舟を編む

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927769

感想・レビュー・書評

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  • 読む前は『舟を編む』??と思っていましたが、、、。
    辞書は言葉の大海原を渡る舟。
    膨大な数の言葉の海を整理して分かりやすいように一つ一つ丁寧に編んでいくという意味が込められていて『舟を編む』という本のタイトルも素敵だと思いました。


  • 辞書編纂にかかわる人々の思い、情熱が伝わってきた。西岡さんや岸辺さんは辞書にもともと思い入れがなかったひとたち。そんな彼らが馬締たちと仕事をしていくうちに新しいことに気づいて、また人生の転機に繋がっていくというのは、人の縁を感じさせてとても良かった。
    辞書編纂にかかった十数年間は詳しく書かれているわけではないのに、松本先生の逝去、辞書完成には私にも万感の思いがこみ上げ思わず涙が出た。

  • 映画化されてるのは知ってたけど、辞書を作る話だとは知らず。
    言葉や辞書をこんな風に考えていた事がなかった。
    辞書欲しくなる。

  • 辞書を編纂(編む)のは大変なんですね。思わず広辞苑の紙質やぬめり感を確かめてしまいました(^^;)専門用語も多く、一種独特の世界に引き込まれますが、日本語の話ということもあり、すんなりと読みやすく、へぇ〜っと思うことしばしばでした(笑)辞書を作るのに15年!!!!いろんな人に支えられ、編まれていく舟、言語という大海原にいざいかん(^^)/

  • なんだ感想書いてなかったんじゃん。
    去年くらいに高校生のムスメに読んでみたら面白いからとススメたものの放ったらかしにされたままベッドサイドに置き去りにされて数ヶ月、どういう風の吹き回しかムスメがようやく手を付けたらしいのでオヤジも再読して感想文を提出してないことに気がついた次第。
    ストーリーに準じてか古典的で正統派の表現と文体な箇所と砕けて現代的な表現と文体のコントラストの妙味が良い味を醸し出す。
    本作はカバーデザインが秀逸な『風が強く吹いている』同様、『大渡海』の装丁を模した単行本で読みたい。
    『星間商事株式会社社史編纂室』を読んで、このシチュエーションには既視感があるよなぁと思ったのは玄武書房の辞書編集部だったか。

  • 一つの辞書を作り上げ出版する。素人が考えただけでも終わりの見えないこの仕事を担当する大手出版社社員・馬締(まじめ)が、退職して嘱託として協力してくれる元先輩社員、契約社員の事務員、そして監修の先生と共に10年以上かけた辞書作りを綴った作品。
    この作品を通して言葉の大切や本来の意味、そして誰もが持つ「曖昧な記憶」を「明確な記憶」にするために言葉がどれくらい大切なのかが分かります。
    三浦しをんさんの作品は初めて読んだのですがとても読みやすく内容が深いのに分かりやすい、さすが大差をつけて受賞した2012年本屋大賞作品だなという素敵な作品でした!

  • よくタイトルを目にしていて、いざ、と読んだら期待以上だった。
    純粋に面白かった。

    登場人物の視点が変わっていくのだけれど、どの人物も魅力的。
    こうなってほしいという期待を裏切らず、それでいてやっぱりなーという感じもなくて、最後はこみ上げてくるものがあった。

    最高だった。手にとってよかった。

    後で気づいたけど、装丁…これは読んだあと感極まる…!

