有頂天家族 二代目の帰朝 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1536
レビュー : 130
  • Amazon.co.jp ・本 (539ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425828

作品紹介・あらすじ

狸の名門・下鴨家の矢三郎は、親譲りの無鉄砲で子狸の頃から顰蹙ばかり買っている。皆が恐れる天狗や人間にもちょっかいばかり。そんなある日、老いぼれ天狗・赤玉先生の跡継ぎ"二代目"が英国より帰朝し、狸界は大困惑。人間の悪食集団「金曜倶楽部」は、恒例の狸鍋の具を探しているし、平和な日々はどこへやら…。矢三郎の「阿呆の血」が騒ぐ!

感想・レビュー・書評

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  • 久々の!有頂天家族!読み出すとあっという間にぽんぽこワールドにもっていかれ、電車で読んでて乗り過ごすこと3回(多すぎるわ)、最後は徹夜して読んでしまいました。
    もりみー節が炸裂し、たぬき達の愛すべき阿呆さに笑い泣き、もうめっちゃ最高でした。矢一郎兄さんの不器用な恋にニマニマしたり、地獄から颯爽と連れ帰ってくれた弁天さんに惚れたり、海星ちゃんの毒舌の裏に隠された健気にもほどがある健気さにキューンとしたり、井戸の中の蛙だった矢二郎兄さんの旅路を応援したり、不死身で仇敵の早雲すらどこか憎めないと思ってしまったり。全部のお話が面白くて、一生懸命で熱くて適当なぽんぽこ狸達にすっかりやられました。
    これは三部作になる予定なんですね。次はいつ出るのかなー、楽しみです!!

  • 「古代の王政」

    物語の面白さ、大団円、ラストシーンの憂いといった物語体験そのものの楽しさはもうみんな認めることだろうと思うから、楽しかった!面白かった!のひとことふたことで充二分。

    その上で、この物語における人間、天狗、狸の関係性について。

    三つ巴、三方塞がり、いろいろと言い方はあるだろう。

    しかし、およそこの自然においては三つ巴とか三方塞がりとかさんすくみ、ピラミッド、ハイアラーキー、三権分立という形態は理想なのかもしれない。

    3という数字は決して阿呆の数字ではなく緊張感がうむ深遠なる美しさを表すように思える。

    三権分立とは、それぞれ相互に重ならない権力を持ち、相互に監視し、持ちつ持たれつの関係性を作る。

    これら三つの権力は互いの境界を侵犯することは法の精神から赦されない事だ。

    「三権分立が理想ぢゃ」と言ったのはモンテスキューが最初ではない。

    ルネサンス期の偉大な思想家ニコロ・マキャベリも古代ローマを参照しつつ「古代の王政」を評価した。

    というより、モンテスキューがマキャベリを参照して三権分立を着想し提案した事は意外と軽視されているし、「マキャベリ思想即ち非共感・簒奪・現実主義である」などと自己啓発・ビジネス書界隈で履き違えられている事は唾棄すべき現象だ。

