満潮

著者 :
  • 光文社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911362

感想・レビュー・書評

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  • 朝倉かすみ史上サイコーのブラック作品でした。
    バイト先マカベ・コーポレーションの社長真壁直人に見初められ結婚をした眉子。
    その披露宴式場のホテルでバイトしていた茶谷は、眉子の美しい姿に一目惚れをしてしまう。
    やがて茶谷はマカベ・コーポレーションにバイトとして入り込み、社長主催のホームパーティーに招かれることになって・・・。

    眉子につきまとう黒い過去や、茶谷が常軌を逸脱していく姿、お坊ちゃまであるがゆえに欲しがりの直人と出てくる人物に一癖も二癖もあった。
    本当にこういう話は、朝倉さんはうまいなと唸るばかり。
    しかしながら、黒い終わり方なのに読み終えた瞬間、清涼感が残ったのは何故だろう?
    またしても不思議な感覚を持った作品だった。

  • 木之内眉子、どんどん綺麗になる

  • 色んな人の目線で話が進んでいく。
    3人とも自分には無い考え方で、心の闇が怖かった。
    最後をもうちょっと書いて欲しかった。

  • 後味の悪い話。眉子もチャー坊も極端だけどきっとこういう人いるんだろうな。

  • 平場の月が今でも感情を引きずるくらい面白かったから、また朝倉かすみさんの作品をチョイス。

    心の闇が深過ぎる。

    私はあまり共感出来るところが無かったかな。

  • 読み応えがあった。
    人はなぜ存在するのかといった哲学的なことを問われているような気がした。

  • 眉子はつかみどころがなく 難しい女性で 直人とうまくいくとは思えず… 最後までストーリーがどうなるのか読めなかった 茶谷の心理の変化がこわい

  • 薄暗さと薄気味悪さのある作品。誉め言葉として。朝倉さんはダークな方がいいかもね。

  • 現代の歪みだろうか、己の意思を持った行動が生まれないのは? 時間軸の章のながれが私には読みづらかった。

  • 倒錯していた白猫が、倒錯していく ぼくに、長年の思いを成就させられる話。
    先入観を持ってはいけません。

  • 怖くて悲しい作品だな。
    茶谷くんが妄想していることは、間違っているんだけど
    外から見たときの見え方は悲しいよな。
    仕方ないけど、いやだな。

  • 2017/06/10

  • 美女なのに、相手を満足させることだけを至上の喜びとする眉子。
    いい人だけど、「自分」がないから薄っぺらく何を考えているのかわからない。相手を喜ばせようとするサービス精神が過剰すぎて気味が悪い。そんな扱いを受け続けている。
    この眉子のキャラクター設定が秀逸。かわいそう。でも確かに不気味。
    そして眉子の夫の設定も絶妙。二代目のボンボン社長で自意識が強く貧相な見た目のくせに精悍な青年実業家を気取っている。個人的に脳内キャスティングは香川照之。
    朝倉かすみの作品の中でも、最も濃密で嫌な気分にさせてくれる一冊。

  • 歪んだ考え方の男女それぞれのおはなし。
    後半での展開が急。

  • ラストびっくり。

  • ラストが…
    うそぉ。

  • ストーカーってこういう風にできあがるのか
    っていう感じ。

  • 相手の思う通りの人間となることで自身も幸福を感じられるという奇妙な空洞を抱えた美しい眉子と、有名私大に入学しながら他者から認められない存在だった大学生の茶谷。

    眉子の結婚式で、披露宴会場のアルバイトをしていた茶谷は彼女にひとめぼれする。

    ふたりの、どこか歪んだ性質がひたひたと満ち、物語は不穏で不安定な気配をまといながら、さまざまな時系列で断片的に語られる。

    眉子にも茶谷にも共感できない「いやな感じ」がざわざわと騒いで、いやだな、と思うのに読んでしまう。

    こわい話だった。

  • ラストの一行でえっ!となった
    チャー坊にお前どうしてそうなるのよと突っ込みたくなったけど面白かったです

  • +++
    人に迎合し、喜ばせることが生きがいの眉子。自意識過剰な大学生茶谷は眉子に一目惚れをし、彼女の夫に取り入り、眉子に近付く。眉子。茶谷。眉子の夫。三人の関係は? ロングセラー『田村はまだか』著者の放つ恋愛サスペンス!
    +++

    少しずつ歪んだ人たち――それはある意味普通の人たちということでもあると思うのだが――が、自分自身の少しずつ歪んだ価値観で抱いた思いが、ぽたりぽたりと底に溜まっていき、ある時はたぷんと外に飛び出したり零れたりしながら、ひたひたと潮位を増し、ついには表面張力をも乗り越えて充ち溢れだしてしまうまでの経緯が描かれている物語という印象である。怖い。満ちている途中はまったく外からは判らないので、その人の内側で何が起こり、なにが進みつつあるのか他人には判断できないところが、ものすごく怖い。だがそれはいたって普通のことで、誰もが経験したことがあることでもあるだろう。だからなおさら怖い。人の見えない内側で一体何が起こっているのか、そしてその過程で、それはどんなふうに外に現れているのか。同じ出来事に対する反応が、それぞれ違うのは当然のことで、読者には時にそれが見えるが、本人たち同士にはそれはまったく見えず、各々が自分の尺度で受け止めているので、決して噛み合うことがないのだ。そして痛ましいラストへと続いていく。怖くて、それでも目が離せない一冊である。

  • 人を喜ばせたい美女と自意識過剰な男。危険なボーイ・ミーツ・ガール! とありますが、
    自意識の塊でできた一冊だった笑
    途中かなりだれて読みづらかったかな。

  • ラストの映像が印象的。
    ミステリアスなサスペンス。

  • 人を喜ばせたい美女と自意識過剰な男。危険なボーイ・ミーツ・ガール!

    人に迎合し、喜ばせることが生きがいの眉子。自意識過剰な大学生茶谷は眉子に一目惚れをし、彼女の夫に取り入り、眉子に近付く。眉子。茶谷。眉子の夫。三人の関係は? ロングセラー『田村はまだか』著者の放つ恋愛サスペンス!

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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