  • 辞書を作ることにまさに人生をかけた人たちの話。
    とても面白かった。
    これほど夢中になれる仕事に出合いたい。
    そして久しぶりに辞書を読むために出してきた。

  • おもしろい本の探し方がわからなかったので、タイトル知ってるの読んだろって思って、図書室で借りた本。
    いままでなんとも思わなかった言葉たちが、急にいとおしくなるお話だった。装丁がおしゃれだけどいまいち堅苦しそうで中身もそうなのかなぁ、と手が伸びなかったが、全く癖のない文体だし登場人物も情熱的。よかった

  • 2012年本屋大賞受賞作品
    さらりと読める物語です。

    はらはらどきどきというわけでもなく、重いヒューマンドラマというわけでもなく、感動巨編でもなく、「大渡海」という辞書編纂に人生をささげた?編集者たちの物語。
    辞書ってこうやって作られるんだっていうのがとてもよく理解できます。
    また「言葉」というものの意味についても考えさせられます。
    辞書を引きたくなるし、辞書を比較したくなります。

    そんな中、一番のポイントは主人公まじめと西岡との対比だと思います。
    言葉のセンスと辞書作成に没頭する内向的なまじめ。
    何事もそつなくこなす社交的な西岡。
    そんな西岡が抱くまじめに対する嫉妬心、そして自分自身の仕事に対する姿勢。そんな葛藤がさらりと描かれています。
    さらにまじめの仕事に対するこだわり。
    辞書に載せる言葉の表現のみならず、紙質までへのこだわりがすごい。

    そんなわけで、いわば仕事へのこだわりという点が辞書編纂を通して描かれている物語ともいえると思います。

    まじめとかぐやの恋愛のあたりはなんだかよくわかりません(笑)

  • ある短編集を読んで以来、苦手だった三浦しをんさんですが、この作品はお気に入りになりました。

    辞書づくりに並々ならぬ熱意を注ぐ人たち。その仕事への取り組みは、部活に心身ともに全力でぶつかる高校生のように熱くて、大人の青春を見せつけられているよう。

    そんな泥臭さも好きですが、何より西岡の語りの章が秀逸。周囲の熱さについていけないと温度差を感じつつも、何かもやもやしている様子。才能、努力、信頼への嫉妬がじわじわ伝わり、人間の汚くも愛らしい部分が詰まった章。

    辞書がテーマということで、言葉について考えさせられるところもあった。私は言葉を愛しながらもどこか懐疑的で、感情を言葉に変えることで意味が変わったり、変に限定されてしまうことが嫌だった。

    でもこの作品を読んで改めて言葉の担う役割を認識できた気がする。心を読み取り合えない人間には言葉という道具が必要であり、また同じ時代を生きなかった人たちに何かを伝えるにも言葉がなくてはならない。

    色々派生して、言葉をどれだけ正確に使うかってとても大事だと、考える機会となりました。

  • 複数のお友だちからおもしろいと薦められていた本。
    私も楽しみました。おもしろかったです。
    主人公の馬締くんのまじめっぷりがほのぼのします。
    周りの人々もみんなあったかくていい人ばかり。
    この会社で働きたくなりました。
    何かに一生懸命取り組むっていいですね。

  • 話題作だったのでいつかは読みたいと思っていましたが、図書館にあったので、やっと読むことができました。

    ストーリー自体は淡々としたものですが、登場人物の心情とか情熱とか、言葉の大切さ、おもしろさとか。
    飽きることなく最後まで一気読みです。

    おもしろいテーマだし、なかなかに壮大なお話でした。

  • 最近はなんでもネットで検索できるので、辞書をめくる機会も少なくなっている。学校でも電子辞書を使う習慣になった。だけど、この物語を読んだ後はおそらく多くの人が辞書を開きたくなると思う。
    ここまでの熱量をひとつの辞書にそそぐことができるって、とてつもない。とてつもなく熱いのにさらりと読める、読み心地の良い物語。

    明日は辞書でも買いに行こう。

  • 「辞書は、言葉の海を渡る船だ」
    ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかはないだろう。
    辞書作りに情熱を注ぐ人々の物語。


