いい匂いのする方へ

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 139
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334953577

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて早川義夫「魂の場所」を思い出す。あの本も、おおよそ不都合でしかないはずのあらゆる出来事を「かっこ悪いことはなんてかっこいいんだろう」と曝け出すような一冊だった。

    「虹を見たかい?」から16年ぶり、あちこちの媒体に載せられた文章や「曽我部恵一日記」をまとめた一冊からは打って変わって、まるごと書き下ろしでコロナ禍のこの数年の出来事とそれぞれに多感な時期を迎えた子どもたちへの愛情を丁寧に優しく語り、三人のお子さんたちを育て上げたシングルファーザーであり、バンドマンでシンガーソングライターであるひとりの男性の日常がとてもやわらかく、穏やかに綴られる。
    『どうやら離婚したらしい』とは風の噂で随分前に耳にしていたが、家族関係を維持できなかった、元妻は家から出て行ってしまった、という後悔の念はひしひしと痛みを伴う。(「虹を見たかい?」の中で、当たり前のように繰り返し奥様が登場していたからこそ余計に)
    それでも、その大きな痛みを乗り越えながら家族を守り続けてきたこと、生きていることそのものが表現であり、全てが歌になるのだということ。
    芸術家としてありのままに、気取ることや飾り立てることなく生きていくこと、その中で自分自身をまっすぐにやわらかく見つめるまなざしが歌を生み出すのだということ。それがわたしたちの心をあたたかに照らし出すのだということ。
    それがきっと曽我部さんの生活であり、人生であり、「愛ってやつ」なのだ。
    曽我部さん、愛を手渡してくれてありがとう。 

  • Audible読了
    これは出会って良かった本。
    大学の頃、友人に聞かされすっかり虜となったサニーデイサービス。今その時代を思い出してみても、記憶があの色彩のまま呼び起こされる。東京。愛と笑いの夜。CDからまんま飛び出てたようなエッセイだった。
    お互い46歳を迎えたあの頃のツレにも即教えた。

    曽我部さんの生の言葉には初めて触れる。中坊のような部分、シングルファザー、そしてシンガーソングライターが同居している不思議な感じ。特に父親の部分には強く共感した。

    言い回しは素朴。それなのにピタッとくるシュアなワードセンスが、知性派の成田悠輔さんを思い出させる。共通する点はお二方とも少々辛口ながら「憎めない」。そして惜しみなくリスペクトできる点。

    そんな曽我部さんをしても、
    ──エモいの正確なニュアンスは未だ掴みきれていないのである
    だそうだ。すっごい分かるソレ。
    まぁ、そこにそういう言葉が転がっているだけで、結局みんな使いたいだけでしょ。要は感動するってことなんでしょ。なんて、すぐに自分の枠にはめたがる私は、とてもアーティストにはなれないんだろうなー。

    人生の間を置いてまた読んでみたい1冊。

  • わが青春のヒーロー、いい感じの中年になっておられる。ご家族、人生、いろいろあったんだなあ…。柔らかい文体で、タイトルのせいか、ふわりといい香りに包まれるような気持ちになる良きエッセイでした。

  • すばらしい本
    特に最後のインタビュー

  • 心地よく読めました。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50329853

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著者プロフィール

1990年代初頭より「サニーデイ・サービス」のボーカリスト/ギタリストとして活動を始める。1995年にファーストアルバム『若者たち』を発表。70年代の日本のフォーク/ロックを90年代のスタイルで解釈・再構築したまったく新しいサウンドは、聴く者に強烈な印象をあたえた。2001年にシングル『ギター』でソロデビュー。2004年に自主レーベルROSE RECORDSを設立し、インディペンデント/DIYを基軸とした活動を開始する。以後、「サニーデイ・サービス」/ソロと並行し、プロデュース・楽曲提供・映画音楽・CM音楽・執筆・俳優など、形態にとらわれない表現を続ける。

「2023年 『バンド論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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