殺人依存症 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1827
感想 : 142
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344430259

作品紹介・あらすじ

息子を六年前に亡くした捜査一課の浦杉は、その現実から逃れるように刑事の仕事にのめり込む。そんな折、連続殺人事件が勃発。捜査線上に、実行犯の男達を陰で操る一人の女の存在が浮かび上がる。彼女は一体何者なのか――。息をするように罪を重ねる女と、最愛の家族を失い死んだように生きる刑事。二人が対峙した時、衝撃の真実が明らかになる。

感想・レビュー・書評

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  • 多くの読友さんの既読本、9歳男子小学生、15歳女子高生が惨殺される。熟練した誘拐手口から、刺し傷、口腔や肛門に凌辱した跡がある。また、顔面が殴打され酷い状態。読んでいて精神病的な犯人への怒り感情がむき出しになる。さらに1人の女性が登場する。この女性は幼少時に曽祖父、祖父、叔父から毎日のように性行為を強要される。今回の殺人は女性を我が物にしたい男性の欲求により、結局は複数の子どもが壮絶な死を迎えてしまう。不条理的内容は胸糞悪かった。初の櫛木作品だったが、黒櫛木を堪能する反面、刑の超厳罰化が必要だと思った。⑤

    『大人を頼りなさい、救いを求めなさい。「でも、助けてくれる大人なんて、本当にいるの?」』  子どもにこのように思われてしまう状況、本気でやるせない。。。

  • 櫛木理宇『殺人依存症』幻冬舎文庫。

    今月は幻冬舎文庫のミステリフェアということで面白そうな作品がドドドっと刊行された。その中から3作を購入したが、本作が最後の3作目となる。

    初読みの作家。連続殺人事件を描いた警察小説である。富樫倫太郎『SRO』シリーズの近藤房子みたいなサイコパス女が出てきて、非常に面白い。書き下ろしなのに、この完成度は凄い。また気になる作家が増えてしまった。

    プロローグから女子高生への集団痴漢と拉致・連れ去りといった犯人たちの異常な企みが描かれ、この後の展開が気になる。犯人に辿り着くための証拠がネットワークの壁に阻まれる現代社会に於ける警察捜査の難しさにはリアリティと共に恐ろしさをも感じる。

    6年前に7歳の息子を亡くして以来、妻と娘との関係がぎくしゃくし、家族と離れて暮らす捜査一課の刑事・杉浦は仕事だけを生き甲斐にひっそりと生きていた。ある日、女子高生暴行殺人事件が発生し、杉浦は捜査に駆り出される。さらには捜査中に小学3年生の男子が行方不明となり、その背後に女子高生暴行殺人事件と同じ正体不明の容疑者と犯罪集団を操る謎の女の姿が浮かび上がる。

    犯罪集団はあっさり捕まり、凶悪な犯行が暴かれるのだが、その後の予想だにしない怒濤の展開に驚かされた。犯罪集団を操った恐ろしいサイコパス女の正体は……

    そして、余りにも恐ろしい結末。

    本体価格790円
    ★★★★★

  • 今作も序盤から強烈な嫌悪感が湧き起こる。

    これは被害者に心を添わせたら心が負けそうと思い、とにかく無に徹した。

    淡々と読み進めるうちに見えて来た黒幕女。
    次第に惹き込まれる黒幕女。

    壮絶なこの生い立ちによる人格形成に言葉を喪う。

    まさに人としての心を喪う、人でなくなる過程を見せられた気分。

    ネット社会の闇、進む低年齢化にも危険なサインを感じながら、嫌なざわめきと共に追わずにはいられないこの物語の行く末。

    さすがに読後は浦杉刑事の心の慟哭には寄り添わずにはいられなかった。

    すごい女だ、その一言。

  • すいません、心が疲れました。

  • No. 24い013M,7
    読了日:2024年 1月30日

    この物語は女子高生が痴漢被害にあい、その後に死体として発見されるというところから始まります。

    始めからエグい内容、描写なのですが、物語が進んでいくにつれエグさがどんどん増していくような気がしました。
    特にラストは視界が歪んだような錯覚がおこったような気がする程こわかったです。

