烏金

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334925635

感想・レビュー・書評

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  • 因業な金貸し婆『お吟』のもとに現れた謎の若い男『浅吉』には秘密の目的があった…。相棒の烏『勘左』とともに"貧乏人"を救う超・時代エンターテイメント!(帯より)
    金貸しの老人のもとに押しかけた若い男、というだけで間違いなく何事かが起きる予感がする本作品。江戸の長屋に住む人々や武家屋敷の小役人を巻き込んで、借金返済から収入増まで面倒を見る浅吉は、いまで言う「FP」。また、腕っぷしも強いので、時には「SP」のような活躍が見られて痛快。
    とても面白い内容だった。

  • 烏金とは、金を、明烏のカァで借り、夕方のカァで返すことから、こう呼ばれる。
    因業な金貸し婆、お吟のもとに現れた若い男、浅吉。何やら、秘密がありそう。それも、お吟を恨んでいる様子。所が、その恨みが、根っからの恨みでない様な・・。
    浅吉は、烏の相棒、勘三に助けられながら、江戸の貧乏人達を、今で言う、企業アドバイザー並のアイデアで、助けて行く。

  • 人が暮らしていくのはいつの世も大変なこと。
    金貸しってマイナスのイメージが強かったけど、こんな人を助けるようなやり方もあるんですね。
    続編も読みたいです。

  • 続編のはむ・はたるを先に読んでしまっての烏金。この始まりを読んで改めてまたはむ・はたるを読みたくなった。時代物ながら登場人物が魅力的で、テンポよく読み進められる。

  • 金貸しの話。すっかり西條奈加にハマった。

  • 時代小説初心者でも読みやすく、オススメ。

    お吟、勝平、ハチ、その先が知りたくなる。
    この続きが読みたくなった。

  • 2021.08.13

  • 西條奈加 2作品目。

    烏の相棒勘左に愛された、金貸し浅吉の奮闘記。

    「烏金」という単語を初めて聞いた。江戸は、宵越しの金は持たないとよく聞くけれども、「ひと晩貸し」「節季貸し」など、金融の仕組みがあったんですね、感心しました。裕福なものは、より裕福に。貧しい者は、、。

    ただ、単に金を貸して取り立てるという「稼業」から、グラミン銀行のような個人企業再生・ベンチャー支援の「稼業」へ。ビジネスライクではなく、心のこもった対応で、なんだか泣けてきます。頑張れって。

    特に、悪ガキどもを説得したり、商売をさせたり、役人に対抗したり。熱い、激しい、浅吉にとても泣かせられます。そして彼らを信用することも。「金を持ち逃げしても、せいぜい数日食い繋いで終わりだ。それを元手に暮らしを立てようとする者も必ずいる。…。まともに働いていた奴らなら、この江戸で稼ぐ手立てが欲しい筈だ。」と

    結局3人に振られた浅吉は、田舎に戻った後は、ブドウ栽培ですか?ね?

  • おもしろかったです。江戸時代はいろんな切り口がある時代だなあと思います。カラスがいい役どころです。

  • 面白かったのかな?人情話としてはいいかもしれないけど、なんかところどころ文章がわかりにくくて読みづらかった。色んな物がたくさん詰め込まれ過ぎてどこにどう気を配っていいかわからなかったのがちょっと大変でした。お妙との話を追いかけたらいいのか子供たちにほろりとすればいいのかお吟さんに注目したらいいのか。
    算額がわからない頭だからなおさらだったかもしれない。

  • 時代ものでは読みやすい部類。相手の弱みにつけこんで何もかも吸い上げるイメージのある金貸しだが、ここでは人情話の形で描かれている。問題が起きてもわりとあっさり解決してしまい、主人公がやや出来すぎな気もするが、安定感はあった。

  • 主人公の浅吉が江戸に金稼ぎに来る。
    稼ぎ先は金貸しの婆さん。
    軸は何故金稼ぎするのか?何故この婆さんなのか?
    で、この軸にいろいろ笑いあり涙ありと肉がついて話が進み、最後は軸に到着する。
    題名通りカラスも登場。なかなかの役者です。
    文庫本にはこのカラス(勘左)が主役でおまけが付いてるそう・・・。
    何処かで立ち読み・・・してこなくては。

