風化水脈 新装版: 新宿鮫8 (光文社文庫 お 21-23 新宿鮫 新装版 8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (730ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334768010

感想・レビュー・書評

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  • 鮫島のライバル的存在の真壁と仙田が登場する贅沢な作品。
    初期の頃の疾走感は影を潜めたが、男の友情を前面にだし、笑顔で締めくくっていて爽やかな読後感。
    読む人によっては甘すぎると感じるかもしれないが、私としては大好きな作品となった。
    前作で人を死なせすぎた反動か、今回は主要メンバーがほとんど死ななかった。
    鮫島、真壁、仙田のこの後が楽しみ。

    8までの面白さをランキング
    1.新宿鮫
    2.毒猿
    3.無間人形
    4.風化水脈
    5.屍蘭
    6.氷舞
    7.灰夜
    8.炎蛹

  • まず、「あれ、仙田ってこんな大物だったっけ?」あと、懐かしい方々の名前がいろいろ出てきてストーリーに厚みが出てました。前巻の反動なのか、目茶目茶新宿の歴史が詳細に書かれていて…ちょっとマニアックだった。
    そして!やっぱり真壁さん!!!
    ただ、思っていたのとはまるで違う展開に…。再登場を待ちわびていただけに、この静かな退場は寂しすぎるけれど。助かって良かった。お幸せに…(ちょっと妬ける)

