諦めない女 (光文社文庫 か 55-3)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334790950

感想・レビュー・書評

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  • 読み進めていくたび、ゴールポストが動いていく感じ。一章ごとに、変貌するミステリーと言われているけど、それ以上に変わる。ミステリーになっているけれど、それを考える隙がない。

    スーパーでの数分の買い物の間に、6歳の少女の姿が消える。母親は、必死で探す。警察も学校も動くが、金銭の要求もなく、少女の身体も見つからない。周囲は、時間の経過とともに、徐々に諦めていく。少女の母親は決しって諦めない。
    その母親の生涯をノンフィクション作品として出版しようと、フリーライターが当事者関係者への取材を重ねていく、という構成。
    諦めない母親は次第に周囲から孤立して、離婚となり家も失う。それでも、探し続ける。
    諦める事は、罪なのか、日常を保ち精神を保つ手段なのか。となるのかな、母親だったら諦めないよ!と、思うところで、子供達の状況が語られ始める。諦めないところと、受け入れるところを区別して生活を保つ子供達が尊い。
    そして、諦めなかった母親の元に12年ぶりに成長した少女が戻る。成長した娘と、娘の保護を諦めない母親との間に亀裂が入り始める。
    子供達が、大人すぎるなとは思うけど、楽しめました。

    • おびのりさん
      これ人気ないのか、図書館からすぐきました。
      なんでみんな評価低いのかな?って、私が変人だからかあ(*☻-☻*)
      これ人気ないのか、図書館からすぐきました。
      なんでみんな評価低いのかな?って、私が変人だからかあ(*☻-☻*)
      2023/06/29
    • みんみんさん
      桂望実さんも明るい話と暗い話があって
      ちょっとびっくりするかも笑
      おびさんダーク好きだから(●︎´艸`)ムフフ
      桂望実さんも明るい話と暗い話があって
      ちょっとびっくりするかも笑
      おびさんダーク好きだから(●︎´艸`)ムフフ
      2023/06/29
    • おびのりさん
      好事家路線へ行きそう
      好事家路線へ行きそう
      2023/06/29
  • いやあ〜諦めない女が、その言葉を心にあり続けるのが沙恵だった、京子ではなくて。単なる誘拐事件の話じゃなかった、サスペンスじゃなかった、とても大切な守らないといけないって事。2章の出だしでぶっ飛んだ、時系列もだし沙恵がいきなり登場したから、勝手に筋書きを描いている自分は恥ずかしいので。自分だけ守るしか考えない父親と同じで沙恵ちゃんは生存していないだろうな、だから犯人逮捕がゴールとかなやっぱり浅はかだ。見つかって帰国して学生生活するまで追いかけて、ライターの目線で描かれてる。あと人身売買がリアルで愛ちゃんが

  • ハラハラドキドキするわけじゃないんです。
    でも先が気になって、するすると読んでしまうやつです。
    すごく面白かったです!
    大きなどんでん返しとかが、あるわけじゃないんです。でもホェーと腑に落ちるんです。
    やっぱり面白いんです。

  • 同じ作家の「嫌な女」を先に読んでいたので、同じパターンかとおもったが、2章でまったく違う展開になり ここから一気に最後まで読んでしまった。
    6歳の女の子が忽然と居なくなるところから始まるので、誘拐のミステリーものかと思うと、あっさり予想を裏切られ、最後は母と娘の葛藤がおもわぬ幕切れとなる。面白かった。

  • 読み進めていくうちに明らかになる真実、そして予想外の結末…一気読みでした。面白かった。
    母娘共に"諦めない女"だった。やっと自由になれた沙恵に安堵する反面、度を超え歪んでしまった愛情から事件を起こしてしまう京子には報われない気持ちになった。

  • 章ごとに目線が違うので、え?!って騒ぎながら読んだ。
    前半は完全に母の気持ち。
    後半は娘に感情移入。
    どっちの気持ちもほんとわかる。
    私にも同世代の娘がいるけど、干渉しすぎないようにしようと誓った。
    今のところGPSは見たことない。

  • ほんの僅か、ボタンを掛け違えたが為に人生が大きく変わってしまう話。

    最後に母親が「ほっとしたわ。もうこれで沙恵が今どこにいるか、誰と会っているかといったことを心配しなくて済むと思って」という言葉が印象的だった。ライター以外の登場人物全ての人が被害者であり、心が痛んだ。

  • 図書館で借りて読んだ。

    タイトルから、恋愛関係の話かと思っていたが、全く違った。行方不明の子供の生存を真摯に待ち続ける母親。折しも、山梨・道志村女児失踪事件で、ご遺体の一部が発見されたニュース(2022.5)と、この本を読んでいた時期が重なり、両者の正反対の結末に、現実の無情さを知る。この本の発売が2017.4で、先の事件の発生は2019.9。子供を待ち続ける母親の強い意志が、まるで事件を予見するような話で驚く。本の方の行方不明の理由は誘拐で、ある島に隔離された子供たちが集団生活をし、脱出を試みたり、など、そのストーリーには現実離れ感が否めないのだが、生きて救出される。もしや実事件の母親はこの本を読んでいたのでは?本のような救出劇を信じていたのでは?と思う。本では、救出されたことは幸いであったと思うが、その後の母娘の人生は決して夢見たような幸せなものとは違った。それでも生きていてこそ。美咲ちゃんのご冥福をお祈りする。

  • 2022.2.10
    なるほど〜
    章ごとに全く違う見方になるので、
    この子どうゆう子だったっけ!?って戻ったり
    面白かった。

  • 桂 望実さんの長編小説です。

    スーパーで買い忘れに気付き戻った母を待っていた小学一年の娘、沙恵(さえ)が、入り口のベンチから忽然と姿を消してしまいます。

    そして数年が経ち、離婚した京子は今日もひとりで、わが子の帰りを待ちながら情報を集めてビラを撒きます。 

    第一章は淡々と物語が進行して行きあまり変化がありませんが第二章でいきなりの展開。
    そこからは空白の数年間に何があったのか徐々に明らかになって行きます。

    親子、夫婦の絆、母親の子供に対する愛情、執着、誘拐事件の裏に潜む問題、サスペンス要素やホラー的要素もあり中盤から一気に引き込まれて行きました。

    インタビュー形式になっていて登場人物も多いので若干の読みづらさはありましたがまあまあ面白かったです。

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著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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