殺人鬼にまつわる備忘録 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 695
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427921

感想・レビュー・書評

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  • 【設定の勝利】
    どうも!ぶろろぐです。
    18冊目読破になります。

    表紙のインパクトが凄すぎて書店で手に取り、数ページ読んで買うことを決意しました。(文庫本の黄色文字でかでかと書いてあるVer)
    ゲス殺人鬼超能力者を記憶障害の一般人が追い詰めていくお話です。
    続きが気になりページをめくる手が止まりませんでした。不可能と思われる難題をどうクリアしていくのか、主人公の思考を追っていくのが楽しかった作品です。
    二度騙されるのはどういう意味だろう。考察見てみます。
    主人公刺されてもだいぶ意識あるなあとは思いました。

  • 『 警告!
    自分の記憶は数十分しかもたない。 思い出せるのは事故があった時より以前の事だけ。 』

    どうやら私は新しい記憶を留めていくことが出来ないらしい。 手元にあるこのノートだけが私の過去を知れる記憶媒体のようだ。
    『今、自分は殺人鬼と戦っている。』


     自身の記憶が数十分しかもたない主人公と他人の記憶を意のままに改竄できる超能力者、2人の記憶破断者の対決を描くストーリー。
    主人公側が絶対的に不利なのだが改竄できる記憶を持ち合わせてないという唯一の武器を手に立ち向かう。 この主人公かなりの切れ者でリセットされる記憶に対しての適応能力が半端ない。 殺人鬼側も傲慢な利己的な部分が表立つが能力を使用した狡猾な策略は抜け目が無い。
    特殊設定を用いた知略サスペンスから小林泰三らしいブラックなオチは鮮やか。

  • 【最悪でゲスな殺人鬼】の文字に惹かれて購入。

    どんな内容なのかとワクワクしながら読んだら、記憶が数十分しか持たない男と記憶を操作出来る超能力男との闘いだった。

    超能力の時点で激萎え。
    そんなの求めてないから。
    しかも、同じシーンを双方の視点から書かれてるから同じ様な文を2度読んでるみたいな事が度々あるし。

    徳さんって言う謎のおじいさんも、会話教室の先生も味方なのかと思ってたら、結局記憶障害の男の記憶がなくなるって部分を利用しようとしてて味方ではなかったっぽいし。

    記憶なんて曖昧だってのを知らしめたらしいけど私にはチンプンカンプン。

  • 記憶できない男と記憶を改竄できる男(殺人鬼)の対立劇。相変わらずの微グロシーンと、いい意味で気持ち悪いセリフのやりとりが小林泰三さんらしさ。
    自分の頭の中にある記憶と、ノートに書かれている記録とどちらが「真実」なのかも考えさせられる。雲英の能力もいいように使えば、すごく役に立つ能力なんだろうけど。

  • 最初はあまりにも胸糞展開で、何度か辞めようかと悩んだが、読み進めると意外と面白かった。
    「記憶を改変する能力を持つ怪人」と 「記憶が数十分しかもたない探偵」。この相容れない2人が出会ったことにより起こる化学反応に気づいたら夢中になっていた。

  • 記憶が数十分しかもたない男が殺人鬼に挑むミステリー。
    記憶がリセットされてしまうため何度も繰り返す主人公の思考を読むにつれ、読み手には不安や混乱が蓄積されていく。不確かな記憶に頼りきっている自分に気づきゾッとした。
    登場人物はごく少ないのに、先が気になる緊張感で一気読みだった。
    そしてラストの不穏さ。主人公が不憫になる。

  • 好きな作者の方のミステリーで今回もハラハラしながら一気みできた。
    途中の古田さんが出てきたあたりからの殺人鬼との攻防や、ノートだけでうまく生活していく様子なんかも楽しく読めた。
    ただラストはよくわからなかった。この作者さんの小説でしょっちゅうラストで??ってなるからそういう人だと割り切るべき??私の技能不足で読み取れてないだけかもだけど読み終わって疑問に思ったところをメモしておくので読み解けた方がいたら教えてくれると嬉しい。

    北川先生はどうなったの?
    キラは??
    徳さんは何者だったの??
    「夏生」は誰なの?
    最後の女は夏生なの??
    なんで二吉の部屋にいたの?

    徳さんと夏生と最後の女についてはほんと謎。
    似た設定?続編?があるようなのでそっちも読んでみようと思う。それで上の疑問が分かるといいな。
    ノートにあえて書かないでメディアを隠すところなんかはすっきりするトリックだったけどいまいち時系列とかがわかりづらかったかもしれない。
    あと電車でキラが痴漢をでっち上げた時、喫茶店でのことをキラは「昨日」、二吉は「数週間前」って表記してたのはただのミスなのか二吉の記憶障害を利用したトリックなのか私はわからなかったのでこっちも誰か一緒に考察してもらえたら嬉しいです。

  • 普通は大人になる前に怒りの感情を抑えないと自分が損することを学習して覚えるが
    稀に学習できない人間がいて、そのような人物は社会不適合者とされる
    この文章にとても感銘をうけた。

    ラストは気味悪く、他の作品を読んでいないのでちんぷんかんぷんだったが、序盤からずっと面白く
    ページを捲る手が止まらなかった。
    記憶を書き換えられるのはとても怖い
    されていないと断言できないのも怖い

    最終的に北川先生はどうなったんだろう…

  • 記憶が数十分しかもたない主人公、というもうどうやって話を進めていくんだか分からないキャラクターが主人公、しかも殺人鬼と戦うというストーリーを面白く進めていくのがさすが小林泰三先生。
    読了したのがかなり前なので細部がうろ覚えだけど、最初は同じ「なにも知らない」ところからスタートするのに、次第に主人公よりも読者のほうが知っていることが多くなり、「志村後ろ後ろ!」状態になるのが印象的で面白かった。

  • 記憶が数十分しか持たない主人公と触れた人間の記憶を自在に操れるクズ という構図は最高に面白いんだけど、売りにしている衝撃のラスト というのが不明瞭。あと主人公が報われない。

    登場人物の整理と掛け合いをもう少し上手に書けていれば星5

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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