- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334791292
感想・レビュー・書評
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4編の短編ミステリー集ですが、共通して登場する「京都一乗寺に佇む、美しい書店」は、実在する『恵文社』さんです。
私は伺ったことがありませんが、以前から書籍やネットでその景観に触れ、憧れの書店でした。
実はこの書店が小説のメイン舞台になっている訳ではありません。このことと併せて、殺人事件が関係するミステリーが展開するためか、「美しい書店『恵文社』」のイメージからかけ離れているのでは? と賛否が分かれるかもしれません。
それでも、「夜の幻想的な光景の記憶」「恵文社のギャラリーで個展を目指すカメラマン」「心の持ちようで陰気さが消え、明るく厳粛で美しい雰囲気に見える」「薄幸の男女の待ち合わせ場所」等々、想像の世界が広がる場所として存在感を示してくれているようです。
個人的には、ほっこり系の短編集が相応しいかなと思うのですが、『恵文社』さんの魅力は逆に私の中で高まりました。
いつか必ず訪れたいという想いを、改めて強くする一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
京都、恵文社の一冊。
読後感がものすごく良かった。
京都、一乗寺を舞台に描かれる四つの物語はどれも意表を突かれる苦味のある人生ドラマ。
まるで三面記事の奥に隠されたドラマを観たよう。
そして一つずつのストーリーを紡ぎあげるこの構成、特にエピローグの描き方が秀逸。
終始、読み手を暗さにどっぷりひきずりみながらも、せつなさ有りの一筋の光ある場所へストンと移動させるのがなんとも巧い。
だから救われる。
そしてどの人生ドラマにも書店、恵文社が関係し見守るかのようなその存在がまた良い。
京都を散策し恵文社を眺めたい衝動に駆られる。 -
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受験のために、一乗寺辺りには2週間居ただけですが、京一会館にはたくさんの思い出があります。
一日中映画が観ていたこと(「砂の器」を観た)、初...受験のために、一乗寺辺りには2週間居ただけですが、京一会館にはたくさんの思い出があります。
一日中映画が観ていたこと(「砂の器」を観た)、初めてピンク映画を観たこと(若松孝二監督作品を初めて観た)、一万円札を落として出てこなかったこと。2020/12/15 -
kuma0504さん
泣、、、一万は痛い。。。
猫が京一会館や祇園会館に通った頃は、京阪は未だ三条迄だったなぁ、市電も通っていたかも、、...kuma0504さん
泣、、、一万は痛い。。。
猫が京一会館や祇園会館に通った頃は、京阪は未だ三条迄だったなぁ、市電も通っていたかも、、、
あの頃は、二番館やホールでの自主上映に足繁く通いました。。。2020/12/16
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京都、美しい書店、のワードにひかれて手に取った。
大石直記さん、初読。
短めのストーリーに、それぞれエピローグがついた短編が集められている。
美しい書店が舞台…ではなく、書店が鍵になる…ばかりでもなく…???
文章は読みやすく、さらさらと読める。
ストーリーもさらさら。
ただ、期待したものと違っていたせいか、ちょっと薄味すぎに感じてしまった。
好みの問題か。 -
思っていたのと全然内容が違い意外性にやられました。
4話ともなかなか重たい話でそれぞれ泣きました。
表紙のイラストの可愛さとどの話にも共通している恵文社、思わず検索してしまいました。
一乗寺の雰囲気も併せて伝わってきて、いつか訪れたいです。 -
ジャケットの恵文社に一目惚れ買い!かわいい!
京都の書店めぐりには欠かせない恵文社。
棚を巡っていると、新刊本でもないのに、これ読みたい!って出会う本があって、不思議な場所です。
小説の内容的には、なぜか死のうとか殺そうみたいな言葉の多い(笑)恋愛……ミステリー?
「追憶の道」で辿られている、一乗寺下り松から、武蔵ゆかりの八大神社、きれいなお庭の詩仙堂はまさに素敵な散歩コース!ただ、狸谷山不動院は行ったことがなかったなー。
作中では此岸と彼岸、これまでとこれからを表しているスポットとして描かれていて、ぜひ行ってみたいと思ったのでした。
ちなみにラーメン激戦区の一乗寺ですが、ハンバーグ一乗寺さんのハンバーグ坦々麺もオススメします。(もはや本のレビューではない)-
この度はフォロー有難うございます。この本を読んだことがないので、掲載されているかどうか分からないのですが、
恵文社さんの近くの、マヤルカ古書...この度はフォロー有難うございます。この本を読んだことがないので、掲載されているかどうか分からないのですが、
恵文社さんの近くの、マヤルカ古書店さんも、小さな店ですが、落着きがあり、本への愛情が感じられ、何ともいえずほっこりする空間です。
もし、恵文社さんに行かれることがあれば、マヤルカさんにも是非立ち寄ってみて下さい。2021/03/05 -
Macomi55さん
コメントありがとうございます!
そしてマヤルカ古書店さん、是非行きたいと思いますーー!素敵な情報ありがとうございま...Macomi55さん
コメントありがとうございます!
そしてマヤルカ古書店さん、是非行きたいと思いますーー!素敵な情報ありがとうございました。。。2021/03/06
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装丁に惹かれて購入し、タイトルから書店が舞台のほのぼのした内容かと思ったら…ミステリーが強い悲しい結末もある4編全部面白かった。何度も読み返したくなる内容だった。
そして実在するこの書店にも行ってみたくなった。
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京都一乗寺にある本屋さんが出てくる物語。
その本屋さんの存在が大なり小なり関わって物語が開かれ、閉じられる。
「一乗寺のヒーロー」には、いじめによって追い詰められることと、大衆とネット社会の恐ろしさを垣間見て、背筋が寒くなった。救いがあるのもネットの書き込みというところも今を活写していると言えよう。
「一乗寺の家」は舞台設定、道具立てが揃っている。「私」が「母」を手がかりに謎を解いていく。
テレビの2時間ドラマのようだった。 -
言わなかったから、聞かなかったから、謎ができて疑う余地が生まれてしまう――話し合えていたら、起こらなかった悲劇。と、いう形はいかにも説得力があるけれど、正直なところちょっと鼻白む気持ちもある。
すべてを話して共有していたら、万事うまくいくのか?
たぶん、それはそれでまた別の諍いを呼ぶだろう。禍福は糾える縄の如し、隠しごとがなければ大丈夫というわけではない。
一乗寺の恵文社は個性があって何度でも訪れたいお店。人と人との出会いや再会の舞台として、いいなぁと思う。 -
よく行く恵文社にまつわる短編集。ミステリー寄りかな。どのお話も悲しいけど、特に最後のお話は悲しいけど、エピローグで救われた。
解説が恵文社の店員さんで、とても読みやすいきれいな文章を書く方だと思った。