狭き門 (光文社古典新訳文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753061

感想・レビュー・書評

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  • 愛する二人、ジェロームとアリサ
    しかし、妹に遠慮したり、遠距離になったりで
    結局恋が実らず、、

    手紙のやりとりで話が進んでいく構成
    アリサの信仰心がゆえに、自分の内心の美徳を重視し、二人が一緒になれなかったということなのかと思えたけど、
    もしかしたら、ただ単純に好機を逸したということかもしれない

    恋だ愛だは、好機が過ぎたら潔く諦めるべきという教訓的に読むのもありではないでしょうか。

  • すごかった。
    とにかくオモシロかったけど、なにがなんだけ全然わからない。
    いや、分かるんだけど、納得はいかない。
    でもとにかく、おもしれえ。

    若い男女がいて、プラトニックに愛し合っていて、
    両思いなんだけど、なぜだか女の方が現実的にいろいろな意味で愛を受け入れない。
    「それだめなの。許されない」
    みたいな。それがなんでだか、主人公の男も分からないけど、こっちも皆目分からない。
    分からないんだけど、「それがなぜか」という方向ではなくて、
    「で、ふたりはどうなっていくか」ということのみに爆走していく物語。

    雑に楽しんで読んでいく分には、そのあたりが「狭き門」なのか、
    実は愚者たる自分には明確にピントが合った形では分からない(笑)。
    でも、なんだかその、経済的に言うと全く合理性の無い不幸みたいなものが、
    狭き門だとすれば、いやあ、かなり狭い門です。入りようが無いのでは(笑)。

    そして瞠目すべきは、それでいて無茶苦茶オモシロイということ。
    ちょっと三島っぽい、ヤバイおもしろさ。

  • 3.74/168
    『愛し合う二人の恋はなぜ悲劇的な結末を迎えなければならなかったのか? なぜかくも人間の存在は不可解なのか? 誰しもが深い感慨にとらわれる、ノーベル賞作家ジッドの代表作、みずみずしい新訳で登場。

    美しい従姉アリサに心惹かれるジェローム。二人が相思相愛であることは周りも認めていたが、当のアリサの態度は煮え切らない。そんなとき、アリサの妹ジュリエットから衝撃的な事実を聞かされる......。本当の「愛」とは何か、時代を超えて強烈に問いかけるフランス文学の名作。』
    (「光文社」サイトより▽)
    https://www.kotensinyaku.jp/books/book204/


    冒頭
    『僕以外の人ならこれで一冊、本を書けたにちがいない。だが、これから物語るのは、僕が全力を出して体験したことであり、まさにそのために僕の力は尽きてしまったのだ。』


    原書名:『La Porte étroite』(英語版『Strait is the Gate』)
    著者:アンドレ・ジッド (André Gide)
    訳者:中条 省平、中条 志穂
    出版社 ‏: ‎光文社
    文庫 ‏: ‎309ページ
    ISBN : ‎9784334753061


    メモ:
    ・松岡正剛の千夜千冊 865夜
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」

  • 信仰と幸福の対立の物語。本当に徹底して信仰を実践すると救われるものも救われなくなってしまう、だから歴代の宗教は愛や慈悲というものを超越的なものに対置したのだ、というような説明を聞いたことがあるが、まんまそれを描いたようなストーリー。真の信仰と比べたら、幸福は彼岸のものではなく地上のものであるということを思い出させられる。けれども、悲痛な結末の印象は薄く、それよりも全編を貫く清廉さの方が強く残った。情景、心情、ストーリーのすべてがあまりにも清廉。この極端に汚らわしさを排除し美へと偏った小説を読んでいると、宗教というのは人間の美しいものを美しいと感じてしまう感覚のもとに道徳と幸福の妥結を図ったものなのではないかという発想さえ浮かんでくる。潔癖主義的な物語だが、とても刺激的だった。訳も煩わしいところが全然なく、非常に良い。

  • 十数年前に読んだときには、信仰心ゆえに恋へ踏み出さないアリサのお話しだと思っていたが、解説にある本当は信仰心など特になかったのではないか、という点を意識してみるとまた違った読み方ができた。

    また、以前読んだときはジェロームとの結婚を恐れていることをアリサの臆病さや自己肯定感の低さと捉えてしまっていたが、もっとストレートに読んでもいいのかなとも。"アセクシュアル"的な(知識が雑なのでここにそれが当てはまるかはわからない)そういう意味で。

  • フランスのノーベル賞作家アンドレ・ジッドによる小説。愛と信仰の相剋を描く、美しく悲痛なラブストーリー。

    愛も信仰も純粋すぎて、混ざり合うことができなかったというべきか。神に至る道は狭き門ゆえに二人では入れないということか。相思相愛なのに結ばれないもどかしさ。身を引いていくアリサの心情がつかめず、最後の日記まで、見えない真相にやきもきする。美しく終わったようにも見えるアリサの人生と信仰をどうとらえるか。アリサが求めた至高の愛とジュリエットがつかんだ現実的な幸福、どちらが正しいのか。。独身を貫くジェロームの姿は美しくも悲痛だ。非常に後を引く、心に残り、かつ考えさせられる名作。

  • ヒロインの言動の理由が最後明らかになったとき、とても胸をしめつけられました。清純な信仰を最期まで貫いた姿勢はとても印象に残りました。

  • 主人公ジェローム。親戚のアリスのことが昔から気に入っており、結婚を希望している。しかし女の方は人間同士の恋愛結婚は、天国への扉を妨げると思い込んでいて、のらりくらり。本当にそう思っているのなら、外国にでも行き姿を消し、きっぱり連絡を取るな。建前は拒絶しておきながら、押しまくればいけるんじゃね?的な匂わせがイライラする。それとも生理的にこの男が嫌で、しかし親戚だから、「神様が」ってことを建前にして、男から距離を置いてるのか?それもなー、男の方の空気読まなさに恐怖。

  • 愛と信仰の間で激しく葛藤する悲劇の物語。
    ヒロイン、アリサのジェロームへの愛の深さ故に距離を置くに至る心理は、自分が身を引くほうがジェロームの為になるという考えからだが、かなり曖昧な理由であり、やはり本質は信仰心ゆえの、あえて困難な道「狭き門」を選ぶことがその理由と思われる。それにしても死の床にあったアリサがジェロームに読まれることを承知で手記を残すことはジェロームを深く後悔させることになると考えるのが普通であり、そこはやはり自分のの愛の深さをジェロームにどうしても伝えたい欲求からくるものか。そう考えると愛故に身を引く慎ましさよりも自身の信仰心を貫くヒロインの身勝手さが周りを巻き込む悲劇に発展したとも言えます。時に信仰心はこの上ない狂鬼を産むものなのか、それも含めて人間の業とも言えるものなのかと考えさせられます。
    三角関係と死別、死後に披露される真実を語る日記。これはまんま夏目漱石の「こころ」ですね。
    本作も解説がかなり充実しており、本作と作者の実生活との関係を考察しており読み応えがあります。
    訳者あとがきで題名に拘ったことを記していますが、題名が「狭い戸口」とならなくてよかったです。

  • 神が主体ではなく、あくまでも愛のありかたを語る。
    妹がいなければ、妹が愛さなければ、物語はなかっただろうな。

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