黒龍の柩 (下) (幻冬舎文庫)

著者 : 北方謙三

• 幻冬舎 (2005年10月1日発売)

作品紹介・あらすじ

時代は激しく動いた。徳川慶喜は朝廷に大政を返上。江戸幕府は終焉を迎える。だが新政府は追討令を発し、江戸に進軍を開始する。遂に土方歳三らは、壮大な計画に踏み切った。徳川慶喜を極秘に蝦夷地へ。数十万の幕臣を呼び、豊富な海産物・鉱脈を利用し独立国家を設立する。男たちの夢は、果たして叶うのか。新・幕末歴史小説ここに誕生。

感想・レビュー・書評

[ななこさんの感想 · 2013年2月17日]

なんとっ…こういうラストできましたか！（驚）

極寒の蝦夷地で、志を持って華々しく散ったのが土方歳三。
自分の中ではその最期に美しささえ感じていたのだけれど。
なるほど、こういう意外なラストもありかもしれない。

もしかしたらファンであるほど、受け入れられないかもしれないけど、
ある意味、これも夢があるかもしれないなぁと思いました。

西郷の描き方がとにかく酷くて、ちょっと笑っちゃいましたが。
（そして榎本や大鳥も、土方に比べると小者に見える…笑）

今までのがむしゃらな土方像とはまた違った姿を見せてくれて、
とても楽しかったです。北方さん、ありがとう！！

[asley076223さんの感想 · 2010年7月19日]

好き嫌いが分かれる本。
荒唐無稽に思えるけど、流山以降の副長は個としての闘いに明け暮れた印象があるので、これはこれでアリかなぁと。
完璧な土方に、あまり魅力は感じられなかった。

[あやごぜさんの感想 · 2008年11月26日]

副長！ついていきます！って感じで土方さんがカッコいいっす。
ラストについては(ファンは特に)賛否両論分かれるところでしょうね。
まぁ、あくまでフィクションなので、私はこれもアリなのかな。と思います。

[naomi33さんの感想 · 2023年1月3日]

構想は独特で面白かった。登場人物の、特に土方さん以外の心理描写がもっと欲しい。文章の書き方と雰囲気は好き。

[シキモリさんの感想 · 2021年8月23日]

今作は土方歳三が主人公の新撰組小説という形態を取っているが、幕末という乱世の世に見果てぬ夢を追い求めた男達の群像劇でもある。立ち憚る【史実】という制約がある以上、箱館戦争を如何に盛り上げるのかがポイントになるのだろうが、その観点から言うと、終盤での失速感は否めないし、タイトルの意味合いに繋がるラストのサプライズを仕掛けるにはキャラクター像の掘り下げが少々甘かった印象。しかし、滅びの美学と評される新撰組の自己破滅的なパブリックイメージに対し、仲間と共に壮大な夢を追いかけるロマンティストな土方像は斬新だった。

[カイさんの感想 · 2021年3月4日]

蝦夷地への逃避行にかなりページ数をさいているが、先のわかっている歴史物でこの展開は飽きる。
かなりグダグダ。
かなり力の入った蝦夷地新国家の構想は、実際に龍馬は考えていたようなので、それ程独自の展開ではない。
土方がやたらあちこち行くのもご都合主義で嫌。
場面や誰主観なのかをしばしば見失う。

[ucchiyさんの感想 · 2020年5月14日]

ハードボイルド土方歳三。
なんだか完璧すぎてあまり好きになれませんでした。

[kemsukeさんの感想 · 2019年3月20日]

土方様を見ていて、私は男の闘いがどういうものか、知りました。死ぬために闘おうとはされない。闘って死ぬ覚悟はお持ちであってもです。

ハードボイルドって、もっと脂っこいものを想像していた。いや、私が鈍感なだけなのか？いずれにしろ、燃えよ剣、壬生義士伝、地虫鳴くに続く新選組４作目。相変わらず彼らの、決してヒーローにはなり得ない、しかし男としての生き様には憧れます。

[Στέφανοςさんの感想 · 2019年3月6日]

著者：北方謙三(1947-、唐津市、小説家)
解説：相川司(1951-、東京都、評論家)

[ralopbearyさんの感想 · 2019年1月3日]

土方さんが近藤さんと袂を分かつというのは、いつも自分の中でしっくりこないのだけど（漫画の影響が強いのかもしれない）、きっと新選組を離れるにはそれなりの意味があるのだろう、と思っていた。
それが北に新国家をつくる計画というのには、納得まではいかないけど、農民から成り上がった武士としての夢、一人の男としての夢を感じ、ワクワクさせられた。

著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ（全五十一巻）で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成（下） 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」