裏本時代 (幻冬舎アウトロー文庫 O 67-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344406728

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  • 立花隆と竹中労にあこがれライターの道に進んだ左翼青年の著者は、『噂の眞相』に記事を執筆していた先輩ライターにみちびかれて、当時裏本の世界で「帝王」にのし上がった「新英出版」の会長・草野博美、のちのAV監督村西とおるに出会います。その人物の熱量が著者を動かし、新英出版が出資して刊行されたサブカル雑誌『スクランブル』の編集長を引き受け、二人三脚でスキャンダルとトラブルに立ち向かっていきますが、会長の放埓な経営のために、やがて『スクランブル』は休刊へと追い込まれていきます。

    村西とおるという人物のコミカルでパワフルな人物像が活写されていることが本書の一番の魅力ですが、往年のエロ業界のアンダーグラウンドっぷりを知る著者の証言という意味でも興味深いノンフィクション作品です。まだ駆け出しのライターだった当時の著者が暴力団とわたりあう場面などもあり、その胆力にも驚かされました。このあたりからも、お行儀の良い現代のサブカルチャーが元来こうした来歴をもっていたことがうかがわれて、おもしろく読みました。

  • アウトローな稼業のノンフィクション物語。大麻を吸いながら、裏本で莫大な稼ぎを上げ、写真誌に乗り出し、出版業界を騒がす。今でも名の残る登場人物が生々しい。更に、ナイスですね!で有名な村西とおる。この人が手掛けるビジネスのスケールの大きさや文章からも溢れ出る独特の雰囲気は圧巻である。

    ーほんとうにしびれちゃうんだよね、こんなんで売れると思ってんのか?こっちは昼夜にわたってからだ張って生きてるっていうのに、おまえらは全然緊張感がないまま手抜きで仕上げようとしてるんじゃねえのかー村西とおるの生き方は、凄まじい。緊張するような仕事の場数を踏み、リスクを取る血の滾るような生き様。

    決して褒められる仕事ではないが、欲望に向き合うビジネスは、確かに社会に存在している。目を背けず、学べ。

  • 最高に面白いノンフィクション。

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著者プロフィール

1956年、所沢市生まれ。著述家。早稲田大学政治経済学部卒。逍遙と実践による壮大な庶民史をライフワークとしている。著書に『東京最後の異界 鶯谷』、『上野アンダーグラウンド』『迷宮の花園 渋谷円山町』『全裸監督』など多数。

「2018年 『色街旅情 紙礫EX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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