オオカミを森へ (Sunnyside Books)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338287159

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の絵がいい。挿し絵も。この絵の良さで半分は勝ったようなものだ。
    オオカミ飼育に関する設定は子どもはあとがきを読むまでフィクションとは思わないように思うので、いいとしても、12歳の少女がいくら小柄でもオオカミに乗れるのか、オオカミは乗せて走れるのかという疑問は残る。ましてや少女より30㎝も背の高い少年が乗れるのか?まあ、フィクションなんだから、現実世界のオオカミよりずっと大きく乗りやすいのだろうと思うしかない。大型の肉食獣に乗って走るって、絵的には格好いいもんね。
    しかし、子供だけで敵地に乗り込むのはさすがにちょっとへん。一番下は5歳とあればなおのこと。
    いっそ、革命前のロシアではなく、架空の土地のファンタジーにしたら良かったのではないかと思ってしまう。
    獣を味方にできる、闘う少女。私の脳内では完全にジブリアニメで再現されました。

  • ロシア貴族たちは、オオカミを飼いならし、飾り立て自慢していたが、手に負えなくなるとそれを手放した。不幸なオオカミたちを森に返すのが、「オオカミ預かり人」の仕事。フェオは、母親のマリーナとその仕事を請け負うため、森の中で暮らしていた・・・という魅力的な設定で始まる物語。
    アレクセイはじめ、多くの市民が加わっていくのは革命前夜の歴史を踏まえたものらしいが、ここでフィオと行動するのは子供たちなので、歴史のリアルさはあまり伝わってこない。物語はそれを求めてはいないと思うが。
    フェオと、または人間と狼との関わりについて描かれているところはとても興味深かった。オオカミはフェオでさえ言うことを聞かせることはできないのだ。次の行動はオオカミに委ねられており、自分の思い通りにはならない。オオカミという動物の素晴らしさを知った。
    何より表紙の絵に引き込まれてしまう。挿絵も素晴らしかった。

  • 革命前のロシア、貴族たちはオオカミを飼うことがステイタスシンボルだった。しかし、オオカミは人間に飼われても野生を忘れることができず、飼いきれなくなる。そこで、オオカミ預かり人にこっそりと森へ返してもらっている。フェオは預かり人の母親と森のはずれの小屋で暮らしている。森へ返す訓練中のシロとクロとハイイロの3頭のオオカミと一緒に。
    そこへ、皇帝の権力をかさに着た暴力的な将軍ラーコフがやってくる。ラーコフに一番仲の良かったオオカミ・ハイイロを殺されたフェオ。母親もラーコフに捕らえられてしまいます。フェオは、ラーコフのもとから抜け出した少年兵イリヤと、母親を救うために刑務所のあるサンクトペテルブルグに向かいます。
    最後は、フェオたちに味方する子どもたちの力を得て、虐げられていた人々とともに反逆に出ます。

    作者はイギリス人。ロシアの貴族がオオカミをペットにしていたというのは、フィクション。

著者プロフィール

1987年、英国ケント州生まれ。子ども時代をジンバブエ、ブリュッセル、ロンドンで過ごす。現在、オックスフォード大学オール・ソウルズ・カレッジの研究員。2011年より作家活動をはじめ、2作目の「Rooftoppers」が英国やアイルランドで児童文学賞を受賞。2015年「Cartwheeling in Thunderstorms」で、ボストングローブ・ホーンブック賞を受賞する。
邦訳書に『オオカミを森へ』(原田 勝 訳 小峰書店)がある。

「2017年 『テオのふしぎなクリスマス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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