奇譚を売る店

著者 :
  • 光文社
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感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928896

感想・レビュー・書評

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  • また買ってしまったーー。で始まる古本屋で出会う本の6つの話。

    帝都脳病院について書かれた本の当時の様子が小さな世界となって目の前に表す様子。

    満点星子という今も昔も存在する偏った内容の小説を書く作風に惹かれ、気づけば自分自身が満点星子になっていくまで。

    昔の探偵漫画の話を若者に話しながら不思議なことに気づくまで。

    映画化された話に載っていた女優にそっくりな人に現代の撮影場で出会い驚愕するも、本当の不死身な人はもっと身近にいることに気づくまで。

    前編後編の本が前編しかなく、やっとの思いで手に入れた後編の内容は自分の最後そのものだった瞬間。

    それらの本を売っていた古本屋の店主とそれらを買い求める私たちの運命。

    うーん。うん。

  • 世にも奇妙な物語のような雰囲気でした。
    どこまでが現実でどこまでが本の内容なのか
    混乱する感じが良かったです。

    同じ主人公の話かなと思っていたけれど
    最後の話で一捻りも二捻りもあって
    静かな不気味さがありました。

  • 完全に設定とジャケで借りました。
    私が子供のころ(昭和)の児童書でよく見たようなオレンジ色に黒の飾り枠にペン画イラスト。

    見返しに貼られた帯には「読んだら最後。物語に喰われちまう。」と「書くから、いかんのだ。書くから、読ませたくなる。」
    レイアウトが、まるで左右から同時に囁かれているように重なっているもんだからゾクゾクワクワク。

    巻頭作の題は「帝都脳病院入院案内」
    他にも"怪人幽鬼博士"とか"青髯城殺人事件"とかそそる単語がちりばめられて、これもう読むしかないよね?

    読み出したら収録作の最初の一行は全部同じ。
    「──また買ってしまった。」
    きゃー!このタイプの導入は好き。
    『ノックの音が』とか『声が聞こえたで始まる七つのミステリー』とか。
    そして、心当たりが有りすぎる人がどれだけいることか。

    本好きのホラーあるあるな話だけど、そのベタな感じがたまりません。想像をあまり裏切らない読みたい奴、って感じ。
    ベタに感じるノスタルジックな雰囲気に、現代成分もほのかにあって、より親近感が増します。

    装画・扉画 / ひらい たかこ
    装幀 / 柳川 貴代
    初出 / 「小説宝石」2011年10月号・12月号、2012年10月号・12月号、2013年3月号・5月号

  • ※図書館

  • 怖くて何度も本を閉じたから読み進めるのに時間がかかった。
    古書店にはなんとも言えない陰の気配があるよね。
    最後の語りにゾクッときた。背後が怖い。

    難しい熟語が使われていたり、明言せず含みをもたせたまま話が進んで、情景が想像できなかったり。
    読み進めるのに疲れた。
    でもこういう系統の小説だから、それもわざとなのかもしれない。

  • 古本屋で購入した本を起点に始まる不思議な六つの短編。
    作家らしい主人公が立ち寄った古本屋で手にした本。「また買ってしまった」で始まる怪奇なストーリー。最後の表題作を読んで、全作品がつながる仕組み。
    ウ~む…。

  • 古本屋で買った一冊の本が、『私』を摩訶不思議な世界へと誘っていく。

    「また買ってしまった」
    古書店を出た呟きから物語は始まる。いくつかの短編があるが、出だしはほぼ同じ。『私』が古書店で本あるいは資料などを手に入れ読み進めていくと…。
    ホラー風や推理ものなどティスとは様々だが、多分みなろくなことになっていないだろう。本を買うのは皆『私』である。これは表題にもなっているラストの話に持って行くためなのだが。一番最初の話の雰囲気が怪し気でそそられたのだが、後半に行くにつれ恐怖が直接的なものになるにつれ、何だか逆に滑稽に思えてくる。ラストは有りがちだったし、雰囲気が合ってない気がして興ざめだった。

  • (収録作品)帝都脳病院入院案内/這い寄る影/こちらX探偵局怪人幽鬼博士の巻/青髯城殺人事件 映画化関係綴/時の劇場・前後篇/奇譚を売る店

  • 読み終わった後、思わず後ろを確認した。

    1話目の青山脳病院が気になって、大学の図書館で調べたことをツイートしたところ、芦辺さん本人からリプが来た(https://twitter.com/ashibetaku/status/395168823864619008)のがすごくいい思い出。
    レビー小体病とかは認知症につながる部分なのでかなり興味を持って読んでしまった。

  •  色褪せてペンキも剥げかけ、ほぼ読めない看板。立て付けの悪い引き戸を開け、日焼け防止の為か薄暗い店内… そんな古本屋が、そして古本に惹かれるなら、理解ってしまう「―また買ってしまった」と呟く「私」の気持ちが。
     怪奇とグラン・ギニョールな雰囲気を漂わせ、暗く不穏な何かが忍び寄る。熟れすぎた果実の纏う腐臭にも似た全6編。 

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著者プロフィール

一九五八年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。
一九八六年、「異類五種」が第2回幻想文学新人賞に佳作入選。
一九九〇年、『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞受賞。
代表的探偵「森江春策」シリーズを中心に、その作風はSF、歴史、法廷もの、冒険、幻想、パスティーシュなど非常に多岐にわたる。主な作品に『十三番目の陪審員』、『グラン・ギニョール城』、『紅楼夢の殺人』、『綺想宮殺人事件』など多数。近著に『大鞠家殺人事件』(第75回日本推理作家協会賞・長編および連作短編集部門、ならびに第22回本格ミステリ大賞・小説部門受賞)。

「2022年 『森江春策の災難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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