臨海楼綺譚 新アラビア夜話第二部 (光文社古典新訳文庫)

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334754617

感想・レビュー・書評

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  • 以前、岩波文庫の古い訳の新アラビア夜話を読んだら抄訳で全然わからなかったので、古典新訳文庫で読み直すことに。なぜか二部から手をつけてしまったのだけど、まあ基本短編集なので問題なし。とはいえこちらの収録作はとくにアラビア感はなく。おもに冒険譚…ですかねえ。以下ざっくりあらすじ備忘録。

    「臨海楼綺譚」放浪を好む主人公が学生時代の旧友の臨海楼近くに久々に立ち寄ったところ、怪しい事態が。どうやら旧友は、何者かから逃げ回っている父娘を匿っており、その娘に惚れこんでいるらしい。主人公もこの娘に恋してしまい、しかも両想いに。恋のライバルとなった二人はしかし娘を守るために一時的に休戦。その父を追ってきた組織と対峙するが…。

    「その夜の宿」主人公はフランソワ・ヴィヨン。泥棒詩人が偶然一夜の宿を求めて立ち寄った家で騎士の老人と対話する。

    「マレトロワの殿の扉」ある晩、道に迷った主人公は、見知らぬ家の扉の中に入り込んでしまい出してもらえなくなる。その家の主人マレトロワは、可愛がっている姪の恋の相手をとっつかまえて結婚させようとしていたのだが、つまり人違い。このマレトロワ、狂人としか思えず、別人と分かってもなお主人公を姪と結婚させようとする。幸いにもこの姪が美人で性格もよく主人公の男気に惚れ、結果ハッピーエンドながらちょっとモヤモヤ(笑)

    「天意とギター」旅芸人(?)の夫婦が、ある町で全然歓迎されず泊まる宿もなく野宿しようとしていたが、偶然知り合ったやはり野宿の青年と共に、ある画家夫婦の家に泊めてもらうことに。この夫婦は喧嘩中だったが、旅芸人夫婦は二人を若いさせようとし…。オチはまあほのぼの。

    ※収録
    臨海楼綺譚/その夜の宿/マレトロワの殿の扉/天意とギター

  •  表題作の「臨海楼綺譚」、冒険小説とか、女性を守る騎士道的な物語が好きな読者であれば、それなりに楽しめるだろうと思う。
     舞台は、リンクスと呼ばれる底なし沼のような流砂のあるエリアに所在する、世を拗ねた者が住む館。昔、彼と喧嘩別れしてしまった語り手が、各地を放浪の果て、久方振りにその土地にやってくる。人嫌いだった彼の館に、深夜、海から上陸してきた長身の紳士と美しい娘。一体彼らは何者なのか、またなぜ秘密めいた行動を取っているのか?
     そこから、美しい女性の愛情獲得を巡る男の争い、秘密結社から命を狙われている彼女の父親を守ろうとしての命懸けの戦いが始まる。果たして‥‥。
     この時代ならではの感は否めないが、語り手のかつての友人であり恋敵となったノースモアの人物造形はなかなかのものである。

     他の収録作は、やや雑多な印象。

     

  • 京都府立大学附属図書館OPAC↓
    https://opacs.pref.kyoto.lg.jp/opac/volume/1252003?locate=ja&target=l?

  • 新アラビア夜話の第二部なのだが、フロリゼル王子は出てこないし奇譚を期待した私にはハズレだ。表題作「臨海楼綺譚」は、友達もおらず孤独だった〈私〉が放浪の途中で、学生時代の唯一の友、偏屈なノースモアを思い出して訪れた楼閣で巻き込まれた不穏な事件。裏切り者を追い詰める炭焼党のイタリア人たち。彼らを裏切り追われる老人とその美しい娘クララ。そしてクララを守ろうとするノースモア。そこに加わる〈私〉。いわゆる恋と騎士道譚だ。何が起きてるんだろうかとミステリっぽく展開する。しかしアラビアンナイトをなぞった話ではない。他の3篇も同様だ。

  • 新アラビア夜話の第二部だけれども、フロリゼル王子の登場は無し。昔のエンタメなので、今の目で見ると展開がもっさりし過ぎている感は否めない。それを味と思って楽しめるかだと思うが、冒険譚とは言えない話が続くと多少しんどい。

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著者プロフィール

R.L.B.Stevenson

「2018年 『女声合唱とピアノのための ドゥーニィのヴァイオリン弾き』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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