花を呑む

  • 光文社
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本棚登録 : 307
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911416

感想・レビュー・書評

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  • 弥勒シリーズ 7

    老舗の大店の旦那が、妾に怨み殺された。
    その怪奇な事件を探索する、同心、木暮信次郎。

    その事件解決より、木暮信次郎と遠野屋清之介の関係が面白い。

    遠野屋清之介は
    父親から、暗殺者として育てられ、それ以外認めてもらえなかった。
    人とは殺す相手ではなく、共に生きていく者だと、江戸に出て初めて知った。
    刀を捨て、商人の道を歩き始めてやっと知り得た。
    共に生きていく。
    そのために生きる。
    生かす。
    生かされる。
    その道を全うしたいと願い、全うすると決意している。

    そんな遠野屋を見て、無駄な足掻きだと言い捨て、嗤笑する信次郎。

    岡っ引きの伊佐治は、緩衝材として、二人の仲に居て、遠野屋を守って行きたいと思う。

    商人の道を全うできるか?遠野屋。

  • 口中へ花が押し込まれた死体、という奇怪な事件が発端となる、『弥勒』シリーズ待望の第7弾。
    事件の謎とともに、清之介、信次郎、伊三次、三人の掛け合いが、このシリーズの魅力。
    以前は武士で暗殺者だった過去を持ち、深い闇を抱える遠野屋清之介。
    彼を挑発する、心に虚空を抱える同心木暮信次郎。
    二人の剣呑な関係の間に立ち、仲を取り持とうとする岡っ引きの伊佐治。
    確固とした覚悟と同時に危うさをも併せ持つ清之介、その商人の道を全うできるのか、それとも信次郎の思惑通り剣を取ってしまうのか。
    終幕がどうなるのか、早く見たい気もするし、まだまだこのシリーズが続いてもらいたいとも思うし・・・
    さて、他の読者の方々はどちらでしょうか。

  • 弥勒シリーズ第7弾。
    今回は問屋の主人が変死体で見つかった現場に幽霊がいた、という話で始まる。
    このシリーズは安定して楽しめる。
    シリーズ初めは、全く訳の分からなかった信次郎も闇を抱えつつも一応人間らしさも見え隠れするようになってきたし、遠野屋も闇に引き戻されそうな不安はあるが踏ん張って歩いている。
    今作は、女の怖さが印象的。シリーズを通して女の心情描写が多く感じます。

  • 弥勒シリーズ七冊目。
    今回は初っ端から幽霊騒ぎ。大店の主が囲っていた愛人に憑り殺されたと。その愛人は同じ頃、屋敷で血まみれになって死んでいるのが見つかります。
    同心の木暮はその時なんと鬼の霍乱か風邪をひいて寝込んでいたため初動が遅れ、親分の伊佐治は嫁の気落ちのことが気にかかる様子。おまけに少し前にお解き放ちになった女の顛末を木暮同心から聞いてたまげる始末。
    そして遠野屋は袂を別った兄のことで動揺を隠しきれません。
    これらの出来事が全部後半になって一気に片付くのが見どころです。今回は出てきた出来事に一切無駄がなくピタリと終わるところが素晴らしいです。
    何にしても当然のことながら木暮同心の見事な推察と伊佐治親分とのやり取り、遠野屋との駆け引きは健在です。

  • 大好きな弥勒シリーズ最新刊。面白かったけれど 今回は人の 情念も闇もいろいろな面で 他の巻よりも あっさりしていたように感じた。もっと どろどろと濃い闇をこのシリーズでは 読ませて欲しいな。

  • あさのあつこ氏の本は読んでいたのだが、弥勒シリーズ第7弾。
    怪談のような東海屋の旦那の死に方に、口の中に深紅の牡丹の花びらを詰められていたことで、商いにも、支障が出てきた。
    幽霊に殺されたと、噂される始末。

    同心の小暮信次郎の皮肉な言い方と、商人になった遠野屋清之介の受け答えが、事件解決へと、導くまでに、情に流されて、犯罪を見過ごし、所払いになったお常の正体迄、ハラハラドキドキ、、、
    そして清之介の兄の病。
    人間の弱さに付け込む悪の手。

    痛みを回復できる薬の詐欺の話は、今の現在でも通用しそうな話であり、まだまだこのシリーズの結末が、楽しみである。

  • どうにもならぬほど縺れ、おぞましいほど歪な、思わず息を潜めてしまう、因縁の二人。心に虚空を抱える同心、木暮信次郎。深い闇を抱える商人、遠野屋清之介。深紅の牡丹を口から溢れさせ、妾に怨み殺されたと噂される怪異に挑む。

  • 弥勒シリーズ第7弾

    東海屋五平が呪い殺されたとされる事件を軸に話が展開

    伊佐治のとこの嫁、おけいがどうなるかハラハラ

  • ドラッグ中毒。

    簪を購う遠野屋と小暮さまのシーンが良かった。
    小暮さまは要所要所で遠野屋の予想の上をいくらしい。

    梅屋の若女将は強い。

  • 因縁の2人の関係は、どうなっていくのだろう。
    信次郎と清之介の決着がつく日、それはシリーズが完結してしまう日なのかな。完結はさびしいけれど、やはり、どんな決着が待っているのか、早く読みたいとも思ってしまう。
    今回は、親分の家族にも、清之介の家族にも危機があって、どこに事件が着地するのか目が離せなかった。おふじさんのかっこよさに惚れ惚れ。
    あの彼女は、今後も登場するのかな。

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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