  • 例えば「望郷」(1937)。
    主人公ペペは北アフリカのカスバの港町で暮らす、フランス人の犯罪者。警察に追われ、母国フランスには帰れない。
    なんだけど、パリから来た女に惚れてしまって。「メトロの匂いがする」。
    例えば「現金に手を出すな」(1957)。
    足を洗いたい初老のギャングが、安定した老後の為に乗り出した最後の犯罪の顛末。
    例えば「さらば友よ」(1967)。
    アルジェの戦争で、心に傷を負って復員した男ふたり。
    国のために戦ったはずなのに、生活もままならず。
    人生を取り戻すために犯罪に乗り出すが、片方が逮捕。裏切るか。裏切られるか。
    (ラスト、名場面。映画史の「タバコを使った場面」ベスト3に入ります)
    フランス映画。
    予算の都合で、ハリウッドもののような派手さは皆無。
    苦み走ったジャン・ギャバンとアラン・ドロンの横顔が浮かび上がってくるような。
    「哀愁の」という枕コトバがぴったりの、犯罪小説。
    #
    大沢在昌さん「新宿鮫Ⅷ 風化水脈」。2000年に出た本。
    新宿署の一匹狼刑事・鮫島さんが活躍する、犯罪ミステリー&冒険小説シリーズの、第8作。
    1990年の第1作から、それなりに「オトコ臭いセンチメンタル」はありながら、
    「今風の国際的な犯罪模様」
    「ロック歌手の若い彼女との恋愛」
    「ハードな銃撃戦などのアクション満載、スピーディー」
    というド派手なケレンの味わいで売って来た感じですが、経年変化か。
    この「風化水脈」あたりから、イッキに「地味な物語展開に匂い立つオッサン的哀愁」に舵を切った感があります。
    「もう十分売れたから、もう媚びるのは嫌やねん。好きなジャンルの幅の中では、意地でも上質なエンターテイメント目指すから、地味なんが嫌なんやったら、読まんどいてや」
    というような、実にイサギヨイ、割り切り姿勢(笑)。
    具体的には、
    ●銃撃戦や、アクション場面は、激減。ほとんどラストだけ。
    ●年下のロック歌手の恋人、とは、ほとんど没交渉。全くと言っていいくらい、話に絡まないし、出ても来ない(笑)。
    ●国際的な巨大な深刻な犯罪、という風呂敷がなくなり、小さな犯罪の人間模様にシフト。
    ●主な登場人物に、高齢者が増加。全体に「昭和史」を背景にした重さが増加。
    という傾向でしょうか。
    この傾向は、「新宿鮫Ⅸ 狼花」(2006)、最新作の「新宿鮫Ⅹ 絆回廊」(2011)、と、継承されていきます。
    個人的には、この傾向、この三作が、シリーズでいちばん好きです(笑)。
    #
    国家公務員試験Ⅰ種(で合ってるのかな…)に合格した、「幹部候補生」のはずの警察官・鮫島さん。
    ですが、正義感がゆえに組織で爪はじきにされてしまい、
    更には、警察内部の権力闘争に利用されて自殺した同僚の「遺書」を預かってしまいました。
    その「遺書」が表に出れば、警察トップが総辞職しかねない秘密が書かれていました。
    警察組織の腐敗を憎みながらも、「警察」という機能自体は信じていて、汚したくない鮫島さんは、その遺書を、しかるべき時が来るまでは、と、公表せずに保持しています。
    警察組織のトップもそれを知っていて、脅したりすかしたりしますが、鮫島さんは渡さない。
    そこで仕方なく、普通なら署長クラスになっているはずなのに、ヒラの刑事として新宿署に「島流し」。
    でも、警察組織としては、彼の活動を監視していたいので、それ以上の地方にトバすことはできません。
    新宿署でヒラ刑事をやっていれば、疲弊するし丁度よかろう。ヒラ刑事の現場仕事なんて、どうせ出来る訳が無い。という意図の配属。
    本人が折れない限り、未来永劫、昇格も転勤も無い、という塩漬け人事なんですね。
    そして、新宿署の現場では。
    ノンキャリたたき上げの刑事からは「エリートが現場の仕事なんかできるかよ」と疎まれ。
    さらに皆から「あいつと付き合うと上に睨まれるから出世できない」と敬遠されている。
    ところが。