  • 陳腐な言いまわしだが、親はみな「うちの子に限って」と思っている。わが子はずっと幸福に平穏に暮らしていくものだと、なんの根拠もなく信じている。些細なつまずきはあれど、大きな災厄になど見舞われまいとたかをくくっている。
    だがある日、彼らは気づかされるのだ。この世に例外はないと。誰しも足もとに、ぽっかりと黒い陥穽がひらく瞬間がある。わが子だけが、災厄から逃れられるはずはなかったのだとー。(P.33)
    煙草や酒で心を保ってるやつがいる。風俗通いや、ギャンブルに依存してるやつだっている。みんな同じだ。みんな、心の支えがほしいんだ。
    人間はみんな弱い。弱くてなにが悪いんだ。強くないは罪か。強いやつしか生きてちゃいけないのか。(P.183)
    しかし風聞は教室の底を這い、水が紙に染みるように着実に広まっていった。(P.283)
    わたしたちはみんな、自分のちいさな世界に閉じこもって生きている。インターネットで瞬時に世界と繋がることができるようになったのにーううん、そうなればなるほど、なぜか自分の世界は縮こまり、まとう殻は硬くなっていく。(P.295)
    「わたしはさ、もう、糞でいるのが楽なわけ。逆にやさしくされたり、いたわられると落ちつかない。平気で踏みつけにしてくる人のほうがさ、裏表ないように思えて、安心したりすんの。ー」(P.323)
    ー記憶を司る海馬を、見えぬ手で摑まれて揺さぶられる感覚であった。(P.330)
    息子を強姦された挙句、殺され、バラバラになってしまった家族。痴漢や強姦などの犯罪心理が少し分かったような気がした。ホイホイついてくる女が悪いみたいな思考は見下されているような感じがして、女性を社会的弱者と見なす考え方がまだまだ根付いて残っていると感じた。キャリーケースに入ってた死体を「どっちだと思う???」と問いかける浜真千代がホラーでしかない。内容が暗く、最後までイヤミス要素が多くてスッキリしない話だが、スラスラ読めてしまう不思議さ。

  • ❇︎
    普通だと思っている世界のすぐ隣にある、
    悪意に満ちた世界。
    その存在を知りながらも、見て見ぬ振りをして
    目を逸らす現実。
    小説を読みながら、架空であってほしいという
    切実な思いと、一瞬先の自分たちかもしれない
    という恐怖を感じました。

    〜〜〜〜〜〜〜
    6年前に小学生の息子を失って、
    家族から離れて一人で暮らす刑事。

    息子の死から立ち直れず信仰を捨てた母。

    弟の死を悲しみながら、家で居場所の無さを感じ、
    両親からは自分の存在に目を背けられていると
    感じている姉。


    残酷な殺人事件が発生し、犯人を追う中で
    過去の事件との接点が見え始める。
    姿を隠す主犯と従犯、恐ろしいほど巧妙に人を
    煽動する手口。

    身勝手な思考で他者をモノと感じる加害者の
    歪んだ心理は嫌悪を感じます。

    それは犯罪者特有の心理なのか、人がヒトとして
    生きるために保っている倫理や理性を放棄した
    結果なのか、はたまた放棄しなければ生きて
    いられないからか分かりません。

    強者が弱者を征服し、弱者は己の身を守るために
    さらなる弱者を作り強者へ差し出す負の連鎖。

    • ぷみさん
      はじめまして。
      ブックリストをみて、本棚も覗かせていただきました。私の好きなジャンルの本がたくさんあったので、フォローさせていただきますね^...
      はじめまして。
      ブックリストをみて、本棚も覗かせていただきました。私の好きなジャンルの本がたくさんあったので、フォローさせていただきますね^_^
      2022/05/01
  • 最初から最後まで読み進めるのがしんどかった。
    早々につらくなり、これはフィクションだと言い聞かせながら何とかページを括る。

    1つ前に読んだ「アンハッピー・ウェディング」とはだいぶ違くない?!
    櫛木さんすごい!!こんなにしんどい本を書けるなんて!!

    私も痴漢や変態に何度もあったことがあるし、
    将来娘や息子も(!)電車通学する可能性があることを考えると、恐ろしくてたまらなかった。

    そして最後のあれは何!!(涙&怒)
    救いがあるものと期待して読んでいるのに少なくなるページ。
    悲しみと怒りが抜けない。
    それと同じくらい、面白いと思えるのが複雑。

    ああいう人に出会ってしまったら、というか目をつけられてしまったら、運がないと諦めるしかないのか。
    そして我が子達がサイコパスにならないようにするにはどう育てたらよいのか。
    読後も本の世界から完全に抜けられない。

    イヤミス大好きでなければおすすめしない本。
    引っ張られるとかなりつらいので、覚悟を決めて読んだほうがよい!

  • しんどい辛い
    想像も共感も脳内再生も極力少なくして読み進めた

    誰も幸せじゃなくて、幸せにならなくて
    理由も無く悪意を向けられてしまう恐怖
    女子供が死にまくる

    しかも、リングで井戸の遺体を発見したのに貞子の呪いは解けてなくて愕然とした、あの時のような気分になるラスト

    依存症シリーズがあと2冊あるらしい
    心が元気な時に読もう

  • 初めての櫛木作品。

    他の方のレビューの通り胸糞悪い内容でしたが、私個人としてはサクサク読めてしまいました。いや?内容が内容だけに読みたくない部分を無意識に読み飛ばしていたのかもしれません。
    ともあれラストはそう来るかといった感じの終わり方で、続編あったりするのかな?なんて勝手に思ってみたり。ただ、読み終えた後に改めてこのタイトルは、個人的にちょっとしっくり来なかったかなぁとゆう印象が・・・。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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