- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784338287029
作品紹介・あらすじ
父親の突然の死により、母親、妹とのちいさなアパートでの三人暮らしがはじまる。誰かを守ろうとすることも、守り切れないと泣くことも辛い。痛みと孤独を背負った少年の、その一歩一歩がかなでる鮮やかな心の成長の物語。
感想・レビュー・書評
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父親が急死した少年の小学校6年生後半から中学1年前半までの1年間を描く。
母親と6歳年下の妹との家族、DVの父親のいる友人、妹のためにサッカー部を諦めて入った美術部、いつも明るくて人気者のクラスメートの万引き、嫌われ者の兄を持つ弟等々のエピソードを絡めて話は進む。
最後には、亡父の大事にしていた神輿担ぎに初めて挑む心の葛藤と周囲の支え、父親との絆を描く感動作。
作品の出来栄えとしたら、これは、推しでしょう。優等生組だと思います。
でも、でも、オトナである私は、これを小学校高学年の子がどう読むのか非常に気になるのです。
特に、お母さん。
一家の大黒柱の夫が急死して、大変な中正社員として家族を支えているのはとーってもいいんです。頭が下がります。
でもね、小学校1年生の娘が寝てから帰宅する毎日の中、彼女の誕生日も忘れてしまって暗い家で一人で泣き寝入りさせるような生活の中で、その娘のためにサッカーを諦めて学童に迎えに行っている息子に対して「サッカーやるんじゃなかったの?」と言うのはどうか?と思う。
ただ「自分で選べ」といった言葉を受け止めて、彼が”美術部”に取り組むようになったのは幸いでしたが……。
もし彼がそれで毎日夜まで部活をするようになったら、娘のことはだれが責任取るんだ???まだ小さくて文句言わないからって軽んじないでと言いたくなるのです。
そして、これを読む子たちにも、そう言うことには疑問を感じて欲しいと思うのです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私は今で言うヤングケアラーなので、内容が自分とリンクし共感する思いが募った。自分で選んだ選択。選ばざるを得なかった選択。そのくせに自由な時間や自分のやりたいことがやれない状況。犠牲的になってしまっている自分に嫌気がさしていた。誰にもわかってもらえないこの気持ち。同じ境遇に共感する思いがあり味方がいたと安心した。そして、自分も今の状況の中で仕方ないで終わらせず自分の人生を自分で有意義に活用したいと思った。
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良い話。
各章は短編のようになっている。
どの話もよかったが、西宮のその後が気になった。 -
父親の突然の死により、母親、妹とのちいさなアパートでの三人暮らしがはじまる。誰かを守ろうとすることも、守り切れないと泣くことも辛い。痛みと孤独を背負った少年の、その一歩一歩がかなでる鮮やかな心の成長の物語。
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息子の幼なじみのお父さんが突然亡くなり、元気だった幼なじみの子は不登校に。
この本の主人公の周りのそれぞれいろいろな問題を持った子たちのことも、さりげなく書かれているのでいいとは思うのだけど、やはり当事者である子に手渡すのはためらわれる。
子どもに、というより、子どもの気持ちに少しでも寄り添えるよう、大人に勧めたいかなあ、と思います。
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突然、父親が亡くなって母子家庭になった陽介一家。
自分が母親や妹を支えなければと思う。
中学生になってやりたかったサッカー部にも入らず、遅くまで働く母親に代わって妹の面倒を見るが、母親は働くことに生き甲斐を見つけたようだし、妹も友だちと楽しそう。自分だけ遣りたいこともやらずモヤモヤとしている。
そんな陽介も周りにも色々問題を抱えている仲間がいることを知る。
中学生という多感な時期に自分の思い描く姿とは違う現実を突きつけられ、またそれが自分の力だけでどうにかなるものではないことをしる陽介。
悩みながらも父親と同じ神輿を担ぐことで何かを見つけようとする。
夢中になれるものを見つけることは人を生き生きさせる。
そして成長していく。
誰かの犠牲になっているという思いで生きていくことは辛い。
そんな中で夢中になれるものに出会ったことは大きい。
そしてそこに父親を感じることは陽介にとって力を与えてくれることになるだろう。
みんな、何かを乗り越えて大きくなっていくんだ。 -
「誰かのため」は時に「誰かのせい」にして、自分のあきらめを肯定する理由になることも。でもそれに気付けた時はもう、自分で考え始めているのだと思います。きっと誰しもが変われる可能性を持っているんです。
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父の死を乗りこえて、家族を支える少年
えらいなあ・・・ -
父を突然なくした陽介の
小学6年生から中学1年生までをたどる成長物語
母をたすけ妹の世話をしながら
友人関係に悩み、部活に悩み、恋に悩み、自分に悩み...
父との約束をはたすため神輿の担ぎ手に志願する
厳しい現実としっかりむきあう陽介と手をさしのべるおとなたち
同世代の子どもたちにも彼らを見守るおとなたちにも、元気の素に -
まぁ、そんな感じか。
絵が浮かんだかな。