    鮫島さんは、スーパーエリートなのに、麻薬中毒者やヤクザ者相手の汚れ仕事を一切いやがらず、
    習慣や前例、馴れ合いを無視する硬派な態度で、たった一人でバンバン逮捕を繰り返していく...と、いう設定。
    こうして、全警察で唯一例外的な、「相棒のいない完全単独遊軍捜査官」が誕生している...。というのがシリーズの屋台骨世界観。
    (ま、無論、「実際にある世界観」を下敷きにして、「実際にはあり得ない状況」を物語として創作してはるんだろうなあ、と思います。)
    「風化水脈」では。
    高級車の連続盗難事件を追う捜査物語を縦軸に。
    カタギになろうともがく、もう若くない、ヤクザとその恋人。
    そして、戦後の渾沌とした新宿で、重い過去を背負ってしまった、男と女。
    というオトナな人々の葛藤、そして、彼ら彼女らを大きく包み込む、新宿という盛り場の歴史が描かれます。
    一見バラバラな、並行して走る物語が、徐々に接近してくる。
    二つの物語の線が、最後には合流するんだろうな、という予感。
    二つの物語が重なった時に、謎が全て解け、物語は破局と感動を迎えるんだろうなあ、という手触りが、登場人物たちに先行して、読者には判ってくる。
    この辺りは、ため息物の、エンターテイメント小説。職人技。
    (ま、それがアザといとか、予定調和だ、とか批判するのも簡単なことなんですけどね。長所は短所。)
    僕としては、大人な読み手の人には、第1作よりも、このあたりから読み始めた方が楽しめると思います。
    西新宿、十二社通り、と言った土地勘があると、なおの事、愉しさ倍増。
    相変わらずほぼ、イッキ読みのオモシロサでした。
    ##############
    以下、長々と、物語の備忘録です。
    #############
    今回の舞台は、割と珍しいことに、西新宿。
    これまで「新宿=歌舞伎町」というイメージで押してきた感があるシリーズなんですが。
    今回は、新宿署管轄で連続発生している、「高級車の盗難事件」です。
    外国人犯罪者と日本人ヤクザが連携した大掛かりなチームが背後に居そうだ、と嗅ぎつけた主人公。
    まずは「盗んだ車を、塗装やナンバープレートの作業をする、洗い場、を探す」という地味な捜査を開始します。
    #
    そして、このシリーズの常ですが、並行してもう一つの人間ドラマが描かれます。
    ヤクザと、その恋人さん。とあるカップルの人生模様。
    かつて、主人公が逮捕した、頭も良ければ度胸もある、若きヤクザ・真壁さん。
    中国人犯罪組織との抗争で、ボスを殺し、副ボスを半殺しにして、その代り自分も銃弾を浴びて、半死半生で、主人公の元に自首してきた、という過去があります。
    その真壁さんが、10年ぶりくらいか、出所してきました。
    当然、もともと居た、「組」が迎えてくれます。しばらくは、「お疲れさん」ということで、派手ではないラクなシゴトに就かせてくれる。麻雀荘の管理経営とか。
    服役中、待っていてくれた恋人さんがいます。ヤクザの恋人さんですから、水商売。以前は新宿で、今は六本木でホステスさんをしています。
    この小説では、この「真壁さん」と「恋人さん」のふたりは、ある意味、まっとうな人間として描かれます。
    真壁さんはもちろんヤクザだけど、当然ながら、雑に言うと不幸な生い立ちの果てで、そうなっています。
    そして、頭も切れるし暴力もふるうし、法律破ることに躊躇はないけれど、無駄に弱い者いじめはしないし、基本は筋の通った落ち着いた男性。
    恋人さんの方は、もともとご両親も歌舞伎町でゼロから小料理屋を営んでいた、という育ち。
    子供の頃に父親が死んで、母親は忙しく働きづめで経済的余裕もなく。
    ちょっとグレたりして水商売のプロになったけど、大人になって落ち着いています。
    そしてふたりとも、もう三十代もいいところ、という感じ。
    #
    このふたりの物語も、二筋に別れます。
    男性・真壁さんの方は。頭もキレるし度胸もある。なんだけど、組に戻ってみると、色々変化があって。
