- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344024779
作品紹介・あらすじ
人生や恋愛に悩みを抱える女性6人の満たされない欲望と葛藤をむき出しに描いた体と心がアツくなる恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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1枚の千円札で繋がった6人の女の物語。
それぞれがもがき苦しんでいる。
好感の持てる主人公がいないけれど、とても興味をそそられる女たちばかり。
誰でも、何処のボタンをかけ違ったは、そんな風になってしまうかもという絶妙なストーリーでした。
表題作が好みでした。
通帳のメッセージ、届いているといいな。
そして、みんな、きっと前進している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短編ながら、つながっている感じが、たまらない。世の中はそんなつながりで動いているのかも。人の弱さと醜さを上手に作品にしてくれる女性作家の1人。好み。
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この人の小説を読むのは、3年前のデビュー短篇集『自縄自縛の私』以来2冊目である。なので『自縄自縛の私』と比較するしかないのだが、3年の間に目覚ましい進歩を遂げていてビックリ。小説家として一皮むけたという印象だ。
『自縄自縛の私』は、映画化された表題作は傑作だったものの、ほかの4編は習作の域を出ていなかった。
対照的に、全6編(+エピローグ)の連作短編集である本書は、6編とも水準以上の出来。とくに、後半3編は掛け値なしの傑作だ。
アブノーマルな性の世界を扱うなど、キワモノ的な面もあったデビュー短篇集に比べ、本書はわりとフツーの恋愛小説集になっている。性描写はあるもののそれがメインではなく、性描写にも文学的香気があるのだ。
フツーといっても、この著者のことだから甘ったるい恋愛小説にするはずもなく、6編ともビターでひねりの効いた“異形の恋愛小説”になっている。
たとえば「不肖の娘」は、東電OL殺人事件の被害女性を彷彿とさせる、デスペレートな売春行為をくり返すOLがヒロインだ。また表題作は、普通なら恋愛小説の主人公にはならない、見る者をぎょっとさせるような醜女がヒロインである。
にもかかわらず、2作とも恋愛小説としか呼びようのない作品に仕上がっている。とくに、表題作の哀切なラストシーンは素晴らしい。
赤インクで汚れた1枚の千円札が6人の女性たちを結ぶ“バトン”となるという趣向も見事に決まっているし、短篇集としてのトータルな完成度が高い。 -
読み終わって 改めて 表紙を見て なるほど 「愛を振り込む」ね…1枚の 千円札が 次々と 女性に 渡っていく…物悲しくて 滑稽な 短編集。
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「フィッターXの異常な愛情」が秀作だったので読んでみたのですが、想定しているターゲット読者が女性であろう事を鑑みても今ひとつ嗜好が合いませんでした。ただ、千円札の仕掛けはお見事。
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同年代の人が書いた感じがする…と思ったらやはり。2歳違いだった。
女性像がまさにありのまま。それだけに身につまされてつらいとこもあるけど、全体的には連作短編形式もよかったし、面白かった。 -
気になる作家蛭田亜紗子。拇印のついたある一枚の1000円札が女から女へとわたっていく。今後も読み続けたい気になる作家のひとりである。
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カフェ女とつけ麺男はインパクトあったなあw
連作というよりは一枚の千円札が人から人へ渡っていくという繋がりで構成されている一冊で読みやすいし、エロ描写もやっぱりいいし、巧いなと思った。
正常そうでどこかいびつでなんか人間味があってそれぞれの登場人物にあって、ああいるなあって思える。 -
男女が入り乱れる凄まじい6つの連作短編。とあるものがきっかけになり、いろいろ振り回されてしまうという感じ。愛・お金・暴力・快楽などをふんだんに盛り込み、波乱万丈に仕上げている。頭がクラクラするようなくらい黒い部分もあり、楽しめた。
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不倫の清算でつかった拇印の朱がついた千円札。そのお金の持ち主となる女性を描いた連作集。
設定こそ面白いものの、女性たちがみんなどこか薄暗い。いずれも最後は少しなりとも前進しているような爽やか風味なんだけど、よく考えたら状況が好転しているわけでもないので、もしかして開き直り?!と感じたり。
会ったこともない人のブログが更新されるたびに千円を振り込む表題作は、なんだか清らかで良かったけど。
なんか作者が他の人と言われても違和感なく受け入れてしまえそう。蛭田さんの個性をもっと知りたいので、他も読んでみよう。