解夏 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (499ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344404649

感想・レビュー・書評

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  • 人の善い部分が起こす奇跡に接してきたさださんのの心映えに触れる

    曲の精霊流しを小説にしたり、また風に立つライオンという歌が、俳優大沢たかおさんに請われて映画化されたり、
    その世界観は様々な姿でわれわれの前に現れます。

    そのさださんの世界の根源は、人の善い所を見ているという事。
    作中

    人は心で生きている
    と書かれ、また

    大介のことも咲子のことも、ちゃんと一所懸命に見つめていないのじゃないか?
    と諭すシーンも見られます。

    根は善い人たちによる、感動の出来事がいくつか現れます。
    それはさだまさしという人間が、人の事を良く見て、さらにその人の善い部分、良い部分をみつけようという心映えでできているからこその世界観なんだろうと思います。

    全国を歌い訪ね歩く中で、様々な人を見て、人の善い部分が起こす奇跡に接してきた人だから書ける話なのだと思いました。

    文中仏教を底とする言葉や考え方が多く現れます。
    これを読む私のような人間は「さだ教」と言ってもいいでしょう。
    さださんの節々からこぼれる言葉を胸に受け止めてます。主に月一の深夜番組「生さだ」(今夜も生でさだまさし)で。

    最近は知的好奇心の観点から欲する宗教・哲学への興味が湧いてきておりますので、
    美しい長崎の風景に心惹かれながらも、神社仏閣を見に行くのに何も長崎や京都に行くまでもなく、先ずは関東圏の人間ですので鎌倉があるだろうと思い立ちました。

    中学生の定期テスト、そして大学入試センター試験の際一度全て叩き込んだはずの鎌倉時代の仏教大きく6つ、教祖と教義の特色、有名な寺社。鎌倉の寺の格付け。
    そういったものを改めて、歴史背景からほぐし接することをしてから鎌倉を訪いたいという欲望がむくりと私の中にもたげたので、またまた読みたい本が増えたなと言ったところです。

    しかし解夏という作品、映画化されているわけですが、というか映画になっていたことでこの作品があるという事を知ったわけなのですが映画という表現でこの解夏のシーンはどう描かれているのでしょうね。隆之の視界をそのままカメラに投影し、乳白色なんて映したら野暮ですからねえ。

    最近は映画を見ずに原作を見てどんな演出をするのか心を巡らすのが楽しかったり。

    蛇足ですが解夏のなかで安吾の話が出てきます。
    私が読んでいる「7SEEDS」というマンガに出てくる安吾というキャラクターが夏のチームに属しているのですが、安吾とはこういうことなのか、と合点がいきました。
    こうやって、全然関係のない作品の中で自分のシナプスが連結する瞬間を感じる事が出来るのも、いろんな本を雑多に読むことの愉しみの一つでございますね。

  • 東京で教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、職を辞し、母が住む故郷の長崎に帰った。そこへ東京に残した恋人の陽子がやってくる。この先の人生を思い悩む隆之。彼を笑顔で支えようとする陽子。ある日、二人はお寺で出会った老人から「解夏」の話を聞く―。表題作他、人間の強さと優しさが胸をうつ、感動の小説集。

  • 家族の温かみが感じられる。

  • 優しさにつつまれた作品。失明していく恋人に寄り添う女性と長崎の風景。ダムの底にある故郷と初恋の人と少年と私。ミステリー的な展開。三人に幸あれ!

  • 解夏、秋桜、水底の村、サクラサクの4本。どれもハッピーエンドな終わり方で優しい気持ちになれるお話

  • 4つの短編集からなっています。
    それぞれ違う視線があり、行き方の参考になる話です。
    表題の「解夏」より「水底の村」がなんか好きになれました。

  • 支える側のつらさはちろんあるが、支えられる側のつらさが垣間見れて感じられる。そのつらさこそ相手への愛情なのだと思う。
    舞台となった街へ訪れてみたくなる。

  • 短編集。ちゃんとした小説でした。特に解夏は良かった。なんでもない文書の中に心を揺さぶる一言が出てきて胸が熱くなる。さすが詩人だけあって、短文、単語が洗練されてる。世界観もしっかりしてるけど、全体的に現実認識が若干甘い気がする。ファンタジーにまで昇華し切れてないっと言うか。人生を語るには中途半端。

  • #73 「秋桜」がすごくよかった
    信州なまり、蜂、護るべき家族

    さだまさしさんってすごい才能なんだなぁ

  • ふるさとは誰にでもあるのだと改めて思いました。

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著者プロフィール

一九五二年長崎市生まれ。シンガーソングライター。二〇〇一年、初小説『精霊流し』がベストセラーとなる。『精霊流し』をはじめ、『解夏』『眉山』アントキノイノチ』『風に立つライオン』はいずれも映画化され、ベストセラーとなる。その他の小説に『はかぼんさん―空蝉風土記』『かすていら』ラストレター』『銀河食堂の夜』など。

「2021年 『緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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