- Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344413603
作品紹介・あらすじ
ホラー作家の道尾は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房・瑞祥房を訪ねる。彼がその夜見たものは、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で血を流す仏像。しかも翌日には仏師が一人消えていた。道尾は、霊現象探求家の真備、真備の助手・凛の三人で、瑞祥房を再訪し、その謎を探る。工房の誰もが口を閉ざす、二十年前の事件とはいったい。
感想・レビュー・書評
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【真備シリーズ2】
作中ホラー作家の道尾が訪れたのは、滋賀県の山中にある仏像の工房。
そこで急遽、宿泊した夜中、笑う千手観音、血を流す仏像、聞こえてくる「…マリ…マリ…」と声。
ホラー体験慣れしている道尾は、悲鳴を上げて失神しない(笑)
東京に一旦戻り『霊現象探究所』真備と助手:凛と3人で再び仏所を訪れる。閉鎖された仏像工房と隣接する瑞祥寺。20年前の事件と失踪した人たち。
反転を繰り返し、哀しい真相へ導かれた。釈迦如来、菩薩、明天など、仏像のお勉強をしつつ、後半から怒涛の展開。一気に結末まで読まされた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
真備シリーズ二作目。今回は滋賀県の仏像を作る工房が舞台。
♪チャチャチャチャッ!チャチャチャチャッ!チャ~チャ~という音が聞こえてきそうな、非常に火サス的な作品で、是非二時間ドラマ化して欲しい感じ。
デビュー作の「背の眼」より更に洗練された流れで、こちらも長編ながらすぐに引き込まれ、あっという間に読了。仏像が好きなので、仏像が沢山出てくる設定にもワクワクした。犯人が決まってから先が少し長く感じたが、最後まで飽きさせない展開だった。
狭い世界で何が正しくて何が間違っているか分からなくなる事は良くあり、それが一番怖いと思うこの世の中。視野を広く持ち、自分を客観視する事は大切だ。 -
仏像、仏所、宗教それらの専門的な知識があればこそ成り立つトリックというより真実で
ホラーはあまりなく最後まで理屈で説明できる
謎の解明で前作の背の眼よりも好きな終わり方でした。
死体を,仏像の中に入れてるのだろうなーとは思ってたけど、最後まで綺麗に分からず楽しめた。
珍しいウンチクも盛り沢山で仏教や仏像の由来などなど面白かったです。
幽霊が怖いと思う人でなければ幽霊系のホラーは成り立たない分、
私は幽霊や非現実的のホラーは怖くないので、
人間の恐ろしさで描くホラーのほうがリアルでゾッとするから、これは後者よりで個人的には好きでした。 -
'21年8月14日、読了。道尾秀介さんの「真備庄介」シリーズ、2作目。
これも…とても面白かった!また、イッキ読みでした。読み終わってしまうのが、残念な程の作品。
「人の想い」のすれ違いが生む、悲惨な事件…やりきれなさ、哀しさを、感じました。トリック、伏線回収、サスペンスなど、毎度の道尾さんの凄さを、今作でも充分楽しみましたが…一番好きなのは、その「物語性」とでもいうもの、なのかな…なんて、改めて思いました。
このシリーズ、あとは短編集が一作あるらしいので…是非読んでみたいと思います。 -
めちゃくちゃ面白かった!誤解が不幸を招き、遊び心が鬼を呼んだ。道尾が体験した心霊現象が解き明かされていくのも面白かったし、全員が異なる真実の上で会話を重ねていたのに、会話が成立してしまってたのも興味深かった。
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デビュー作である「背の眼」がおもしろかったので作家道尾と霊現象探求家の真備と助手・凛のシリーズ2作目
仏像を作る工房が舞台となっていて、仏像という神聖なもののようでいて、でも暗がりやずらっと並ぶさまは不気味に思えたり仏像の両性ぽい造形からくる神秘性をうまく作品に落とし込んでいると思った
前作の「背の眼」でもそうだったんだけども犯人の悪意や作為のもとに事件が起こるわけではなく、ちょっとした人間の行動がもたらすボタンの掛け違いの連鎖が悲劇になっていくのが特徴だと思う
でも強烈な、それこそ昨今流行りの因習村的なものよりも個人的には物語とは人間同士のあいだに起こり得る意思の疎通やその齟齬からなるものだと感じられて好きだ -
”笑う仏”、”血を流す仏”、”ばつ2”、”返却された仏”どれも物知りでないと
分からないトリックや理由で真備さんでないと解けなかったさすが名探偵。
最後が衝撃的だった。
毎回事件を持ってくる道尾くん、何かしらやってくれる道尾くんが愛くるしい。 -
真備シリーズ2作目。仏像をつくる工房を取材中に道尾が体験した怪現象の謎を解くために、真備と凛も調査に赴くと……ホラーミステリーだけど、今回はかなりミステリー寄り。心を込めて作られたたくさんの仏像に囲まれた中での殺人。事件解決後も重いものが残る。救いとは。
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道尾秀介のミステリー小説。
ホラー小説家が主人公で、知人の探偵役
が、仏師達がタブーとしている20年前
のある事件について、謎解きに挑む。
主人公と探偵の関係は、島田荘司の作品
に登場する、御手洗を連想した。
伏線は、後の解決編で見事に消化されて
いて、完結に至るまで無理のないストー
リーであった。 -
中学生のころ、何の取り留めもなくイオンで購入した初めてのミステリー小説でした。それまでは山田悠介などばかりを読んでおり、本格的なミステリーは初めてでした。
内容も詳しく覚えておらず、特に刺さった記憶もないのに友だちに薦めて貸したという思い出がある本。