白魔 (光文社古典新訳文庫 Aマ 3-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751760

感想・レビュー・書評

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  • まだ読み始めたところなんだが、「白魔」がしょっぱなから凄くて総毛立つ思い。久しぶりに読書でドキドキしている。
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    読了して思ったのは、マッケンが超常的なこと以外を書く時、とても好もしさを感じるということ。それが、今回南條竹則訳で更に際立って感じられると思う。
    話が超常的な方向に進んできた時に、それまでとても明朗で美しかった文章がもやもやとぼやけて来て、それが僕としては非常にもどかしい。ダンセイニ卿の作品を読んだ時の感じを思い出す。でも、素養のある人にはその辺りが面白く感じる部分になるかもしれない。
    そうは言っても、やはりマッケンの書く話は何か良い。滋味に面白い。
    「生活のかけら」に出てくる予言や、「大いなる来復」の短信のような、意味深なフレーズは独壇場だと思う。その一文だけで深い未知の世界が広がり、戦慄を覚える。

  • 「白魔」 古典探偵小説や怪奇小説ではお馴染みの何やら一家言ありそげな男が友人相手に、もっともらしい話をしている。さてそれは罪に関する持論だったのだが、興味を持った相手に差し出したのはある少女の手記だという。というわけでこうした外枠の語りの中におさめられたこの手記が話の中心だが、主人公の目から見た魅惑的な怪異が不確かさを持って綴られていくところが、体験を共有しているような効果を生んでいるのがよい。こういう書かれ方のものはあまり読んだ記憶が無く新鮮。
    「生活のかけら」 仲睦まじい夫婦が妻の叔母から誕生日祝いでもらった百ポンドの小切手を何にしようか相談をはじめる。日常の細かなディテールが書き込まれ、身近な物や人のエピソードが次々に語られ普通小説なのかな?と思いきや次第に不思議な世界が侵入していく。日常の出来事が連続していくという描き方は、これまた似たようなタイプのものがぱっとは思い浮かばないユニークさがある。また意図していなかったかもしれないが、金銭の話題や当時の風俗をしのばせる内容も多く、それも印象深い。

    『翡翠の飾りより』

     日本では未紹介の短篇集から3作

     「薔薇園」 夜の月明かりの中に広がる美しい幻想。
     「妖術」 妖術をめぐる女性たちの秘密。

     「儀式」 少女は未知であった大人の世界に触れていく。『筋肉男のハロウィーン』の「セレモニー」と同じ作品なのかな。訳文に寄って印象が異なり、理解しやすさより描写や言葉の美しさの方が前面に出ている感じ。

     ホラーや怪奇小説という先入観で読み始めたが、読んでみると主人公たちの多くが<ここではないどこか>である幻の美しい世界を自ら希求するようなむしろファンタジーの要素が強く感じられた。そういった夢のあわいにある世界の描写が大変美しく心に残る(訳がいいのかもしれない)。

  • おもしろかった〜

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