一泡吹かせようという野心を抱くようになる。
    階級間の格差が広がりつつある現在、ジュリアンと同じ野望を抱く人間は増えていることだろう。問題はその野望が「世間をよくしよう」という方向ではなく、自己顕示欲に向かう人が多くなるのでは?ということである。1820年代のフランスに流れる空気が、現代日本にも漂っているのだろうか?

  • 高校生のときは新潮文庫で読んだ。当時はよく分からなかった部分も今となっては余裕をもって楽しめる。面白くてムラムラする。

  • 生まれは貧しいが野心と自尊心は人一倍強い青年(ジュリアン・ソレル)が、その才知と美貌を武器にして上流社会に入っていく話。
    ジュリアンの性格がとにかく複雑なうえに主人公らしくない(愛する人に対してさえずる賢かったり、聖職者を目指しているにも関わらず不信心だったり…とんでもない性格!)ので、そこが普通の小説と違っておもしろかった。
    副題が19世紀年代記というだけあって、執筆当時(1830年頃のフランス)の政治への批判や、実際に起きた事件について書かれています。

  • フランスの歴史が少し分からないとつらいけれども
    ナポレオンが主人公に多大な影響を
    与えてた、と言う事実を知れば
    問題なくは読めると思います。

    その気質ゆえに家では散々疎んじられていた
    ジュリヤン。
    一見おとなしげに見える彼は
    実は心のうちには「大きな野望」を抱いていたのです。

    そして計算高い彼は
    一人の夫人を誘惑し、
    ついぞは彼女をものにさえしてしまいます。
    そして彼はその計算高さ、狡猾さを武器に
    地位までも手に入れようとしています。

    だけれども脆さも見えるという不思議。
    それが下巻では
    どうなっていくのでしょうか。

  • 恋愛小説の傑作でしょう。
    現代日本では見られないような野心満々・肉食男子のジュリアンもその恋人たちも、なぜか芝居がかって冷静に考えるとおかしいのですが、やっぱり読んでいて引き込まれてしまう駆け引きの様子とドキドキの心理状態。
    少女マンガのようなフランス文学です。

  • ロシア文学に負けないくらい登場人物が多い。
    神父に教えてもらったラテン語を武器に上流階級の家で家庭教師をする農民の子ジュリヤン・ソレル。
    私が読んだ(そんなに読んでない)フランス文学の中では1,2を争うくらい面白いです♪

著者プロフィール

スタンダール(本名アンリ―・ヘール)は、フランス革命からはじまるフランスの歴史的な激動時代を生き抜いた、フランスの代表的な作家。著書に「赤と黒」「パルムの僧院」「恋愛論」など。

「2016年 『ディズニープリンセス 「恋愛論」 Disney Princess Theory of Love』 で使われていた紹介文から引用しています。」

スタンダールの作品

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