- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336025692
感想・レビュー・書評
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ボルヘス編纂の短編集、今回はヘンリー・ジェイムス。
社交界の皮肉を幽霊譚や分身譚に寄せて表現している。
作者は真面目で大仰なところがどこか滑稽な巨匠だったらしい。
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いるはずの場所にいない男と、二か所に同時に存在する男。
社交界で”完璧な自分”を演出するには。
/「私的生活」
軍人の素質に恵まれた青年が軍への道を拒絶する。
彼の育った家に伝わる幽霊部屋。
/「オウエン・ウィンブレイヴの悲劇」
奇妙なすれ違により生きている間には会えなかった二人の男女。
幽霊譚の裏に繰り広げられる愛と嫉妬。
/「 友だちの友だち」
社交界で成功者として光の中にいた男と、その影に隠れていた男。
彼らの死後妻たちは…
/「ノースモア卿夫妻の転落」
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作者自身も所属していたイギリス社交界ってじつに面倒くさい。そう思われているあり方を自己演出し続けなければならない、夫に疑問を持ってはならない、夫に死なれた妻のあり方を果たさねばならない…
この短編集では「巨匠に見えるがつまらない人物」を幻想譚として描いているのですが、作者自身はどのようにして社交界に属していたのでしょうか。きっと大真面目に巨匠であり続けたのでしょうね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ノースモア卿夫妻の転落」はすごい。うん確かに私も知っているよ。そんな点が、たとえばモーパッサンを抜いている。
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バベルの図書館という名前に惹かれえ手に取る
かなり露骨な欲の絡んだ男と女の駆け引きをモチーフにした物語
題名との繋がりが読み取れず
あまり好みのものではなかった
根気よく多彩な角度から駆け引きを表現する文体で
登場人物の複雑に揺れ動く気持ちを推理しながら
成り行きを楽しんで読むことができる -
第14冊/全30冊