美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 253
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022805

感想・レビュー・書評

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  • f.2020/11/30
    p.2012/12/20

  • いつぞやの会田誠展に行って買ったエッセイ。なんと全ページに本人の落書き付き。
    この人の作品は独特の世界観ってありそうででも思い付きをそのまま表現した、みたいなところが好きだったけど、このエッセイ集もまさにそんな感じ。気楽に覗ける舞台裏。

  • 「カリコリせんとや生まれけむ」の続巻、エッセイ集。読みやすい文章の上、なぜか親しみがわき、一気に読めた。
    あらためて作品を見たくなった。あと、「ミュータント花子」はやっぱり大傑作だ。

  • 現代美術家の筆者が台湾で馬鹿でかい赤提灯を作るためのプロポーザルが「ただ、なんとなく、赤提灯を作りたくなっただけなんです・・・」に出てくるが、現代美術の何たるかがよく表現されている.どんな商売も巧みな語学力、彼の場合は日本語能力が必要なんだと感じた.

  • 只今、六本木の森美術館で大規模個展を開催中の会田誠氏のエッセイです。今回の個展にも展示されている作品の制作裏話から、意外にも庶民的である著者の生活の一面まで書かれています。戦争モノと美少女モノの作品が印象的な著者ですが、実際の姿はそんな変態的な作品とは異なり、かなり謙虚でナチュラルな人物であるという印象です。村上隆氏もよく言うように、世界で活躍するような現代美術家にとっては、その辺の常識をしっかり押さえておくのは美術家以前に人間として当然のことなのかもしれませんが。現代美術というと奇抜で意味不明なものを作る人々と思う方も多いかと思いますが、実際の現場は非常に建設的でビジネス面の才覚がなければ成功しないジャンルなんだということが分かります。エッセイから抜粋されたタイトルが著者そのものを表していますね。なかなか面白いエッセイでした。

  • はじめて会田誠を読む。美術のことがわからなくても、砕けた表現で書いてくれているからわかりやすい。
    芸術家ってこんな生き方でこんなこと考えてるんだなというのを初めて知ったので、興味深い。洞察力というか物事を自分のフィルターでなぜ?と考えて行く力が強い。
    エッセイとしてもおもしろい。
    好きになった。2013.1

  •  この人面白いんだよねー。周りにいたら大変そうだけど。

     とくにね、「芸術を大切にしない日本」の件はすごく共感。
     まぁ勝手な解釈が入るけどさ、今ある作品、作家の多くが時代の淘汰を受けることになる。でもそうでないものもある。その淘汰されなかったものが、次の時代をつなぐものとなる。そこを大切にできるかっていう態度が、未来を切り開くか否かに関わるんじゃないかと。

     今、目先の利益ばかりにとらわれている日本。(いや、「今」に限ったことなのかどうかはわからんが、今に関して顕著に思われる。)もっと現状を受け入れ、それ相応の対策を考えて、より多くが住みよい社会を作りましょうよ。そこに関して…できれば「アート」の入り込む余地を作りましょうよって思う。

     もしかしたら、「アート」って、昔で言うところの妖怪とか、幽霊とか、「見えないもの」「この世ならざるもの」的存在として、今の世の中に入り込んでいく余地あるんじゃないかって勝手に期待。っていうか、その方法なら解決策が思い浮かびそうだ。


     閑話休題。此処から先は本の感想に関係ないので読まないほうがこころの健康に良い。


     ここ最近読む本って、自分のいる袋小路(大したもんじゃないんだけどさ。)に、「おい、こっちに抜け道あるぜ。」みたいに石ころ投げつけてくれる(ことを期待している)本な気がします。いや、読んでるからますます袋小路に入り込んでるんじゃないかっていう思いもありますが。


     わたしがこの本を読む前に読んだ本の感想で、
     自分の空っぽさ加減に嫌気が差してしまった思いをとめどなく書いてみた。

     ただ、その中で帰結した自分のこれからしなくちゃならんことに関して、「はたしてあんた、そこに行き着いたことは妥当な判断なわけ?」とまた疑う自分が現れている。


     
     わたしは、私の中にいる幾人もの「私」をまとめあげることが出来ずにいる…と言うと十分じゃないな。「こういうことだろうか。」『いやいや、あんたの思うそれはほんとに正しいのか。』と、自分の出した答えに対する懐疑を、幾重にも重ねている感じがする。何が自分にとって正しいのか、がわからなくなっているのか。

     「誰にも負けない技量がほしい。」と思ったのは、
     例えばこの本と一緒に、ムサビが出版してる「美術教育論」的なものを本屋で買おうとしている自分がいたのだけど、

