アイネクライネナハトムジーク

著者 :
  • 幻冬舎
3.89
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感想 : 935
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026292

感想・レビュー・書評

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  • 伊坂幸太郎さんいえば、殺し屋やギャングなど悪い奴らが出てくるお話しが中心ですがこの作品はどうなるのかなぁとドキドキせずに安心して(笑?)読めました!あとがきにも同じことが書いてありました。
    逆を言えば違うドキドキもありました(^^)♡ いろんな場面で出てくる人物がここで出てくるのか!という楽しみもあってすごく良い一冊でした。

  • 著者の作品は、いくつか読んでいます。この作品は今まで読んだ著者の作品と趣が違います。奇抜な設定などなく。読みやすい恋愛作品と言ってもいいのかなあ。でも、いつもの通り絶妙な伏線が張られていて、ふんふん、なるほどと思いながら読み進めることができました。さすがだなあと感心しきりです。ご本人は恋愛作品は、余りお好きではないのかなあと推察しますが、また書いていただけたらなあと思いました。

  • つい最近、斉藤さんとのコラボについて知ったばかりで、読みたい~!と思っていたので単行本化はとても嬉しかったです!
    伊坂さんの恋愛の話はどこかかわいらしくてくすぐったいですね。

    「アイネクライネ」
    「ライトヘビー」
    「ドクメンタ」
    「ルックスライク」
    「メイクアップ」
    「ナハトムジーク」

    どれもおもしろかったし、あるボクサーの試合を軸に、時系列をずらしながら、少しずつ繋っていく感じ、とてもよかったです。
    ウインストン小野の試合、ラウンドボーイの行動に胸が熱くなりました。
    そして最後の司会者がまさかの…!

    「アイネクライネ」を読んで、斉藤さんは本当に素敵な人だと思いました。しっかり作品を読まれてあの曲を作られたんだなぁとわかる言葉選びでした…!

    織田の「自分が好きになったのが、この女の子で良かった」のくだり、けっこういいこと言ってるよなぁと思います(笑)

    「ライトヘビー」「ドクメンタ」が特に好きです

    やさしいキャラクターが多くて安心して読めました。
    人と人との繋がりに、日常の小さなサプライズに、人生何が転機になるかわからないというおかしみに、読後は心があたたかくなりました。
    なんだかちょっとした勇気をもらえた気分です。

    斉藤さん一回100円やってほしいなぁ。

  • 伊坂さんらしい軽妙さが光る連作短編集。
    伊坂さんのもう一つの特徴である犯罪などのダークなものはほとんど登場しない~安全な?作品です。

    「アイネクライネ」
    データがふっとんだミスの後始末に、罰ゲームのような街頭アンケートをする青年。
    仕事を探している女性に出会い、何気ない会話が生まれる。
    日常的なシーンの親しみやすさ、大体はぱっとしなくて情けないけど、ちょっとだけ一生懸命な部分もあったり。

    「ライトヘビー」
    美容師の美奈子は客といつしか友達になり、弟と付き合うよう薦められる。電話で喋るようになったが‥?
    ボクシングの試合を見ていると‥
    大人のおとぎ話のような楽しさ。

    「ドクメンタ」
    妻に出て行かれた藤間。
    自動車運転免許の更新のために出かけた場所で、ふと話した相手。
    通帳の記帳でしか繋がっていない元妻に思いを伝える方法とは。
    5年後にもまた会うことになるか‥?

    「ルックスライク」
    学校の先生・深堀朱美。
    生徒の一人は、織田一真の娘の美緒。
    登場人物がちょっとこんがらかってきますが~え、これって‥という驚きが面白いところ。

    「メイクアップ」
    昔いじめられた相手と職場で再会した女子。
    相手は覚えているのか、性格は変わったのか? 復讐する機会はあるのか‥さて?

    「ナハトムジーク」
    ちょっとした不思議な縁が繋がっていきます。
    日常に起きてもおかしくないような小さな奇跡。

    100円でそのときに一番合うフレーズを流してくれる斎藤さんという人物が所々に出てきます。
    斉藤和義に作詞を頼まれ、小説なら書けると書いたのが始まりだったそう。
    曲を聴きながら読むとまたいいのかな。

    絡まれたときに「この方が誰の娘か知っているんですか?」と言ってはったりをかます織田一真のやり方が受け継がれていったり。
    どうということのない男なのに美人と結婚した幸運な男・織田は、口が達者で、時にはそれなりの存在価値を発揮する。このゆるさがいかにも、ですね~。

