もういちど生まれる

著者 :
  • 幻冬舎
3.60
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本棚登録 : 2018
感想 : 330
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344021051

感想・レビュー・書評

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  • いや~眩しいほど若い。思い出す、思い出すのだ。

    最初のひーちゃんは線香花火より後半に行くにつれて物語の人物がすこしづつ重なって、多角的に見えて物語がよりじわりと深くなっていく。

    学生時代、あのモラトリアムなあの若い時だからこそ、の苦しみ
    自尊心とか何者になれるかとか特別な自意識そういう息苦しさや他者との関係が、すごく自然に浮き上がってくる。

    昔は本当に周りにいろんな人がいた気がする。
    もっとむき出しあって、ぶつかりあうみたいな交友や考察があった気がする。なつかしいなぁ。

    思い出すってことは、もうその場所に私はいないってこと。

    成長なんてしてるつもりはなくても、すこしづついろんなことを上手によけれるようになるのが大人になるってことらしい。

  • 朝井リョウの作品はなんでこんなに瑞々しいんだろう。過ぎ去ってしまった学生生活が小説の中で息づいているからだろうか。各話の登場人物がリンクした連作短編集。翔多は作者みたいな子なんじゃないかな?と勝手に思ってしまう。なんかイマドキの若者っぽい感じが。表題作が素敵。ただちょこちょこ登場人物の性格が『星やどりの声』と被る。2012/165

  • 19から20歳の若者が主人公の短編集。
    中学校までは義務教育、高校でもまだ進学とか部活とか同じ目標を持って過ごす、でも高校卒業したら社会に向かってよーいドンが始まる。
    ゆるい大学生活の中でもすごいなって思う人がいて、周りに比べて何も考えてない自分に、夢に届きそうにない自分に、焦り、失望し、挫折し、妥協し、それでも挑戦する。
    あの時代があって今がある・・っていうほど頑張ってなかったし立派な大人にもなれてないけど、なんかわかるって気持ちを拾われたような感じがする。
    おもしろかった!出勤前に執筆なんてかっこよすぎるよ、朝井リョウ。

  • 初めて朝井リョウ氏の著作を手に取ってみた。
    最初にこの本てのはちょっと失敗だったかもと後悔したりしなかったり。

    所謂群像劇なんだけれども、その関係性の絡み合い方がハンパなくて
    判んなくなっては前のページに戻る、の繰り返し。
    相関図書きながら読んだろか、と本気で思った。書かなかったけど。

    出てくる小道具はイマドキなんだけれども
    狭い世界で揺れてる感じはずっと同じなんだな、と思った。
    そしてそういう感情は正面から見ると眩しくて痛い。
    そう思える自分もまだ捨てたもんじゃないかも、と思っちゃう辺り
    中二病かよと自分に突っ込んでみたり(爆)。
    作中のそこかしこにばら撒かれているきらめくモノたちを
    もう実際に拾い集めることができないという一抹の淋しさと
    自分がいつどこにそういうキラキラを置き去りにしてきたのかという喪失感
    (そもそもそういうきらめきを過去の自分が持っていたか、という問題もありつつ)。
    読み終えてみたら感情の振り幅全開。あー疲れた(爆)。

    文庫版『武士道エイティーン』の解説で有川浩さんが
    「誉田哲也は心に少女を飼っている」と書かれていたが
    今回もうひとり発見しました!!!(嬉)。
    朝井リョウさんも心に少女を飼っているひとだなぁと。
    なんで今まで読んでこなかったんだろう。勿体無かった。

    個人的にはどうしてこの並びなんだろう、と思ったり思わなかったり。
    最後に『破りたいものすべて』の結末では心が痛い。

  • 迂闊だった。
    若者が描く若者の話に、結構いい歳の大人な自分がこれほど胸を打たれることになろうとは思ってもみなかったから。
    ドトールで読んじゃって。
    ボロボロ泣いちゃって。
    見知らぬ人に心配されちゃって。

  • 20歳をテーマにした連作短編集。登場するのは、繊細で、もがき続ける若者たち。特に、双子の姉へのコンプレックスを抱えた浪人生の姿を描いた表題作を面白く読んだ。劣等感を抱え、すねて、ひねくれた妹が、ふと自分の周りの温かさに気づいていく。それを、独特の瑞々しい表現と、鮮やかな比喩で紡いでいく朝井リョウ。知らずに読むと、女性作家かと思ってしまうほど。オノマトペも印象的だし。やわらかいう読後感は、ちょっとおじさんには場違いっぽいけれど、心地よく読めました。

  • 大学生だった時こんな人いたなーっていうのが満載で懐かしかった!大学名は明記されてないけど恐らく地元の大学を目指すヒロインの話が懐かしさをさらに膨らませた、、

  • 見事な連作。さすが朝井リョウ。言葉のセンスにいつも惹かれる。特に「もういちど生まれる」が好きだった。

  • 『もういちど生まれる』
    朝井リョウ
    2011年 幻冬舎

    『桐島、部活やめるってよ』が出版されて読んでおもしろいなと思っていた朝井リョウさん。

    今回の『もういちど生まれる』は短編集だけど、主人公がつながって輪になっているおもしろい構成。
    大学生たちのリアルな感情が素直に伝わってきます。この頃はまだ朝井リョウさんも大学生たちと同世代、年齢も近かったので臨場感もあって。
    中でもタイトル編の「もういちど生まれる」編が胸にささりました。
    50前のおっさんだけど、心にすうっとストーリーや感情が入り込んできて、なんとも切ない気持ちにもなりました。

    それにしても朝井リョウさんはオノマトペが独特ですね。読んでいて?と止まってしまうところもあるけど、冷静に考えると確かにこのオノマトペは状況にあってるなと感心してしまいます。
    しばらく続けて朝井リョウさんを読んでみようかな。

    #朝井リョウ
    #もういちど生まれる

  • 1話目から2話目に移り変わったとき、なんだか物足りない感じがして、まだ同じ世界にいたかったな、と少し寂しくなった.
    だけど読み進めていくと各物語の登場人物が繋がっていることが分かる.
    1人の登場人物を色んな視点から見ることができる.
    自分の中で抱いている、コンプレックスや夢と現実のギャップ、それに正面から向かっていく主人公.
    涙が出ました.

著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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