奇譚を売る店 (光文社文庫 あ 36-6)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 442
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334772109

感想・レビュー・書評

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  • 「また買ってしまった。」古書店で一冊の書物を手に取った古書マニアの''私''は、読んでいくうち、奇妙な世界に落ちていく。そして読み手の自分までも、''私''に引き摺り込まれていく感覚。そして最終章、ようやく現実に戻ったかと思われたが…。短編6話。楽しい読書体験だった。

  • 奇譚のアイディアとして、おもしろかったです。
    「また買ってしまった」から始まる短編集。

  • 「また買ってしまった」。何かに導かれたかのように古書店に入り、毎回、本を手にして店を出てしまう「私」。その古書との出会いによって「私」は目眩く悪夢へと引きずり込まれ、現実と虚構を行き来しながら、背筋を寒からしめる奇妙な体験をしていく…。古書蒐集に憑かれた人間の淫靡な愉悦と悲哀と業に迫り、幻想怪奇の魅力を横溢させた、全六編の悪魔的連作短編集!

  • 現代に懐古趣味がまざった怪奇幻想系の連作短編集。隠れ長編の赴きもあるので、最初から順に読むのがおすすめ。古本を媒介に、虚構が境界線を越えて現実に迫ってくる方向性かと思いきや、そんな単純な仕掛けではなかった。各話の「私」は同じ古本屋で購入したのか、という疑問も最後まで読むと吹っ飛んだ。一編ごとにゾワリとする。夜にひとりで読まない方がいい。できれば、同じ空間にペットでもいるほうが安心する。

  • 怪奇幻想小説や、日本のレトロな雰囲気が好きな人にとっては、この本の醸し出す、なんとも言えない匂いたつ雰囲気がたまらなく心地よいはず。

    まずもって題名がいい。
    『帝都脳病院入院案内』『這い寄る影』『こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻』…などなど、江戸川乱歩を彷彿とさせるレトロなセンスを感じさせる。

    とある埃っぽい古本屋から、「私」は毎回古本を買ってしまう。
    本の中身は多種多様であるが、いつの間にか本の中身にのめり込んだり、不思議な出来事が起こったり、奇怪な体験をしていく。

    個人的には二作目の『這い寄る影』のなんとも言えない展開が好き。この話は、売れない作家の、貧相な作家性の哀れみが真に迫ってるし、いつの間にか、駄作である一連のシリーズを追ってしまうという、よくわからない好奇心が興味深い。

    読んでいる最中には、たまらなく古書を手に取りたくなり、古本屋の持つ本来の魅力の一端を感じ取ることもできる。

  • 収録の全6話、すべて古本屋で古本を手に取るところからはじまる幻想的小説の短編集。現実と虚構のあいだを行き来するスリリングさが印象に残る。また全5話の独立した話が最後の6話めで回収されるという構図は、短編集と銘打ちながら1冊の小説といってもよさそうである。個人的に一番印象に残ったのは『青髯城殺人事件 映画化関係綴』。ラストにむかう急展開は予想外の結末をもたらし、ミステリーの妙も感じさせてくれる。

  • リリース:伸子さん

  • 芦辺拓氏が「小説宝石」に連載されていたものを2013年にまとめて発表した古書店と古書を巡る連作怪奇短篇集の文庫版。第14回「酒飲み書店員大賞」を受賞。いずれの作品も現実と非現実のちょっとした隙間に迷い込んでしまった「私」がひどい目にあっています。全体的に少し懐かしい匂いがします。テンプレートは決まっているようですが、微妙にそれぞれの作品にカラーがあるので好きなタイプを探すのも楽しいかも。世にも奇妙な物語で映像化とかしたら良さそう。

  • 本屋のポップに惹かれて手に取るが、家に帰ってさあ読むかと言う段になって再び表紙を見て少し後悔、私に合う本か。。。?
    古書好きな主人公が古書を書うところから始まる短編集。古書との出会いでその本にのめり込み、奇妙な体験をすると言うもの。
    読んでいるときは、合わないなと2話読んで辞めてしまったが、物語の始まり方は良いのではないかな、私も本好きだし、本との「出逢い」と言うものを感じるし。そこからのストーリー展開が合わなかったんだよなぁ。

  • 千葉 酒飲み書店員大賞 受賞作

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著者プロフィール

一九五八年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。
一九八六年、「異類五種」が第2回幻想文学新人賞に佳作入選。
一九九〇年、『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞受賞。
代表的探偵「森江春策」シリーズを中心に、その作風はSF、歴史、法廷もの、冒険、幻想、パスティーシュなど非常に多岐にわたる。主な作品に『十三番目の陪審員』、『グラン・ギニョール城』、『紅楼夢の殺人』、『綺想宮殺人事件』など多数。近著に『大鞠家殺人事件』(第75回日本推理作家協会賞・長編および連作短編集部門、ならびに第22回本格ミステリ大賞・小説部門受賞)。

「2022年 『森江春策の災難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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