    笑える日常のささやかな出来事の奥底には、ごく普通のまともさが流れている気がします。
    余裕のある洒脱な雰囲気がよかったです☆

  • 元々、短編として描かれた作品『アイネクライネ』から派生した数々の短編を連作にした作品。
    あとがきにも書いているように、作者にとっては珍しく強盗や泥棒、殺し屋が出てこない作品で、なおかつちょっとした恋愛要素も入った作品たち。
    全ての短編がきちんと独立した面白さで、最後の一話で全てをつなげる感じが期待通りで楽しめました。
    出てくる登場人物も変わっているようで身の回りにいそうな人たち。
    普通にありそうな世界観が読んでいてとても心地いい作品でした。
    誰にでもオススメできる作品です。

  • 結局、3回読んでしまった~!
    まず、1回目。
    登場人物のリンクと時系列が、頭の中で整理できなくて、混乱。
    相関図と年表をせっせと書きながら2回目。(この作業が意外に楽しかった)
    3回目で、やっと大満足。
    伊坂さんの、誰も死なない物語。存分に楽しませてもらいました♪
    実は、この直前に伊坂さんの本で、途中で断念してしまったものがあって…。
    だから、よけいに嬉しいです。

    登場人物が、皆どこかとぼけていて楽しい。
    特に課長がいい味です。
    「藤間、離婚したのか。どうやって」(笑)
    夫婦の関係を”外交”とか、ミッキーのお手ふりの教訓とか~

    あと印象的なセリフがいっぱい!
    「こちらの方が、どなたの娘さんかご存知で?」
    「斎藤さん一回百円」
    「あの変な旦那も、今となっては、スイカにつける塩みたいに思えるようになったよ」
    ラウンドボーイの「大丈夫」も良かったし、書きだしたらキリがないです。

    人生ほんとに、どこでどう転がるかわからない。
    一人一人は気づかなくても、どこかで繋がっていて、
    きっと誰かの力になっている。

    ただね、ひとつだけ気になることがあります。
    いじめっ子の女子の恋とプレゼンの結果。
    ご想像におまかせします。ってとこでしょうか。

  • さわやかに、楽しめました。
    まだまだ伊坂ファンと公言するには、
    読んだ作品が少なすぎるのですが…。

    私の読んだ今までの作品は、さらりと書かれているのに、
    背景がかなり重たいものが多く、
    少し笑っても、救われない気持ちもありフクザツだなぁって
    感じがしていたんです。

    こんなにさわやかに楽しめる作品もあるんですね。

    サプライズ職人の伊坂さん。
    この物語も楽しませてもらいましたが、
    私がもっと好きなのは、伊坂作品でちょいちょい出てくる
    気の利いたユーモアたっぷりの会話。

    こんな返しが出来るようになりたいんですよね~私も。
    変な人に絡まれている時に、このアイデア。もう最高です。

    そして、『斉藤さん 1回百円』。
    見つけたら2週間連続で通ってみたいと思う一冊です。

    これって、音楽ではなく、本でもいいですよね。
    『幸太郎さん 1回百円』
    その人の今の心境に合うフレーズを
    選んで朗読してもらう。

    伊坂さんって、心に残るフレーズ多いんですよね。
    きっと行列できる人気ぶりと思うんですけど。

    あ、これも法律に触れるのか…。

    なんだかいい気分で、鼻歌が出てくるような本でした。
    読後のプチハッピー、このまま続くといいなぁ。

    • なにぬねのんさん
      円軌道の外さん、コメント返信ありがとうございます!

      伊坂さんのおススメ情報、嬉しかったです。
      『ラッシュライフ』『アヒルと鴨のコイン...
      円軌道の外さん、コメント返信ありがとうございます!

      伊坂さんのおススメ情報、嬉しかったです。
      『ラッシュライフ』『アヒルと鴨のコインロッカー』は忘れないうちに本棚に登録しました。
      教えていただき、感謝感謝です。

      私の好きな作家さんは、石田千さんです。
      『きなりの雲』を読んで、なんて綺麗な表現の文章なんだろうと一目ぼれして、追いかけて少しずつ読んでます。

      それと今一番気になっている作家さんは
      彩瀬まるさんですね。
      『骨を彩る』の文章が、私にはストライクで
      この方は洞察力がすごいと、これも一目ぼれで…。これからどんどん読みたいと思ってます。