    自分のことを良く知っている先輩や後輩は、もういない。人が入れ替わっている。
    どうにも、敬われているけど、あまり自分がアテにされていない。本流から外されている。
    多少の焦燥。苛立たしさ。謎。やがて判ってくる真相。
    時代が変わって、今の「組」は、なんと、かつて自分が「組」の為に殺し合いを演じた中国人犯罪組織と連携していたのでした。
    どうやら、中国人犯罪組織とやっているのは、高級車を盗んで海外に売る仕事らしい。
    中国人たちは、真壁さんのことを「死んだ」と思いこんでいる。
    もし、「まだ生きている」ことが分かれば、復讐が必ずある。
    だから、今や「組」にとって、真壁さんは、微妙に邪魔者になってしまっている...。
    一方で、自分を待っていてくれた恋人さんには真剣なリスペクトがあって。
    いっそ、恋人のために、カタギになった方が良いのか。
    恋人さんの母親に、一度ちゃんとあいさつを、と。
    恋人のホステスさんの方は。
    まあ、ヤクザものと判っていても、真壁さんに惚れちゃってるんですね。
    出所してきて、同棲状態。それは嬉しいことです。
    なんだけど、初老になっても小料理屋を切り盛りしている母親に紹介すると、一発で「ヤクザ者だろ」と見抜かれて。
    当然ながら、なみだ、ナミダ、の、猛反対。
    この「母親さん」というのが、実に度胸もあれば、飲み込みも大きい、「修羅場をくぐって来た女性」。
    母娘の葛藤。悩み。
    「彼が、カタギになってくれたら。でも、前科者の若くも無い元ヤクザが、堅気になるのは、とっても惨めで屈辱的な生活が待っている。言い出せない」
    #
    高級車連続盗難事件を追う主人公は、「ここが洗い場ではないか」というガレージを西新宿で発見。
    そこを見張るのに絶好な、「平面駐車場の管理人室」の、管理人の老人男性・大江と仲良くなり、張り込みに入ります。
    ところがこの老人が、あまり語らないが、どうやら元警官であるらしい。
    そして天涯孤独で、もう何十年もこの駐車場の、この管理室にいる。
    凛として背筋の伸びた寡黙な老人。そして、新宿の歴史にとても詳しい。
    この管理人は、ひょっとして盗難車組織の仲間なのか?
    というサスペンス。
    #
    見張っていたガレージは裏手に古い井戸がある。
    その井戸が大雨で増水して、死後ウン十年というヤクザ者の死体が発見される。
    調べると、管理人・大江は、若い頃(つまり戦後直後の混乱期)に新宿署のヒラ警官だった。
    そして、「酒に酔って拳銃を紛失した」という不祥事を起こして警察を辞職していた。
    そして、発見された死体は、その頃に、女を食い物にしていたタチの悪いヤクザで、警察拳銃で殺されていたことが判明。
    更に調べると。
    真面目な警察官だった大江青年は、どうやらそのヤクザに食い物にされかかっていた若い女に、拳銃を奪われたらしい。
    恐らく、その若い女が、ヤクザを射殺。
    全てを知った大江青年は、その若い女を守るために、真相を呑みこんで警察を辞職して。
    死体を井戸に落とし、死体が発見されないように何十年も見張っていた。
    恐らくは、真犯人である、若い女性の暮しも、密かに見守っていたのだろう。
    #
    一方で、ヤクザな真壁さんと、その恋人さん。
    いろいろあって、真壁さんは、「どんなに大変でも、カタギになるよ」と決意。
    恋人さんと、肝っ玉母さんが、うれし涙にくれたその矢先。
    中国人組織に全てがバレてしまい、復讐。監禁されて嬲り殺しにされそうに...。
    #
    ですが、その監禁場所が、管理人・大江老人が常に見張っている、例のガレージ。
    大江老人の一報を受けて、主人公が乗り込んで、若干アクションがあって、めでたしめでたし。
    ヤクザの真壁さんも、死の寸前で助かって、恋人さんに「カタギになるよ」と。
    そしてどうやら、大江老人が、何十年もかばい続けてきた、「ヤクザ者を殺した犯人の若い女性」は、恋人さんの母親さんだったようだ。
    というところでお話はおしまい。

