雨の中の涙のように

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 473
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334913618

感想・レビュー・書評

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  • 堀尾葉介という俳優と関わりのある人を巡る連作短篇集。ネタバレになるので詳しいことは語りたくない。騙されたと思って「小説好き」なら是非読んで欲しい。

    と言ってもまだ欲しがる人には少し説明。

    大部屋役者が堀尾の努力に感心、嫉妬する。堀尾がテレビ番組で美味しいと言った卵焼き屋さんの悲喜こもごも。幼い時の堀尾。などなど、深い人間ドラマが繰り広げられる。

    最終章は、何だよこういう終わらせかたかよとがっかりしていたら、どんでん返しがあり、やっぱり遠田潤子はええなと呟いてしまった。


  • 巡り合わせ

  • 俳優である堀尾葉介を中心にオムニバス形式で物語が展開される。
    オブリヴィオンの時も感じたけれど、遠田さんの描く作品は圧倒的な絶望の中に必ず救いの手を差し伸べてくれる温かさがある。
    表紙の装丁も読んでいた時の気候とマッチしてとても心地良かった。

  • 連作短編で読みやすい。

  • 堀尾葉介というスターの人生を、彼と関わった人々の人生を交錯させながら、7編の短編で綴る。 彼と関わった人は、過去に向き合い前へと進もうとするが、葉介自身はどうなのだろう?彼の中に一環とした「孤独」が感じられる。堀尾葉介が「堀尾葉介」を演じているようにも感じた。 「僕は君を必要としている。そして君に必要とされたい」(p154)とあります。一方通行ではなく、相互に混じり合い、補い合いながら、人は生きていくのかもしれない。 葉介にもそのような存在が現れるのか・・・?

  • 9月-20。3.5点。
    元アイドルで俳優の「堀尾葉介」。彼と出会った、または縁のある人たちの連作短編。

    読みやすい。だんだんと真相に近づいていく感覚が上手い。
    何となく想像のつく結末だった。

  • 面白かった。堀尾葉介に幸あれ。

  •  アイドルから役者に転身し、成功を収めている堀尾葉介。何かしら彼と関わりのあった人が前を向いて歩き出す姿を描いた短編集。
     第一章、アイドル時代の葉介の初時代劇主演作で殺陣を教えることになった元大部屋俳優の話、第二章は葉介の幼い頃の思い出の味、今は廃れた商店街で厚焼き玉子をひたすら焼いている男の話、第三章は葉介の母が登場、釣り堀をやっている男との不倫の話、第四章は葉介の父の今とそこで出会った若者の話、第五章は事故で妻を亡くした男性が残された息子と生きていく話、第六章は新しい人生を生き直す炭焼き男の話、第七章は葉介の小学校の同級生、今は船乗りとなり父の四十九日で田舎に帰って来た男の話、ラストは葉介自身の話。 
     葉介との関わりの深さはそれぞれ違うが、何かしら影響を受けた人々。自分の殻に閉じこもっていたり、過去に縛られている不器用な人々がちょっとした出会いで前へ進み始めるきっかけとなっている。過去のある事から私生活でも堀尾葉介という人物を演じている葉介、自身もまた、ある出会いから前より少し楽に生きれるような前向きな姿になったラストがよかった。

  • 遠田潤子さんの新刊は、アイドルから俳優に転身し、誰もが好感を持ち賞賛する男・堀尾葉介がキーキャラクターとして全話に登場する連作短編集。短編ごとに主人公は異なるのだが、堀尾葉介によって人生を揺さぶられることになる。知名度の高い一人の役者の存在が、どのように人々に影響を与えているかがうまく描かれている作品で、物語が進むにつれて、いろんなつながりが増えてていくので後半の方が面白かった。短編タイトルに、物語にも出てくる有名映画のタイトルが入っているのも味があっていい。

  • あまりに身勝手、短絡的な男の思い込み、行動にイラつく。もう少し普通の人たちで良かったのに。「ペットはある意味、究極の人間関係。妻であり子であり家族」「動物は自分を必要としている人間がわかる」「思い出も時と共に消える。雨の中の涙のように」

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

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