      角田光代さんや原田マハさんも大好きで
      よく読んでます。

      これは文句無しに面白かった!っていう作品は…。色々考えてみましたが小説ではありすぎて絞りきれませんでした。

      少し違った意味で、『カラスの教科書』(松原始著)はとっても面白かったです。

      ゴミ置き場を荒らす大きな怖い生き物と嫌ってましたが、今や近くにいるとガン見してます。

      著者のカラス愛が本から溢れていて、
      こちらまでカラスがちょっと好きかも…となってしまいますよ。

      愛が溢れてるって、それだけで良書ですよね。
      2015/06/08
    • 円軌道の外さん

      なにぬねのんさん、こんばんは!
      お気に入りポチありがとうございました。
      あと、返事めちゃくちゃ詳しく書いてくれて
      感謝感激です!(...

      なにぬねのんさん、こんばんは!
      お気に入りポチありがとうございました。
      あと、返事めちゃくちゃ詳しく書いてくれて
      感謝感激です!(^^)

      おおーっ!石田千さん、僕も好きです!
      小説はまだ読んだことないんですが、情景描写が巧みでリズミカルな文体の彼女の書くエッセイが好きなんです。
      あと食いしん坊体質なので(笑)
      食べ物が沢山出てくるところもツボです(笑)

      なにぬねのんさんの言う
      綺麗な表現の文章もスゴく分かります。
      なんか普通に読んでて
      うっとりしてしまいますよね。

      彩瀬まるさんも僕はまだ未知の作家なんですが、
      ブクログユーザーさんのレビューでもちょこちょこ出てくるので
      実はずっと気になってたのです(笑)
      しかし、洞察力がスゴいとは
      めちゃくちゃ気になる表現ですね(笑)
      その一言で俄然僕の「読みたいリスト」の
      赤マル急上昇株にランクアップしましたよ~(笑)

      あと、「 愛が溢れてるって、それだけで良書ですよね 」は
      僕の心の泉の「使える名言集」にすかさずメモさせてもらいました!(笑)
      石田さんもすごい感性だけど
      なにぬねのんさんの言葉のチョイスと文章表現も素晴らしい感性ですね。

      カラスは百年くらい生きるのもいるって
      柴崎友香さんの小説に書いてあったけど、あれってホンマなんですかね?(笑)
      僕は毎朝近所の公園までランニングに行って
      野良猫軍団や子猫たちに餌を持っていってるんですが、
      一瞬の隙を見て
      カラスが子猫をさらっていってしまうんです( >_<)
      (餌やなくて、子猫自体を連れていくのです)
      だからよく親猫がカラスに飛びかかってるのを見ました。

      それと昔カラスが人間を襲う映画を観て以来、
      僕にとっても恐怖の対象になってます((((((゜ロ゜;

      あっ、『カラスの教科書』と
      石田さんの『きなりの雲』と
      彩瀬まるさんの『骨を彩る』は
      読みたいリストにメモさせてもらいました!
      本当にありがとうございました!

      まったくの余談ですが(笑)
      来週の『アメトーク』は読書芸人特集なので、
      本好きなら多分楽しめると思いますよ~(笑)(^^)
      (僕は張り切って、いまから録画予約してます!)

      ではでは~



      2015/06/12
    • なにぬねのんさん
      円軌道の外さん、こんばんは~。

      アメトークの情報、有難うございましたっ。
      面白かった~。さっき録画したものを見ました。

      早速『...
      円軌道の外さん、こんばんは~。

      アメトークの情報、有難うございましたっ。
      面白かった~。さっき録画したものを見ました。

      早速『教団X』を本棚に。
      中村文則さん、初読みなので今から楽しみです。

      ご本人も言ってましたが、若林さんの帯も読んでみたいですよね。ひねってくるのかなぁ~。




      2015/06/21
  • 伊坂幸太郎作品、久々のヒット!!
    ここ数年は個人的にイマイチなものが続いていたので、正直今回も恐々手に取ったのですが、本当にこれは可愛らしい短編集。まさかの恋愛モノ。
    作家本人が言っているように、作品の中にもくすぐったいような感覚が滲み出ているし、愛しい人物ばかりが色んなところで繫がっている伊坂作品らしさも存分に備えた一冊。
    作品同士の繋がりがポコンと出てくる度に、喉の奥でくすくすと笑いが込み上げるような、ずっと見つからなかった宝物が見つかったような、何とも言えない嬉しい感覚が湧き上がって来ます。
    次回作も期待!!!

