- Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344022171
感想・レビュー・書評
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2017(H29).8.4読了
・有川小説は「短編連作集」的な要素が強い?
・「自衛隊を広報する人たち」に焦点を当て、その人たちの生き方から、国民と自衛隊の距離感やら認識の違いやらをあぶり出している
・しかし、軽妙な文体と誠実で前向きな登場人物の生き様に助けられ、エンタメとして読み進めることができる
・本作も、主人公のロマンス的な物語も絡められているが、甘々ではなく程よい距離感で話が進んでいくので、全然苦にならない
・というか、「有川作品に胸キュン」とか「激甘」などと、恋愛の要素を中心に評価が大きく分かれているが、個人的には、登場人物たちは、ベタ甘の恋愛感情をメタ認知してて、そういった感情をある意味客観的に認識してる(=作者がそう書いてる)ように読み取れるので、その客観さが小気味よく感じます詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
復習したくて、何度目かの読了です。
甘々、有川ワールド。
ダイレクトに広報の仕事をしたことがあるわけではないけれど、少し関わる機会はあったので、共感しながら読める部分が多いのです。
報道班と広報班との立ち位置の違い、それでも共通のミッションをしっかり持てている広報室のメンバーたち。それを自由気ままなフリをしながら、的確に導き、ベクトルを正す広報室長。小説だけど(だから?)、この組織力は見習うべきところがあるなぁと感じます。
一番好きなのは、鷺坂室長の『一番大変な思いをする現場が一番いい格好をするべきだ』というスタンス。それが一番格好いい♪
おまけのような、最終章の「あの日の松島」。ブルーがようやく松島に帰れたとニュースで見たときのことを思い出して、ぐっとくる。 -
いろんな立場にある人が、それぞれ置かれた立場で自分の役割を果たそうとしている。自衛隊で働く人も皆同じ。思いや志、気持ちを持って頑張って汗かいているんだなと感じた。読み終わった後に気持ちが残る作品!
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ようやく読みました。
有川さんは、カッコいいおっさんと意外と子供っぽいところもある中堅書くの上手いですよね。
鷺坂室長みたいな上司欲しい~
ブックデザイン / カマベヨシヒコ
カバー写真 / 藤岡雅樹(小学館)
初出 / E★エブリスタ2010年6月~2011年5月連載、書下ろし1本 -
題材は自衛隊の内部の組織の姿を描いていて、非常に興味深かった。しかし、これを小説として読むには、いささか違和感がある。綿密な取材が重ねられ、読ませる内容のお話しが語られている。特に、最後に付け加えられた「あの日の松島」は、東北の大震災を取り上げていて、自衛隊の救援活動の実際と、本来あるべき報道とは、という問題意識を明確に提示している。しかしながら、これを小説として読もうとすると、骨格というか構成があいまいで、ふにゃふにゃと捉えどころがなく、気持ち悪い。取材で拾ったたくさんの、そして非常に良質なネタを並べていった、そういう気がして、いわゆる小説を読んだ、という気がしない。ということを言いたかったのだが、内容は非常によいので、あまりけなさない方がいいか。ただ、作者の小説家としての力量がどのへんにあるのか、ちょっと批判的な印象を持ってしまった。例によって図書館で借りたのだが、別作品(三匹のおっさん)も借りているので、そちらを読むまでその評価は保留しよう。ちなみに同じ作者だと知らずに借りたんだけど。
本書の内容に話を戻すと、自衛隊という、普段、あまり知る機会がない世界を取り上げているのは大変貴重で読む価値はあった。登場人物たちのキャラや会話内容など、軽妙すぎるような気がしないでもない。誇張があるのだろうか?まあ、世の中のどんな職場でも、軽口や冗談が飛び交うものだし、どのあたりを描いたかの問題か。
この作品が伝えている重要なメッセージは、自衛隊の存在意義、それがいかに多くの人から偏向して捉えられているか、について、広報室という組織の活躍を描くことで、できるだけちゃんと伝えよう、というものだろう。兵器や武器は確かに人間を傷つけるための道具ではあるが、自衛隊は専守防衛、あくまで護身術のようなものだと捉えればよい、というメッセージは分かりやすいかも知れない。また、「あの日の松島」で触れられている、自衛隊の救助活動の際に存在する様々な制約。法律上、ここまでしかやってはいけないという線引きに対するジレンマも、もっと広く議論され、改善の検討がされていく必要があるだろう。松島基地の自衛官たちが、自分たちも被災者であるにも関わらず、民間人の救援に誠心誠意尽力した、という話は決して作者のセンチメントと捉えてはいけない、本当の真実なのだろうと思う。また、それに対する報道のされ方についても、登場人物リカの言葉を通して、きちんと問題提起されている。
まったく、この国のテレビ局のニュース報道の在り方については、ほんとうに低俗すぎて、普段からうんざりしきっているのだが、なんとかならんかと心から思う。正確な情報を中立的な立場で平易に知らしめる、という姿勢と大きくはずれて、単なる下世話な野次馬が集まってわーわー言ってるだけの放送ばかり。ビジュアル的にいかにも刺激的に見えるだけの映像に飛びつき、何度も何度も繰り返すだけ。目撃者や関係者のまったく内容のないインタビューなど、まさにただの野次馬目線でなんの価値も意味も伝わってこない。できるだけ観ないようにしているのだが、目にするたびに、少しはなんとかしようと思わないのだろうかと首をかしげてしまう。もはや完全に斜陽産業というか、そのうち存在自体がなくなっていくのではないだろうか。
いずれにしても、小説としてはあまり高く評価しないが、内容はとてもよかった。 -
4.0 ドラマを見た後なのですが楽しめました。
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とにかく面白い!
最初から最後まで一気に読めます。 -
不慮の事故で空井が広報室に配属され、最初は事故の喪失感を感じながら仕事をしていたが、TV局のリカと出会い、周りの広報室の隊員らと業務に取り組む内に、リカとの信頼関係が深まり、仕事にも誇りを持てるようになる。自衛隊広報の仕事において、パイロットの経験が役立つこと、出世に興味ないが、広報のベテラン比嘉の存在が要で、責任ある大事な存在だと感じる。同様に、世間の自衛隊に対するイメージは想像よりも低いものだというのは驚き。あの日の松島の話は平時と有事の自衛隊の覚悟と支えられている存在であること、感動に包まれた話。
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自衛隊三部作を読んだ時も思ったけど、自衛隊のことが本当によく分かる。
三部作よりも、職業として自衛官を選んだ人達の思いや気持ちにたくさんハッとさせられた。
自衛隊に対するイメージや知識は一番最初のリカと変わらないくらいだったので、新たに知ったことも多く、私の中のイメージを変えてくれた。
そういう意味でも読んで良かった1冊。
自衛隊の話を重くさせず、胸キュンも交えながらしっかり心に叩き込んでくれる有川サンの小説が好きです。
陸自や海自のことももっと知りたいな。