三途の川で落しもの

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 392
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344024144

作品紹介・あらすじ

橋から落ち、意識を失った小学生の叶人。気がつくと、そこは三途の川。江戸時代の人物と思しき2人の男とともに、三途の"渡し守"を命じられる。ミッションは、死者の未練を叶えてあげること-。

感想・レビュー・書評

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  • ある事情で青い橋の上から落ちた、小学六年生の主人公・叶人。三途の川まで来たものの、何故か彼岸に渡れない。その理由を探るべく、十蔵、 虎之助という江戸時代人とおぼしき二人とともに、川を渡れない死者の未練を叶えて行く、という話。『叶人の彼方』から『エピローグ』までが、いちばん面白くウルウルしてしまった。前半部はなかなか話に入り込めず、「??」という感じだった。

  • 軽く読み始めたけどなかなか面白かった。
    生死の境を彷徨う少年が、三途の川で渡し守の手伝いをすることで、生きる意味や強さを見つけ出す話。
    同じ「人殺し」でも、時代や状況によってその重さは変わってくる。けれども、それによって魂が傷つくことには変わりない。その傷ついた魂を救うために地獄があるというのが面白いなと思った。
    最後、いじめっ子との決着の付け方がとても良かった。

  • ありがちな話になりそうなのに、西條さんが書くと面白い!
    ラーメン食べたくなりました。

  • 橋から落ちて意識不明の小学生・叶人は、
    ふらふらと三途の川まで来てしまった。
    なぜか現世に執着を持たないように見える彼なのだが、その訳は?
    そして、江戸末期に輪廻から外れた侍・十蔵と荒くれ者の寅之助という渡し守コンビの上役(#^.^#)という立場で彼らと行動を共にすることに。

    現世に未練を残す死者たちがちゃんと彼岸に行けるように、と、
    心残りを解消させるためにこの世とあの世を行ったり着たりを繰り返す三人。
    正直、死者の心残りのエピソードにあまり深みが感じられず、その解決法もお手軽な感じはあったけれど、江戸の人間がそのままタイムスリップしたような十蔵と寅之助のてんやわんやが面白く、また二人の背負っているもの、(輪廻から外れるということはよっぽどのことらしい)それぞれの性格の違いにも惹かれるところが大きかった。
    また、小学生の叶人が上司ということで、その生意気ぶりが可笑しい。

    で、これは誰でも予想することだろうから書いちゃってもいいと思うんだけど、叶人は現世に戻るわけで、その際、橋から落ちた顛末が明かされ、また、それに絡む、うんうん、そこだよ!という気持ちのいい場面もあったりして、そこが一番好きだったかも。(#^.^#)

    十蔵の江戸言葉、カッコいいです。(#^.^#)
    映画にしても面白いかもね。

  • 最後の方にかけてだんだん面白く。ベタだけど言い間違いとかクスっとさせてしまう。

  • 【収録作品】プロローグ/ダ・ツ・エヴァのススメ/因果十蔵/悪虎千里を走る/叶人の彼方/エピローグ

  • だんだん三途の川を意識する年代になってくるとこんな風な物語にしてもらえると色々と考えさせられる。

  • 生きているとも死んでいるともつかない男児の冒険物語。生死の境目、どうなるか分からないドキドキ感。

    死ぬことを考えることは生きることを考えることと言っていた病院の先生を思い出した。

    フィクションなんだけれど、確かにそうかもしれない生死のルールがある。
    時間のある空間で生きるのは幸せ。日々どうにでもなる悩み事にかまけて、生きることに感謝し忘れているなぁと実感した。

  • 橋から落ち、意識を失った小学生の叶人。気がつくと、そこは三途の川。江戸時代の人物と思しき2人の男とともに、三途の“渡し守”を命じられる。ミッションは、死者の未練を叶えてあげること―。

  • ファンタジーだけに状況を把握するのに戸惑いがありつつも面白く読了。
    終わり方がとんでもなく好きだ。

  • 仮死状態の小学生志田叶人が、三途の川の渡し場に迷い込み、閻魔さまの部下?の奪衣婆(だつえば、叶人のイメージではダツ・エ・ヴァ)、懸衣爺(けんえおう、叶人のイメージでは県営王)に出会い、三図の川の渡し守の二人、十蔵と虎之助とともに、この世への未練を抱える死者が落とした地蔵玉を回収する、という役目を仰せつかり、現世でそれを探すとともに、死者の未練を掬いあげる、という短編集。色んな未練を通して、それぞれの人生を考えさせ、最後にほろり、の要素も含めて、まぁまぁ楽しめた。