  • 私もサプライズが嫌いだ。
    「も」と書いたのは、「ルックスライク」で織田美緒や笹塚朱美がそう言ってるから。
    たまたま昨夜見たテレビでも、「サプライズっていうのは実は自己満足的な行動なのである」と言っていて、我が意を得たりと思ったところである。
    現実の生活の中でのサプライズは嫌いだが、小説のサプライズは大好き。
    伊坂さんの作品にはいつもサプライズがある。
    「あ、これがそうだったのか」とか「あ、この人があれだったのか」という驚きがたくさん隠されているから。
    巧妙に名前が伏せてあって、最初は何気なく読んでいくんだけど、途中で「あれ、これってもしかしてあのときの?」と思い当たった時の嬉しさ。ニヤニヤ笑いが止まらなくなる。
    伊坂さんが「恋愛モノは苦手」というのは、おそらくドロドロとした温度と湿度の高い描写が苦手だからなんじゃないかと思う。でもそんな描写がなくても、ちゃんと人の思いや関係性はきちんと現れてて、私はむしろそういうほうが好ましい。
    今回は犯罪方面に突出して異形な人が出てこなかったので、安心して楽しめた。でも織田一真は伊坂的にぶっ飛んでる。
    ラストの「ナハトムジーク」で、ラウンドボーイが取った行動で思わず涙ぐんでしまった。こんな感動は珍しい。そして最後の数行。まさかあの司会者がね、とこれまた心が温かくなった。ちゃんとつながってる。
    ハードな作品もいいんだけど、こういう、ささやかな人生を描いた作品がすごく好き。
    「斉藤さん」の存在は、斉藤和義さんへの愛を感じたなあ。

  • 面白かった。
    伊坂幸太郎さんの短編集です。ご本人のあとがきにもあるようにミステリーの要素はありませんが、読み終わった時にすべてが繋がる嬉しさと一つ一つの物語の読後に感じるほっこりとした気持ちがとてもいいです。オススメ!

  • 伊坂幸太郎さんの恋愛小説新鮮だわぁとワクワクしつつ奇想天外な人が皆無であってもとてもとても楽しめた。あとがきで斉藤和義さんとのくだりや小説の成り立ちを読んで妙に納得。これは映画化されていて三浦春馬くんが主演だったのね。悲しくて胸がしめつけられほどに物語が一層愛おしく。
    時系列を彷徨いながら様々な人が繋がっていくお話は伊坂ワールドならでは。
    ラストのお話に翻弄されながらもハラハラドキドキはたまらなかった。
    伊坂幸太郎さんの本のなかで一番になったかも。

  • 面白かった、読みやすく次々とページをめくった。
    6つの短編からできているが、実は繋がっていて本編で語られなかった部分が見えたりする。

    おしゃれな言い回しや、読者にその先を想像させる書き方が私にすごくハマった。

    一番好きな作品は「ドクメンタ」。
    通帳の件が、なんとも愛おしく好きだった。

  • 期待通りの面白さ。

    時系列の行ったり来たり、登場人物の多さ。
    何回も読み直したりいして、それがイライラじゃなくて
    めっちゃ楽しかった。

    人との出会いの喜びと楽しさを凝縮したような話だった。

    「あなたが心配で!この方が誰の娘さんか知らないのですか?」っていう
    絡まれている人を助ける変な方法がお気に入り。
    受け継がれてて嬉しい。

    映画になったら観たいなぁ。


    斉藤和義もいいなぁ。
    あー、私、とっても好みです。
    女を幸せにはしないタイプに見える。
    ちゃんと働いているのに働いてないみたいに見える。
    きっとそんなことないのに脱力してるみたいに見える。
    魅力的です。

  • 人物が相関し合う短編集。伊坂さんには珍しく、犯罪者もいない暴力もない、泥棒も(ほとんど)いない、ちょっとこそばゆい「出会い」を主題にした作品。

    時も出来事もシャッフルさせていて読み進めないと全体が見えないのがもどかしいけれど、繋がったときの「ニヤリ」感はやはり伊坂作品というべき痛快さ。

    最後の小さなオチも大したキーではないのだけれど、あれがなくちゃ締まらない。読後感も爽やかで気分よく読める一冊。

  • いつかどこかで接点のあった人々の、それぞれ独立しているような、微妙に関わり合っているような人生の一コマを切り出した短編集。
    ある短編の登場人物が、その前の短編に出てきた人物とどんな関係があるのかが最後の最後になるまで上手に隠されていて、それが明らかになった時には思わず「うわあー!」と声を上げてしまった。巧いなあと思う。アオリに『エンターテインメント小説』と書かれていたがまさにその通り。大いに楽しませていただきました。

