竹本義太夫伝 ハル、色

著者 :
  • 幻冬舎
3.80
  • (3)
  • (7)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 41
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344039568

作品紹介・あらすじ

2022年度、最大の収穫!!キュンと切なくて、だけど心温まる、愛すべき傑作エンターテインメント長篇、誕生!届け、この声。あのひとの、胸の奥深くまで。人形浄瑠璃をまったく新しい境地に導いた、“義太夫節の”開祖・竹本義太夫。百姓だった若者が、恋する女のために夢を追い、仲間と共に七転八倒しながら〈新浄瑠璃〉なる芸術を作り上げた。それはまるで、「芝居」のようにドラマチックな人生だった!「語りたいんだす。語らんと、ワテは死んでまう。そんで大勢に聞いてほしい。ぎょうさんの人の心を動かしたい。ワテが見たいんは客が心を震わせてる姿だす。皆が食い入るように人形を観て、語りに笑って、三味線に涙する姿だす」情を語り、人と心で繋がる——。人生のすべてを芸事に捧げ、〈人形浄瑠璃〉に革命を起こした太夫の、波乱万丈な一代記!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 初代竹本義太夫が、艱難辛苦の結果、筑後掾の名前をいただき、近松門左衛門の「曽根崎心中」で、大好評を得、その後、生涯を終える一代記。

    百姓の五郎兵衛は、声が良く、人前で、語るのが大好きだった。
    大阪の浄瑠璃の第一人者、播磨掾の直弟子、料理屋徳屋の主人・理兵衛に見出され、本格的に修行するが、破門になり、京の宇治嘉太夫に招き入れられたが、その後、破門となる。
    物乞いをしている時に出会った、興行師、竹屋庄兵衛と、四条川原で櫓を掲げたが、失敗。
    その後、何度も、挫折を味わいながら、ようやく、道頓堀で、竹本座を挙げる。
    感情豊かな表現が人気となるが、隣に、嘉太夫一座が乗り込んで来て「道頓堀競演」となる。

    天子様から、刀を頂けたなら、身分違いの、憧れの女性に見合う身分になれるかもしれない。
    そればかりを夢に見て、浄瑠璃に励んできた五郎兵衛。

    五郎兵衛に、惚れ込んで、力になった徳屋の娘、お松。

    親から勘当された、五郎兵衛だが、勘当は、解けずに
    逝ってしまったのか。

  • 人形浄瑠璃の絶世期を築いた竹本義太夫の一代記。元禄は上方文化が咲き誇る時代。お松の大阪弁が心地よい。浪速の賑わいが活写されます。近松門左衛門や竹田出雲、歌舞伎の坂田藤十郎などオールスターの揃い踏み。竹本義太夫と近松門左衛門がタッグを組んだ「曽根崎心中」の名調子もたくみに組み込まれています。9月の国立劇場さよなら公演は満席で行けませんが、大阪の錦繍公演では、この作品を思い出しながら生の文楽を観るのが楽しみです。

  • 百姓 五郎兵衛が竹本義太夫になるまでの物語。
    主人公が重要な気付きを得てからの描写に、頁を繰る手が止まらず一気に読んだ。テクニックじゃなく、作品に情感がこもってるのを目の当たりにした時、人(観客)の心が動かされる。っていう当たり前だけど大切な事柄に胸が熱くなる。
    NHKのドラマでも印象的だった、近松門左衛門との関わり。春に見た文楽·曾根崎心中をもう一度見たくなった。願わくば 映像化してもらって人形浄瑠璃(文楽)の裾野が広がると良いな〜と思う。

  • 歴史に名を残す人の小説を
    手にするときには
    巻末の「参考文献」の有無を
    確かめることにしています

    むろん この書も
    そのようにして、手に取った一冊
    粗削りな箇所はあるものの
    いゃあ 楽しませてもらえました

    少し前に
    落語家の 桂文我さんが
    「私は(落語の)古文書も研究させてもらっていますが
     大事なところは その収集だけにとどまらずに
     その(上演されなくなった)作品に命を吹き込むこと
     つまり「情」を醸し出すことなんですよね」
    と ラジヲでおっしゃっていたことを思い起こしました

    義太夫節の元祖、竹本義太夫さんの一代記
    堪能させてもらいました

  • 浄瑠璃の世界の 話だ。いつの世でも芸の世界は極めるためには過酷な修行が必要だ。竹本義太夫の一生を語った小説は感銘をもって読み終えた。最終章での曽根崎心中はあまりにも有名で夢中で読み終えた。

  • 竹本義太夫?
    浄瑠璃…?
    堅苦しい伝統芸能の話と思いきや、
    支えられ、助けられながらも
    ひとりの男が夢を実現する
    痛快エンターテイメント作品!
    恋する男の一途な想いが、
    夢を追う背中を押す。
    目指すは、“天下一”
    その高みを目指すために
    幾重もの殻を破って成長していく様は
    天性の才を生かすも殺すも
    結局は自分次第なのだと
    思い知らされた―。

  • 届け、この声。
    あのひとの、胸の奥深くまで。

    人形浄瑠璃をまったく新しい境地に導いた、“義太夫節の"開祖・竹本義太夫。
    百姓だった若者が、恋する女のために夢を追い、仲間と共に七転八倒しながら〈新浄瑠璃〉なる芸術を作り上げた。
    それはまるで、「芝居」のようにドラマチックな人生だった!

    「語りたいんだす。語らんと、ワテは死んでまう。そんで大勢に聞いてほしい。ぎょうさんの人の心を動かしたい。ワテが見たいんは客が心を震わせてる姿だす。皆が食い入るように人形を観て、語りに笑って、三味線に涙する姿だす」

    情を語り、人と心で繋がる——。
    人生のすべてを芸事に捧げ、〈人形浄瑠璃〉に革命を起こした太夫の、波乱万丈な一代記!

  • 一流になるには努力と運、この時代は今より過酷だったろう。面白く読みました。

  • 竹本義太夫伝ということで興味津々ではあるが、出版が幻冬舎ではとても読む気になれないわ。

全9件中 1 - 9件を表示

岡本貴也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×