アンソロジー 嘘と約束

著者 :
  • 光文社
3.48
  • (9)
  • (18)
  • (34)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 254
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912765

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アミの会<仮>の作家陣によるアンソロジー。
    何冊か読んだが、今回の作品集も面白かった。
    「嘘と約束」という、危うい物語になるのかそれともホッとする結末になるのか、先が分からない話にワクワクしながら読んだ。

    「自転車坂」松村比呂美
    初読み作家さん。車と自転車の接触事故から始まる物語。自転車という、被害者にも加害者にもなる危うい立場が怖い。
    私自身、自転車にも乗れば車の運転もする、もちろん歩行者にもなる。事故を起こさない、遭わないように慎重に動くのはもちろんだが、その後の対応次第でも人生は変わる。
    最近は誠実に対応した者の方が辛い目に遭うことも多いので何とも言えないが。

    「パスタ君」松尾由美
    松尾さんなのでSFっぽいのかと思ったら少年物。だが少年から見る世界が可愛らしくキレイとは限らない。むしろ子供だからこそシビアにリアルに見えてしまうものもある。

    「ホテル・カイザリン」近藤史恵
    近藤さんはシリアスなものとホノボノものとがあるが、これはシリアス。
    セレブな主婦にもいろんな裏の顔がある。
    大変マニアックな話で申し訳ないが、この作品を読んで子供の頃に読んだコミック「悪魔の花嫁」に収録されている「虚言のはて」という話を思い出した。

    「青は赤、金は緑」金崎存美
    初読み作家さん。今回のアンソロジーのまとめ役らしい。
    収録されている作品の中では一番ホノボノする話だったような。手放しで良かった良かったと言えるものではないのだが、タイトルになっているなぞなそも、答えよりもなぜそんななぞなぞを出したのかということに重きがあって良かった。

    「効き目の遅い薬」福田和代
    福田さんらしい、様々な視点で描く不審死事件。
    最初は可愛らしいお願い、それに応えるイタズラだったのになぜこんな結末になったのか。
    気付いた時にはもう遅い。

    「いつかのみらい」大崎梢
    小学生の頃に書いた絵が見知らぬ人の部屋で見つかったといきなり言われたら、怖くて仕方ない。
    だが主人公は落ち着いているし、相手の調査員も頼りないようでグイグイ来て巻き込まれていく。
    端から見ればとても怖い話だが、引っくり返してみれば違う見方もある。なるほど、と感心。

  • 2019年4月光文社刊。松村比呂美:自転車坂、松尾由美:パスタ君、近藤史恵:ホテル・カイザリン、矢崎存美:青は赤、金は緑、福田和代:効き目の遅い薬、大崎梢:いつかのみらい、の6つの「嘘と約束」をテーマにした書下ろしアンソロジー。いずれもテーマには忠実だが、内容は奮わずやや低調。厄介な問題を扱う難しさがあったんだと思います。

  • +++
    破られない約束はない。ばれなければ嘘ではない──。これは、人生のスパイス。様々なアレンジで、お目に掛けます。実力派女性作家集団による書下ろしテーマ・アンソロジー。毒が含まれています。少しずつ、お読みください。
    +++

    「自転車坂」松村比呂美 「パスタ君」松尾由美 「ホテル・カイザリン」近藤史恵 「青は赤、金は緑」矢島存美 「効き目の遅い薬」福田和代 「いつかのみらい」大崎梢

    どの物語もとてもよかった。誰もが持ち得るうしろめたさや、負の感情が、さりげなく練り込まれ、表面からはうかがい知れない深いところへ直に届くような心地がする。ひとつ物語を読み終えるたびに、悪だくみを共有した気分で「ふふっ」と笑みがこぼれたりもする一冊である。

  • アミの会(仮)アンソロジー
    今回は、どの作品もそれぞれに好き。面白かった。

    嘘と約束っていう真逆でないちょっとずれた裏側みたいなとこが
    いいなぁと思って読んでたら
    あとがきにそう書いてあった。

    なるほど、企画通りに読まされたぜ!
    嬉しいったらありゃしない。

  • いゃー良かった。
    「自転車坂」、「パスタ君」、「ホテル・カイザリン」、「青は赤、金は緑」、「効き目の遅い薬」、「いつかのみらい」。
    どれも甲乙つけがたい。
    "今回は甘美で不穏"はまさにぴったり。
    お勧めの一冊。

  • アミの会(仮)さんの短編集、やはりおもしろい…!

    いくつかある作品の中でも、
    『迷』『惑』に引き続き、タイトルが気になり購入。

    どのお話も、嘘と約束が静かに、ふんだんに、広がっていました。

    嘘って必ずしも悪いものではないし、
    約束って必ずしも良いものではない、と漠然と思っていたけど、
    その2つが絶妙な匙加減で交ぜられていて、
    読後は不思議と穏やかな気持ちになりました。

    特に「自転車坂」がパラレルワールドのような展開の仕方で、引き込まれました〜。

  • 暇つぶし。
    大崎梢のなので連発にイライラ。

  • 久しぶりにちゃんとした文章の本を読んだ。
    (写真集などが続いていたため)
    アミの会(仮)は外れなし。
    今回も面白かった。
    1番印象に残ったのは矢崎存美さんの「青は赤、金は緑」。1ヶ月友人の猫の世話をするうちに、次第に猫が慣れてきてかわいくなっていく。海外出張でなく入院だったことに驚いたけど、こんな友人関係良いな。
    大崎梢さんの「いつかのみらい」は最後の収録ながら最初に読みました。謎の女は誰だったのかな...。良い人そうで、いつか約束が果たされる日が来たら良いな、と思った。
    2020.01.26 読了。

  • 題名が嘘と約束だからかシュールな話もあった。効き目の遅い毒は悲しすぎるねえ。彼は一体何を考えていたんだろうね。ホテルカイザリンはシュールだ(-_-;)。それ以外は気持ちがほっこりできる話で良かった。アミの会のアンソロジーはいつも秀逸で面白いねぇ。

  • 珠玉だわ~なアンソロジー。テーマがまあツボ。

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

アミの会実力派女性作家集団。これまでの刊行作品は『アンソロジー 捨てる』『毒殺協奏曲』『アンソロジー 隠す』『迷 まよう』『惑 まどう』『怪を編む ショートショート・アンソロジー』『アンソロジー 嘘と約束』『アンソロジー 初恋』『11の秘密 ラスト・メッセージ』『おいしい旅 想い出編』『おいしい旅 初めて編』。執筆者は作品によって異なり、メンバー以外の作家がゲストとして参加することもある。本作にはゲストとして原田ひ香が参加している。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アミの会の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×