  • 多くの人が一度は見たり、聞いたり、経験したりしたこと。それはまさにモーツァルトの「小夜曲」と同じで、なんとなく、いつのまにか知っている、存在していた、存在しているもの。
    人との繋がりやそれに伴う影響があるのは当たり前なのに、小説という形になるとより心に響く。
    文字に起こすとちょっと恥ずかしくなるような詩も歌にのせれば人の心を大きく揺さぶるように、この本も紙の上で文字が踊りだし、登場人物たちが鮮やかに動き出し、僕の想像力をかきたて、心を動かす。

    自分にはそんなつもりもなく、力もないと思っていても誰かを励ましているかもしれないし、傷つけているかもしれない。筆者はこの本でそれに善悪をつけているわけではないが、弱者に側に立って書き連ねる。時間が立ってみないとわからないことが多い中で、何がきっかけで変わるかわからないし、変わることができるんだということを教えてくれる。

    それぞれ違う話の登場人物たちが繋がっていく様は、もちろん面白いのだけれど、それはこの本の魅力のほんの一部に過ぎず、本当の面白さは、やっぱり人の心を動かすストーリーなのだと思う。この本が、また誰かを勇気づけることになれば良いのにな、と素直に思う。
    超能力は出てこないけれども「砂漠」に似ているような良作。音楽も小説もも人を突き動かす力という意味では超能力だと思う。

  • 6話からなる短編集。と思いきや、登場人物達が絶妙に絡み合っていた。時系列も前後するので、おやこんなところにあの人がと気付く瞬間が楽しい。最近そういう構成を多く見かける気がするけど、自分が好きなだけかもしれない。
    著者あとがきにもあるように、伊坂さんにしては珍しく泥棒や強盗、殺し屋や超能力、奇抜な設定が出て来ない作品で、最後のナハトムジークで綺麗にまとまり心がほっこりした。本屋大賞にノミネートされているそうで期待している。斉藤さんは斉藤和義じゃないの?なんて言っていたら冗談ではなくてビックリ。

  • 伊坂さんには珍しく普通の人達が主人公。
    登場人物が共通でもバラバラの短編達が最後の話で気持ち良く一つにつながっていく。
    アイネクライネナハトムジーク(=小夜曲)の名前通り、多くの話の結末が夜だったり、アイネクライネが斉藤和義さんの曲のために書かれたことからか「斉藤さん」が出てきたり、と小ネタも面白い。
    登場人物の関係性と時間軸を整理しながら再読したい。

  • 個人的に「待望」だった伊坂幸太郎の新作。
    これまで伊坂幸太郎が発表した作品に関しては、ほぼ全てを読破して
    きた。長編・短編はもちろんのこと、エッセイや企画モノ、アンソロ
    ジー収録作品などを含めた全てなのだが、その中でどうしても入手で
    きない作品があった。この連作短編集に収録されている
    「アイネクライネ」と「ライトヘビー」。
    斉藤和義のシングル、『君は僕の何を好きになったんだろう』の初回
    特典で、もの凄いプレミアが付いていたため手出し不可だったモノ。
    これが読める、というだけで胸がときめいた。ゆえに、評価のハードル
    は高くならざるを得ず(^^;)。
    大したことなかったらどうしようかと思っていたのだけど・・・。

    かなりな傑作だと思います、掛け値無しに。
    伊坂作品としては珍しく出会いや恋愛の絡む短編集なのだけど、
    伊坂節とも言われるキラキラした文章がそこらじゅうでアバンギャルド
    に飛び跳ねている感。お得意の章間リンクも相変わらず絶妙で、短編集
    ではなくてちょっとした長編を読んでいるかのような満足感。完全脱帽
    の上に最敬礼したくなるほど。

    登場してくるアイテムも僕好みのモノばかり。
    終章のナハトムジークが、まさかアレのことだとは、夢にも思わなかった。

    これまでの伊坂作品でいちばん好きだったのは「終末のフール」だった
    けど、この「アイネクライネナハトムジーク」も、いきなりかなり上位
    に来た!

    普通の伊坂作品とは若干毛色が違うため、フリークは戸惑うかも。
    しかし、伊坂幸太郎の世界に慣れていない初心者の方、ぜひ読んで欲しい。
    読了で必ず幸せな気分になれるので!

  • 笑ける感動。喋るかかしも銀行強盗も独裁者もでないけど。あとがきの制作経緯にも驚き

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

伊坂幸太郎の作品

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