  • 奪衣婆がゴージャス美人だったり、懸衣翁がチビ、ハゲなオジサンだったり。子供が言葉から受けるイメージって面白い、と思った。
    主人公3人が3人とも悲しい過去を背負っていたけど、なんとか憂いが晴れてよかった。最後の3人でラーメンを食べるシーンがお気に入り。

  • あの世に行くまでの不確定な空間での思考や行動が軽いタッチで描かれていて面白い。誰も本当の事は知らないけれど、常識程度には知っている話をここまで上手に味つけしてあり良かった。
    魂にどれだけ傷が付いたかで地獄行きが決まる、魂についた傷を癒す為に地獄はある、その時代に魂が合うかどうか、そこが問題

  • 最後に叶人の気持ちがはっきりしてホッとした。
    三途の川の渡しの手伝いを命じられたから、人の思いが感じられるようになったのか。

  • 死んだ?小学生が三途の川で渡し守の手伝いをすることになり。訳ありそうな二人と地蔵玉(未練?)を探しに現世へ。その時は大事と思うことでも、後になってみれば大したことでもないんだよね…生きてると大変なことばかりだけど、生きてるといいよね。変な感想になりましたが、内容はわりと重いことも軽く書かれていて読みやすく、ラストはえっ、となったけども嬉しく。続編はあってもなくても。☆☆☆

  • 半死の状態で三途の川にたどり着いた小学生・叶人と
    三途の川で渡し舟を操る江戸の侍コンビが
    彼岸に渡る死者の未練を探る。

    若干説教臭い気もしたが
    中学生あたりの課題図書にお薦めしたい良作。
    映像を眺めているような気分で読めた。

    【図書館・初読・4/11読了】

  • 「やっぱりこの人の本はイイ」と夏目父。

  • +++
    死者の未練はミステリー。三途の川で出会った生意気な小学6年生と江戸の侍2人。でこぼこトリオは死者の未練解決に奔走する。

    小学6年生の叶人(かなと)は、学校の近くの大きな青い橋から落ちて、三途の川へ辿り着いた。そこでは輪廻転生からはずれた江戸時代の武士とあらくれ者が、死者を現世から黄泉の国へと送りだす渡し守をしていた。神話では、この三途の川の渡し守を"カローン"と呼ぶ。親殺しという呪われた因果から逃れられず、優しいまなざしの中にいつも悲しみをたたえる十蔵。殺人鬼と恐れられ、動物的勘にすぐれるあらくれ者・虎之助。死者を無事黄泉の国へと渡すには、現代世界へ降り立ちその者が強烈に残した未練の元を解決しなければならない。「事故か、自殺か、他殺か」死因がわからず現実世界へも黄泉の国へも行けない叶人は、いがみ合う2人の江戸者を手伝うカローン隊の一員となる。
    +++

    輪廻の輪から外れた江戸者の二人・十蔵と虎之助と、生死の境をさまよっている小学生・叶人が、ダ・ツ・エヴァ(奪衣婆)と県営王(懸衣爺)の計らいによって、三途の川の渡し守になり死者を彼岸に渡すことになる。現世に心を残した死者の魂(地蔵玉)は、ふとしたきっかけで三途の川から現世に落ちてしまい、三人は別人の躰を借りてそれを探しに行き、地蔵玉の持ち主の心残りを解決すべく奔走するのである。筋としては、ときどき見かけるものではあるが、舞台設定と三人のキャラクタの取り合わせとが意表をついていて、なかなか面白い。三途の川にやってくる人たちを見ているうちに、叶人の投げやりだった心持ちにも次第に変化が現れ、自身の気持ちとしっかりと向き合うことができるようになっていく様子がとてもいい。それぞれが抱えている心の闇はとても深く、気持ちが沈むが、それを上回る大きなものに守られているような心地になる一冊である。

  • よくある設定というか、どこかで読んだことあるような話で最初はなかなか入り込めなかった。ただただ叶人が三途の川に来ることになった理由が気になって読み進めた。でも、最後まで読んでよかった〜(^^)軽い感じで楽しく読ませてくれますが、それだけでないあたたかな本です。

  • はじめての作家さんの本。

    小学生の叶人は、三途の川へ行きつき、ダ・ツ・エヴァや県営王のもとで、仕事を手伝うことになる。

    はじめは恐かった十蔵、虎之助とも心が通い、自分の過去を振り返ることができるようになり、最後はえ?そうなるの?って感じですが、読後感も良かったです。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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