  • 今回もいい人のお話
    西條奈加はいい人の話を描くのが得意だ。
    踏ん張りどころで、いい人になれるかどうかは、周囲にいい人がいるかどうかで決まるのかも知れない。
    今の日本にいい人が沢山いてくれたら、少しは生きやすい国になるのだろう。

  • 因業な金貸し婆と手伝いをする浅吉の 痛快時代小説。 返すアテのない人には協力して目処を立て 返す気のない輩には脅して回収する浅吉の話で一冊読みたかった。 算術が好きなどこか憎めない師匠が良き。 勝平ら孤児たちのその後を書いた『はむ・はたる』と 『善人長屋』シリーズも読みたい。

  • 江戸時代の金貸し屋お吟さんと、そこに転がり込んだ浅吉の話。マイナスイメージのある金貸しやけど、お金を貸すことで人を助けることも出来るのが良かった。そしてその助け方が凄い、その発想出てくるの強いなぁと感心する。続編あるらしく、そっちも楽しみ。

  • 金貸しは人に嫌われるものだが、相手の生活が立ち行くようにすると好かれる。
    最後は八方よし。

  • 帯の通りにプロジェクトXだ。ただの金貸しじゃなくて、これは投資。働いて稼げるように資金を貸してくれるのね。女子供の方が、そういうとこちゃんとしてる気がする。真面目に働いた人がちゃんと暮らせるように。なんかいつの時代も言ってるなあ。なんで定着しないのかしら(@_@;)

  • ※※※もし時間があれば読んでみると良い本でしょう^_^

    しばらく音楽活動などに忙しくて、趣味読書から遠ざかっていましたが、なんとかまた戻ってこれたようです。良かったよかった。

    これわなんとも軽快で読みやすい作品です。 それでいて話の勘所ツボはしっかりと押さえられていて、ちょいとした事なのに鼻の奥がツンとしたりする。時代劇作品もこういう具合に軽快だとすこぶる面白い!ってもんです。^_^。

    そしてこの本はまぎれもなく「小説」です。 かっちけねえが、そうまで偶然にいろんな事が次から次へと起きるわけ無いだろう、と思いながら読むことになります。

  • 経済学のようなお話かと思っていたら最後に感動が待っていた。中高生にも読んでもらいたい。

  • これの続編である「はむ・はたる」を先に読んじゃったからね。さいしょから、お吟と浅吉の関係性を知って読んでしまったけど、続編では完全にこどもたちが主役だから、後半でわらわら登場するこどもたちの顔がもう最初から思い描くことができて、結局良かったのかもしれない。こっちが先だったら、ハチがそこまで暴れるの、疑問に思ったかもしれないもんな。与力門佑も、ここが初登場なのかもなぁ。 ちょっと、浅吉がほんとうにお吟に近づいた理由ってのが、もっと、恵まれない女子どもたちを導く使命感みたいななにか因縁につながるとおもって読んでたから、そこは肩すかしだったかな。在所を救うお金を集める使命があったわりには、無鉄砲だもんなあ。なぜそこまでして、リスクだらけの勝平たちに肩入れしたのかが、しっくりこなかった。でもまあ世の中の世知辛さと人情と、動きのある展開で、飽きずに読めるけどね。どこを切り取っても番外編が書けそうな、ひとりひとりの生い立ちや性格なんかをしっかり肉付けしてから物語を作るひとなんじゃないかなぁ。師匠の算術メインでもほかに1作ありそう。なんか、この話の続編でなくても、ここの登場人物は、きっとほかの話にも出てきてそうだよな。そういうのを見つけるのもちょと今後楽しみ。映像化は、烏のシーンがあるから難しいかもね。。善人長屋のほうもいいけど、こっちも行く末を見守りたい。いまんとこ、どの作品にも、しっかりものの女性がどしっと腰すえてる共通項がある。西條奈加ワールド、いまのとこハズレなし、いまご贔屓の作家さんだ♪

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西條奈加の作品

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