完璧な母親 (単行本)

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344024731

作品紹介・あらすじ

兄が死んで、私が生まれた。一歳の誕生日。ケーキには八本のろうそくが灯されていた。幼くして死んだ兄の代わりに産み直された妹は、母の絶大なる愛情を注がれ空洞として生き続けている。やがて兄の死の秘密を知るもうひとつの家族の告白が波琉子を揺さぶる-「お母さんはいいお母さん?」

感想・レビュー・書評

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  • この小説は、まさきとしかさんの初期の頃のミステリーだと思うが、母親の子に対する凄まじいほどの狂気に近い歪んだ愛を知らされた気がした。

    兄が死んだあとに生まれた自分が、母からはどのように見えるのか。
    自分じゃなくいつまでも兄を見ている。
    自分の中に兄がいると思って見ている。
    愛情は、亡くなっている兄しかないのか。
    いったい自分の存在とは…。

    第一章では完璧に子育てをする母親しか書かれてないのだが、兄の代わりのようなこの妹の存在が気になってしかたなかった。
    第ニ章では、母親から嫌われる息子で、どうして姉とは違ってこんなにも弟は嫌われるのか…
    そして、その弟が成長したあとが、第ニ章から始まり第三章へと繋がっていくのだが、最後にこういう結末がくるとは想像していなかった。
    どのようなかたちの親子であっても歪な愛情は、子どもに悪影響を与えるのだと。
    難しい、完璧な母親だと思っていても子どもにとっては、どうなのか。

  • 息子を亡くした母親が、次に産まれた娘に息子を重ね育てる。成人し、その男児の生まれ変わりと称する人の存在を知る。

  • 苦しいだろうな。。歪みすぎてた。

  • 事故で息子を失った母が、息子を「産み直し」て誕生した娘。
    狂気の誕生日、歪んだ幸せ、偽物の幸せな家庭から逃げ出した父。
    隣に越してきたDV夫から逃げてきた母子との交流を通じ、母親は娘を産み直した兄ではなくひとりの人間として認めるようになる。

    しかし生まれた時から7年間、兄の生まれ変わりとして育てられた娘には、ひとりの人間として認められること=兄の生まれ変わりとして認められなかった存在価値のない人間なのだと認識してしまう。

    ある日、大人になった娘の前に幼い頃から母からひどい虐待を受けていたひとりの青年が現れてこう告げる…
    「僕の姉が、あなたの兄の生まれ変わりだと言うんです。溺れた時の記憶があると。」

    お互いに絡まることのなかった家族が出会い、お互いのルーツをたどり…そして兄が死んだ日の真相が紐解かれる…

    読後感も良く、おもしろかったです。

  • 前半は面白かったが、後半はちょっと煩雑な印象。こういう物語だったのかーという感じ。前半のほうが好きです。

  • 子どもをちゃんと育てることに必死になり過ぎて盲目になっている母親の物語は、どうしても、怖いとか気持ち悪いとかいう言葉で括れない。

  • こわかった
    子育てこわい
    母親ってすごいよね
    今更思う、夢中で通り過ぎてしまうけど
    ≪ 母として 愛と狂気を 抱えつつ ≫

  • 何とも言えない読後感。苦しいような、そうでないような。親の気持ちもわかるけど、娘たちの気持ちはもっとわかる。親はだんだん癒されていくけど、子どもたちはだんだん苦しさが増していく。子育てってホント難しい。
    次回作、サスペンスとか抜きにして、母と娘のドロドロ希望(笑)

  • やっと授かった一人息子が亡くなり、母親はさらに子供を産むことを決意する。息子の代わりでしかない娘。父親は「息子」と「娘」を別個の人間として接してくれるが、始終一緒にいる母親の影響は大きい。娘の心も壊れていく。最初はドキドキしながら読んだ。母親の壊れた精神が怖かった。後半はちょっと失速したかな。

  • 出だしはとても好きでワクワクしましたが、後半様々な人たちが絡みだしてから、読みにくくなりました。
    何がいいたかったのだろう、、と思いました、

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。
著書に『熊金家のひとり娘』『完璧な母親』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ある女の証明』『祝福の子供』『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』などがあり、近刊に『レッドクローバー』がある。

「2022年 『屑の結晶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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