    古代の王政とは即ち、古代ローマにおける独裁官(執政官)・元老院・市民(民会)の三権力である。

    独裁官による暴政を元老院が監視・阻止し、元老院の無能を市民が監視する。

    当時の市民権は民兵のみが持っていたから、市民が都市を捨ててカンピドーリオの丘に立て籠ればローマは蛮族の侵攻から無抵抗となり、資産持ちの元老院はそれを恐れた。

    そして、三権においてどこかがどこかの境界を侵犯せんとすると、いわゆる政治的不安定が起きる。

    カエサルのルビコン渡河、ワイマール憲政下の国家社会主義者労働党、フランコ総統、そして・・・

    この物語における架空都市「京都」も人間・狸・天狗という三主体が相互的な緊張・協力関係にある事がわかる。

    赤玉先生は二代目と弁天という人間界から攫ってくるという人間界に対する侵犯、夷川早雲は狸でありながら金曜倶楽部に与する狸界への裏切り。

    こうしたそれぞれの境界侵犯が天狗大戦云々といった大騒動を巻き起こす。

    しかし、主人公矢三郎もまた、狸でありながらに境界を侵し、天狗と狸の間を、狸と人間との間をうごうごする。

    この物語を通じて、それぞれの持ちつ持たれつという、ほどよい関係性の大切さ、甘えて甘えられるという事の自然さを実感する。

    自然でほどよい関係性とは即ち優しさに他ならない。

    P.367「私はいつでも優しかったわ」

    この台詞の重さが染み渡る。

    そしてなぜ彼女は優しく可哀想なのか。

    それは自身が人間でもなく天狗でもなくましてや狸でもないというボーダーラインの心性であるという点に他ならないのではないか。

    こんなようにも思う。

  • 今回はシリアスな場面多し。それを象徴してるのがラストの矢三郎と弁天の2人っきりの場面じゃないかしら。ちょっとちょっと!胸がどきどきしちゃったじゃないの。いつもの阿呆な矢三郎は何処いった?雨脚が強まる沖。ひっそりとした洋館の中。涙をぽろぽろこぼす弁天の髪を撫でる矢三郎。想いも淋しさも悔しさも孤独感も何もかも全部ひっくるめて、全てが届きそうで届かないって感じ?決して成就することはないとお互い分かってる。矢三郎はやっぱり弁天のことが好きなんだろうけど、弁天は矢三郎のこと恋愛対象じゃないと思うの。ただ今弱っちゃって、矢三郎の優しさや愛情に甘えてしまったんだと思う。そんな想像しちゃったら、辛いよね。しんみりしちゃう。弁天と二代目は、憎しみあってるけど心の奥底で求めているものは同じなんじゃないかしら?まぁそんなこと人間のわたしには想像もつかぬこと。だって彼らは(人間だ、天狗にならないとほざいたところで)天狗なのだから。

  • 一作目より面白く、読み終わりたくなかった…

    毛玉たちがかわいすぎる。
    色んなドラマが巻き起こり、赤玉先生もなんだかかっこよく、早雲にも見事に化かされ、阿呆の血も愉快。
    淀川先生も大活躍の狸愛。

    弁天も怖くてかわいくて、次巻が楽しみすぎる。
    最後気になる!

  • 愛すべき狸たち。
    京都の街。

  • 今回も面白かったー!
    前作登場のキャラ一同皆パワーアップ。且つ、新キャラがどれも濃い!!
    今作はロマンス要素組み込まれてて、ファンタジー色は強めになってます。
    前回に比べ、弁天の印象が変わったかも…。

  • 阿呆の血のしからしむるところだ。
    かわいい狸の毛玉4兄弟と 個性豊かな登場人物。
    わたしにも「下鴨矢三郎、参上いたしました」と言って健気な子がきてくれないかしら。

    個人的にはおばあちゃんがすき。

    読むのに少し時間がかかったけど 京都に行って かわいい有頂天家族みんなを ぎゅーっとしたくなるお話です。

  • シリーズ2作目。
    今回も人間と狸と天狗がドタバタする話。いろんな事件が絡まり合って次から次へと騒動が持ち上がる。
    今回はタイトルが二代目の帰朝となっているので、この二代目がさぞかし重要人物かと思ったがそうでもない感じ。騒動の本筋は前作からの続きと言って良く、二代目が帰ってきたから騒動が持ち上がったわけではない。狸界を仕切る立場を巡っての騒動で、その周辺に厄介な人が登場したり、二代目や弁天が絡んだり。
    そして今回は終わり方がなんだか切なく、前作のような爽やかな終わりではない。次回作のへの含みなのか?

  • 有頂天家族3部作の第2作目。
    物語は1作目に引き続き狸界の偽右衛門選挙と今作では天狗界の2代目争いという跡目騒動が繰り広げられます。
    相変わらず魅力的なキャラクターとこの世有らざる不思議現象も相まって、ドタバタしつつワクワクの止まらない展開でした。
    今作では跡目争いを軸に様々な陰謀で事件が勃発しストーリーが進んでいきますが、狸、人間、天狗の恋路にも更に1歩踏み込んだ展開となっていて、個人的には所謂恋愛漫画のような好意の話ではなく其々の立場や心境から出る含みのある台詞回しが印象的でした。
    偽右衛門と狸界の結婚式という大舞台がひとまず区切りがついたところで、3部作といわれるこの作品の最終着地点がどうなるのか非常に気になります。
    其々事情や立場がある中でもこの作品に於いて「悪」と言い切れるキャラクターはいないと思っているので、
    弁天様も海星も矢三郎も皆が幸せになれる結末を楽しみにしています。

  • 私の知らないうちにこのシリーズはアニメ化されていました。狸や天狗の登場するケバケバした原色という印象の強いこのお話は、まさにアニメ向き。あの「千と千尋の神隠し」のような世界観です。
    京都を舞台とした狸の頭領一家の物語。その頭領の下鴨総一郎を父に持つ三男の矢三郎が主人公、彼には代々受け継がれてきた「阿呆の血」が流れています。このお話には様々なアクの強いキャラクターが登場しますが、今回は老ぼれ天狗の赤玉先生の後継ぎである美青年の二代目が英国から帰ってくることから始まります。彼らは1人の女性を巡って100年前に親子で死闘を繰り広げた経緯があり犬猿の仲。今回も決闘を繰り広げるのですが…
    その赤玉先生が恋い焦がれる美女、弁天と二代目との曰くつきの対決やら矢三郎の兄の長男矢一郎と結婚相手の将棋の好きな玉蘭、矢三郎の許嫁、海星の秘密など…登場するのはどれも愛すべきキャラクターばかりで読んでいくと逢いたくなるのでした。

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著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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