オブリヴィオン (光文社文庫 と 22-3)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334790011

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの遠田作品だが、良くも悪くも物語のプロットは過去作と大差がない。巧みな人物描写が著者の持ち味だが、本書は物語の構成上登場人物間の行き違いが多く、互いに一方的な言動が甚く目に付いた。過去作の主人公も壮絶な過去を背負っているが、森二の人物造形が彼らに比べ些か表面的なのは、物語を構成する要素が多過ぎて、人物像の掘り下げが不十分な所為だろう。肝心な事の真相も終盤まで引っ張った結果、尻窄みになってしまった印象。色々盛り込み過ぎて奥行きの足りない窮屈な作品だった。私的見所は吉川兄弟の歪な兄弟愛と装丁の美しさ。

  • 読み手により色々な解釈ができる話だと思った。圭介は森ニをやり直させようとし、森ニも精一杯努力し、社会的には成功した。しかし、加藤や持田に邪魔をされるというか、自分達のレベルまで引き摺りおろそうとする。これは人間の嫉妬の力は非常に強いことが表現されていると思った。一方で物語終盤、主人公はすべてを受け入れ、それでもやり直そうとし、圭介が自分にしてくれた恩義を沙羅に再現しようとする。これは人間の愛情もまた強いことが表現されていると思った。

  • 202008/設定や人物、展開など今作も遠田先生ならではの世界観・空気感で、胸が痛くなりつつも堪能。やはり全作追いかけたい作家さんだな。

  • 30伏線がややこしいけど、上手くまとまって面白く読みました。沙羅の続編も読みたいです。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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