- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344429864
作品紹介・あらすじ
大学生の出流は将来を見失い、閉館間際の東京国立博物 館で絶望していた。すると突然、どこからか大量の水が湧き上がり、異空間へ流されてしまう。助けたのは、舟に乗った謎の美青年・朧だった。展示ケースから現れた、煙管を手にした金魚や埴輪の犬も加わり、二人は心を通わせていく。しかしある日、朧が消えて……。切なく優しい博物館ミステリ。
感想・レビュー・書評
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博物館内がヴェネツィアの運河化している。観光とか遊覧なら楽しそうな木舟だが……。ちょっとした失敗が尾を引いて、好きな事が心の傷になるのは悲しいね。渡し守・朧と大学生・出流の交流は、最初こそカウンセラーとクライアントのように見えたが、最後にはその関係が変化して良かった。脇役も基本的に優しい。とくに途中から登場した懐こい埴輪犬が、癒し担当かのごとく元気をくれた。モフモフはなくとも賢くていい子だ。
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背ラベル:913.6-ア
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博物館が急に河になったらビックリしますよね!
まさかの生者と死者の境界線なんて……
煙管を持った金魚が愛くるしかったです!
もう少し登場して欲しかったです!
埴輪のケルベロス可愛いです!
ペットに欲しいです!
でも、突進されたら痛いですね……笑
朧ツンデレ具合が……好きです! -
一応は短編連作の形だが、個々のエピソードに短編として完成度はあまりなく、長編とみた方が良さそう。気弱で、色々ダメダメな主人公と神秘的な美形の関係性を描くファンタジーもの。有り体に言えばよくある話で、その分、そつなくまとまっている。船上で振る舞う菓子を朧がミュージアムショップで買っていて、その代金の原資が渡し賃(160円)だから、小銭ばっかというような、変な生活感が漂うディテールがおかしい。
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大きな流れや変化が無く、話の長さのわりに内容が薄くて物足りない。
設定もあっさりしすぎていて謎が色々残ります。 -
東京国立博物館にある、常世と浮き世の境、嘆きの川。迷い混む人の嘆きで、水量や流れが変わるその川で、嘆きや自分を投影していた展示物と対話したり、船頭にお茶と菓子で持てなされ、説得されたりする。
主人公の声が大きいので好みは別れそうだが、船頭のキャラクターとの対比で良いバランスになっている気がする。埴輪犬可愛い。
アケローンと聞いて、ギリシャ神話に精通する人はすぐにわかったんだろうなと思うと、教養は大事なものだと改めて思う。彼の嘆きは、誰かに必要とされることだったのだろうか。 -
博物館に現われる狭間の世界。呼び寄せたのは彼の絶望。
不思議と不思議が重なったその先は、出流の覚悟と想いが出口を示してくれる。