    辞書と聞いて思い起こすのは、小学生から使っている赤い表紙の「角川新国語辞典」。今でもパソコンの隣に鎮座してます。
    学生にとっては、重いはかさばるはで邪魔な存在。今なら電子辞書でもいいらしいですし、普段はスマホでも手軽に調べられてしまう。それでも本の辞書にはそれなりの利点もあるのです。文字をなぞりながら、用法などをじっくりと考える事が出来る。ふと近くの語意が気になって、当初の目的から全然離れた言葉に行きつくことだって意外と楽しい。
    この本を読んで、あらためて辞書の奥深さに気付かされた。何気なく捲っている紙一つとっても一般の著書とは違うことなど。確かに手触りは全く違う。ぬめり感(指に吸いつく感じ)なんてものを初めて知った。何よりこんなに手間がかかっているものだとは。

    感想としては、事前に予想していたのとは少々異なる印象。いわゆる純文学のイメージだったのだけれど、意外と砕けていてユーモラスな面もある。まあ、エッセイを読んで著者に対するイメージは大分変っていたし、良い意味で裏切られたなと感じたので良かった。
    何より地味な題材(失礼)だと思うのだけれど、登場人物が良い味を出している。主人公の『馬締(マジメ)』は飛び抜けているが、他の面々も辞書作りに懸ける情熱が並はずれている。
    確かに天才と呼ばれる人は、それ以外の一般的な事柄には無頓着なイメージがある。これが目に見える能力ならいいが、一般的に理解され辛いものなら、ただの変人である。この才能に気付く人がいて初めて、変人は天才となるのである。
    そこで登場するのが『西岡』だ。彼はごく一般的な(軽い)人物であるが、それがゆえに辞書編集部においてはあまり当てにはされていない。でも彼は馬締が才能ある人物であると知り、足りない部分をフォローしてくれる。もちろん彼にだって、鬱屈した思いはある。羨望や疎外感、劣等感、それらを抱えながらも、彼らをいとおしみ、自分なりの手助けを惜しまない。
    読み手の大多数は、天才にはなれないだろう。けれど、西岡の気持ちは痛いほどよくわかる。だからこそいっそう彼らに惹きつけられるのだ。それまで傍で見ているといった話が、西岡視点の章で、ぐっと引き込まれる。

    辞書にまつわる知識も増えるし、色々と読みどころのある本でした。
    この本を読み終えた後、自宅の辞書に「女」がどう載っているか引きたくなるのではないでしょうか。

  • ひとつのことに真剣にのめり込めることはすごいと思う。
    辞書作りって奥が深いなぁと思った。

  • おもしろかった。
    恋愛要素たっぷり。
    それに、同僚や上司部下の人間関係、辞書のすごさ、大変さ、作る人の気づかい、言葉が生き物であるが故の苦労を知った。
    一つの言葉に執着する姿勢、正しく人に伝えようとする姿勢がかっこいい。
    たくさんの人々がお互いの情熱に刺激を受けながら、大の大人が何より辞書のために必死になれる姿がかっこいいと思った。

    チャラくてできない奴と思ってた西岡さんの「中世をお任せできるのは先生だけです。引き継ぎの時期が近づきましたら、新しい担当のものと改めてご挨拶にうかがいますので、どうぞよろしくお願いします」にやるじゃんと思ったし、私はどちらかというと円滑に進めるためなら多少の嘘は厭わないタイプだから共感を感じた。そんな西岡が先生の愛人の話をあげて辞書へのプライドを守ったのは嬉しかったしかっこいいと思った。
    馬締のラブレターは噴いたww
    話の前の方に出てきたなんでもないエピソードが後半に繋がってたりしてその綿密な伏線に恐れいった。
    軽いけど、面白い♡よかった。

  • ゆったりと進む物語が心地よく、辞書づくりをするひとたちの情熱や、言葉に対する思いが心をじーんとさせた。

  • 辞書を作る人たちの話。おもしろかった。

  • 辞書を作る人の苦労と情熱が素敵でした。
    ちょっと変わり者?と言われる馬締。
    辞書作りを通して人間として成長ていく様に惹きつけられます。
    辞書を作るということは途方もない作業です。
    辞書作りの世界を垣間見て
    辞書に込められた想いを
    私達使用者はきちんと受け止めなければならないなぁと
    思いました。
    面白かった!

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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