  • J様後追い第八弾
    これは読みごたえがありました。
    とても面白い歴史物を読んでいる気分にもなれました。

    根気強く地道な捜査はまさに鮫島の持ち味ですね。
    また真壁や大江さんとの男同士の繋がりも魅力的です。

    今回は読んでる最中に実際の十二社池のあたりを散歩に連れて行かれたのですが、
    大江老人の詳しい話の直前だったので、もっと早く読み進めておけば良かったと後悔。
    一人じゃ迷子になるかな。

    ここから完全ネタバレ

    真壁は再登場した瞬間から、今回死んじゃうのか!と思い込んでいたので
    この終わりかたには拍手喝采。
    良かった良かった。

  • シリーズ第8弾。前作で「1ページたりとも新宿に居ない」というまさかの荒技を繰り出した反動か、今作は徹底的に新宿(そしてちょっとだけ川越)。普通の人が全然出てこないにも関わらず、妙に感動させられる手腕はお見事。一方、悪く言えばご都合主義、よく言っても運命、な主要登場人物の濃密な人生の交錯具合は好き嫌いが分かれるかも。今後の一番の興味は、晶の処遇でしょうか。何の説明もなくフーズハニイ解散、くらい放り込まないと苦しい気がします。

  • 読み始めると停められなくなるモノが在るシリーズだと思う。新宿署に在る、少し「訳アリ」で、街のワルにはその姓にも引っ掛けて“新宿鮫”と綽名される鮫島警部が奮戦するというシリーズである。物語の大半は鮫島の目線で綴られるが、適宜作中の事件関係者等の目線に切り替わる箇所も交じる。二転三転しながら、鮫島が出逢った、関わった事案の顛末がテンポ好く描かれる。そういう雰囲気は本作でも健在だ。
    好評を博しているシリーズが続く中、シリーズの過去作品の「続き」的な要素を巧く織り込むということも出来ると思う。“新宿鮫”のシリーズは、そういうことを巧くやっているシリーズだと思う。と言って、過去作を余り知らなくても、作中人物達が想い起す過去、来し方として内容が巧く処理されているので、過去作の事柄が初めて作品に触れる読者にとっての“敷居”には決してなっていない。その辺が、このシリーズが長く続いている一因であるようにも思う。
    本作の物語冒頭の方は、鮫島が過去の事件で逮捕していて、少し長く服役し、出所して街に戻っているという人物と偶々出くわすというような辺りから起こっている。暴力団構成員の真壁という男は、中国人グループとの抗争で関係者を殺傷しており、自身でも重傷を負いながら新宿署に出頭し、鮫島に逮捕されたという経過が在った人物である。
    真壁のその後も気になる鮫島ではあったが、捜査に勤しんでいる事案が在った。車輛の窃盗である。管轄内で高級車の盗難という届け出が相次いでいるのだが、通過車両のナンバー等の情報が記録される“Nシステム”に、盗難の旨が届け出られた車輛の情報も入らない。幹線道路等に設置された“Nシステム”の場所を避け、比較的近い場所に設けた場所に入って、車輛のナンバープレートを換えてしまう、場合によって色を塗り替えてしまうようなことをして、何処かの場所に移動して集積した上で、恐らく国外に盗んだ車輛を送り出してしまっているのだと鮫島は推測していた。更に、推測したようなことが行われるとすれば、様々な役割分担が生じると見受けられることから、大掛かりなグループが犯行に携わっていると鮫島は想いを巡らせた。
    やがて鮫島は、推測した条件で犯行グループが使えそうなガレージや修理工場のような場所を、管轄内の目星をつけた辺りを丹念に動き回って調べていた。そういう中、西新宿の駐車場で管理人をしている大江という老人と知り合う。大江が居る駐車場の傍には数十年前に建てられたと見受けられる、空家である期間が相当に長いと見受けられる家屋が在る。その家屋の脇に、少し新しい大きなガレージが建っている。何やら不思議な様子だ。
    こうして鮫島が事件の謎に挑む中、犯行に携わる者達と真壁の因縁という話しが在り、更に新宿の街の過去、遠い過去の出来事等が交錯しながら物語は展開する。また真壁と相思相愛のホステスが、偶々出くわして少し親しく語らう客の男というのも興味深い。
    本作は1999年に新聞連載で初登場し、2000年に単行本化、その後文庫化されている。考えてみると20年以上も経つ。が、全然「古さ」を感じない。変貌を遂げ続ける巨大な街で、ブレずに活動を続けようとしている主人公が、最新の事件と遠い過去の事件が交差する地点に入り込み、そこでの様々な事柄の顛末という様子になっている物語だ。かなり面白い!

  • これまで「新宿鮫」シリーズを愛読してきたが、従来の8巻中、最もドライブ感が乏しい作品だと感じた。新宿という土地の歴史的な背景についての説明も煩わしいし、地理の記述も要領を得ない。何より、肝心のストーリーの展開に従来の作品のようなスピード感がない。次作に期待したい。

  • 今回も飽きさせないいい作品だった。

  • 新宿の昔の歴史なども出てきて今までと一風変わった古風なムードが出てる。以下に詳しい感想があります。http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou2215.html

  • シリーズ第八弾。『新宿鮫』は、こんな作品だったかと思うような余韻を残すラストが非常に良い。シリーズの中では一番の長編で、真壁、王といった懐かしい鮫島の宿敵も登場し、差し詰めオールスターキャストといったところだろうか。

    現代の事件と数十年前の事件が交錯し、鮫島を中心に事件に関係する人びとの繋がりをじっくり描いているところに面白さがあるようだ。

    今年に入り、月に一冊のペースで新装版が発売されており、発売と同時に購入し、読み続けているが、それも残すところ二冊となる。気になるのは鮫島と晶の関係。単なるハッピーエンドでは納得しないが、バッドエンドも寂しい感じがする。

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著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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