     パラパラと「こんな風に子どもに教えて、子どものこういうところを育てていくことが望ましい」ような感じの内容を見ていた自分は、

     「教える『技術』なんて、ただのハッタリじゃねーか。」

     と思ってしまった。まぁ賛否両論ございましょうが。
     なんだろうなぁ、ハッタリかましたところで内実すっからかんなのがバレないように、その中身を埋めたいと願う気持ちなんだろうか。ハッタリOKじゃないの!と泰然としていられるだけの度量が私にはない。泰然としていられるだけの図太さを身につけるだけで空虚さを埋めてくれない、惰性に陥りたくない感じ。

     生徒は、先生を超えて欲しい存在であるけれど、簡単に超えて欲しくはない、と思う。世の中を舐めきった人間には育ってほしくない。先生は、親とは違う。 「先を生きる人」なのだ。

     だから、「教える技術のみを磨きあげたところで、自分の空虚さを見せないようにする術を身につけただけ。」な気がしてしまう。

     それでも何か自分にできることはないだろうかと、自分の技術や知識を磨きつつ、今まで頑張ってきてみたけれど、


     どうも今、行き詰まりを感じているのな。


     自分の偽者さ加減を、とても思い知らされるこの感じ。

     何が偽物で、何が本物なのかなんて、一体どこを基準にしてそんな事言ってんだって話なんだけど、


     私はいたずらに、ものごとの上辺ばかりを救い上げて生きている気がしてならない。一体何なのだろう、この深みのない感じ。深まらない感じ。それが知性への貪欲さの限界なんだろうか。薄っぺらい!わたしは本っ当に薄っぺらい!わたしは、いろんなことを考えているようで、心のそこから俗っぽいミーハーな人間なのだと思う。
     ※薄っぺらさは、およそ自分が空っぽだという自覚、空っぽ故に、現在置かれた状況に対処する能力(先生って視点から自分を深めようとしてる感じ?)しかないということ故のものかと思う。多分深められる人は、そういうもんじゃないと思う。





     私は何かに、一生懸命になったことなんて、未だかつてあったのだろうか。

     一体何なのであろう、この劣等感に似た、自分の足りない感じ。しかもそれは、一生埋まることがないであろうとなんとなく分かる感じ。

     わたしは、自分の生き方に失敗したためにそんなことを思うのであろうか。
     それは「こうあるべきだった私」に夢を見て、その自分が「そうなっていない自分」を蔑んでいるのであろうか。

     「ここは現実だ!」って、私の中の「私」がうったえても「その他の私」は振り向いてもくれない。みんな自分の自説が正しいのだ。「私」なのに!(…という客観的視座にいるのもまた「私」。私の無限増殖)

     
     「まぁまぁ、そんなないものねだりをしてないでさ、しかもこんなレビューの場で。ないものはしょうがないじゃない。君、薄っぺらいのよ。どんなにあがいても。そこ、まず受け入れなさいよ。で、それでもあなたに残ってるものって、何よ?そこ大切にしなさいよ。」

     と、今一番増殖の果てにいる「私」がこう呟く。よくもまぁここまで自作自演を繰り返してきたもんだ。私に残ってるもの?この不必要なまでにねちねちと繰り返す自分劇場を繰り広げることじゃない?ステージの幕が上がったら、ステージ上には自分がいるのさ。君は自分そっくりの人形片手に延々とつぶやきを続ける。どっちが本来の話手なのか、わからなくなるくらいにね。結局自分には、自分の体と体を動かすだけの小さな動機しか残っていないのだ。だからまずは君、その体の置かれた状況を見て、自分にできることをステージで探したまえよ。


     …とかなんとか言っちゃってる自分が「ホントは分かってるんですよ」感丸出しの田舎臭い女の戯言みたいでほんとやだ、って言ってる自分がやだw!


     とまぁよくわかんなくなったところでストップしておきます。
     と、この本読んで、なおさら強く思わされました。

著者プロフィール

会田誠(あいだ まこと)
1965年、新潟県生まれの現代美術家。東京芸術大学油画専攻卒業、東京芸術大学大学院美術研究科修了。美術史への深い造詣をもとに、生と死、エログロ、ロリコン、戦争、暴力など、社会通念や道徳に関わる現代的テーマに取り組み、問題提起的な作品を次々と発表している。展示や発言に関するトラブルもあるが、海外でも評価を受ける機会は増えており、日本を代表する現代芸術家の一人とされる。
著作・写真集も多い。代表作に『青春と変態』、『孤独な惑星』、『MONUMENT FOR NOTHING』など。

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