日本の難点 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 174
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344981218

作品紹介・あらすじ

現代とは「社会の底が抜けた時代」である。相対主義の時代が終わり、すべての境界線があやふやで恣意的な時代となっている。そのデタラメさを自覚した上で、なぜ社会と現実へコミットメント(深い関わり)していかなければならないのか。本書は、最先端の人文知の成果を総動員して、生きていくのに必要な「評価の物差し」を指し示すべく、「現状→背景→処方箋」の3段ステップで完全解説した「宮台版・日本の論点」である。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに宮台節を味わいたくて再読しました。
    高校の時に出会って以来、著者からは良くも悪くも影響を受けましたが大学進学し以後自分の専門分野を研鑽していく中であらためて氏の著作に対して感じるのはこれらは宮台思想でありアカデミアの中で一般に受け入れられている訳ではないということと、意外?と適当な根拠で主張を構成している(そして賢い?のはそれを指摘されても言い逃れ出来るような論理を準備している。真の論点はそこではないみたいな)ことです。
    氏の主張をあまり真に受けると現実世界で痛い目を見ることがあるので特に若い方には気をつけて頂きたいなと実際に痛い目を見た自分は思いました。
    氏から学んだ大事なことの1つは、アカデミシャンがまるで学問的根拠があるかのような口振りで人間の生き方について論じ始めたら眉に唾をつけた方がいいよということです。

  • 社会学の知識がほとんどない自分にとっては、かなり読み応えがあり、とくに著者の主張については難解な内容も多い1冊でした。それでも何とか読み切れたのは、著者の考えのベースにある、「底の抜けた社会」を感じていたからかもしれません。

    自分にとって、依るべきコミュニティは存在しません。家庭も、地域も、家族も、会社も、ネット社会も、自分がなすべき役割を演じる場、つまりロールプレイの舞台でしかなく、「素の自分」を受け入れてくれるコミュニティにはなりえないといえます。
    結局どこに行ってもうわべの付き合いしかできていないし、それゆえに友達や師と仰ぐ人物に出会うこともありません。とはいえ、現代社会がうわべの付き合いしか許さない社会だと理解しているので、私はそこで生きていくしかないと割り切っています。
    実際には、うわべではない、心からの付き合いというのが、現代社会にも残っているのかもしれません。自分もそれを見つけられれば、本当の意味での友人や師を得ることができ、人間的にももう一段二段と成長できるのかもしれませんが、そうだと信じるにはまだ時間がかかりそうです。

    さて、この書籍は、米国でオバマ大統領が就任した直後、日本で民主党が政権を奪う前に書かれたものです。政治的な見解については、日本の民主党の政策に重なる部分があるのですが、著者がその後どのように考えているのか、興味を持ちました。これはもっと新しい著書に書かれているのだと思いますが。
    底の抜けた社会、自分の感覚ではコミュニティが存在しなくなった社会で、声の大きな人間が皿に声を張り上げるようになっています。社会の歯止めが利かなくなっているんですね。著者の宮台氏は、基本的にそのようなクレームを一切真に受けない、声の大きなものに決して迎合しないという態度を取っていますが、それだけ自分の発言に自信と責任を持っているのだろうと感じました。

    ただ、正しいというのとは違う。政治も社会も教育も同じですが、人の判断は「必ず」誤る、そして「判断しないこと」も判断だという立場にいます。だから誤ることを前提とした社会の構築が必要であり、現代の日本社会に決定的に欠けているのが、誤り前提の視点だということです。この考え方は自分の中にはなかったし、非常に印象深く受け取りました。
    社会自体が誤りを受け入れていないから、目の前の問題を解決すればよくなるか、それでダメなら社会全体をひっくり返すしかないと考えてしまい、結局何ら手が打てなくなる袋小路にはまっています。
    それをどうすればいいのか、自分にはわかりません。宮台氏も何かを伝えようとしているのですが、自分には難解で理解しきれませんでした。

    最後に、
    「周囲に『感染』を繰り広げる本当にスゴイやつは、なぜか必ず利他的です」。
    このフレーズは、すごくわかる。リーダー論でもあり、自分が師を見つけられない理由にもつながってくるのではないかと思うのです。

  • 現代の日本が直面しているさまざまな問題に対して、著者が解決の道筋をクリアに示した本です。

    著者には、一問一答式でさまざまな問題に答えを示した『これが答えだ!』(朝日文庫)という本もありますが、本書はそれよりももう少し説明が詳しく、とくにパーソンズやルーマン、ギデンスといった社会学者たちの考えを現実の問題に当てはめる著者の「手つき」を見て学ぶことができるという意味で、たいへんおもしろい本だと思います。

    「生活世界」が自明視され、便利な「システム」を利用すると素朴に信じられていた時代が「モダン」(近代)であるとすれば、「システム」が生活世界の全域を覆ってしまい、社会の「底が抜けた」感覚が広がるのが「ポストモダン」です。ポストモダンでは、人びとは共同体のくびきから解き放たれて、あらゆることが再帰的な自己決定の対象となります。正統化の危機に直面するポストモダンにおいても、社会が回り続けるためには「みんな」への「価値コミットメント」が必要です。そして、ミードとパーソンズに始まる現代社会学は、「如何にして「みんな」への「コミットメント」は可能か」という問いを追求してきたのだと著者は述べます。

    その上で著者は、ロマン主義的な「生活世界」への回帰を唱える「馬鹿保守」を批判し、「システム」の全域化というポストモダンの現状を認めた上で、「生活世界」を再構築することに向けての再帰的なコミットメントを主張し、「社会の自立」と「社会的包摂」が急務だと論じています。

  • 20130328読了。
    わかる人はわかってくれ、という印象で、内容はさておき、その姿勢に共感できない。
    肝心の内容だが『確かに確かに』とうなずきながら読めるところもあるが、『で、結局何が言いたい?』となることが多かった。簡単なことを小難しく表現しているので、正直分かり難い。
    2009年時点での問題はわかったけど、読み終えて自分の中に何も残らなかった。

  • 初版から干支が一回りしているのに論旨が全くぶれていないことと難点が相も変わらず難点であり続けている事実を突き付けられて驚き、おののく。

    この十二年でこれらイシューへの氏の対処はより過激で直截的な言動に変わった。もどかしかったのだろう。
    「クズ」「ケツナメ」「ウヨ豚」「ヒラメ・キョロメ厨」「言葉の自動機械」「法の奴隷」・・・。
    これらのキャッチが生まれる前夜、起源が余すところなく記されていて興味深い。
    「これがのちのケツナメである・・・」というナレーションが聞こえてきそうだ。

  • 本著から10年過ぎて日本情勢はどう変わったのだろうか。肌感覚ではあまり進展を感じない事の方が多い。むしろ諸外国との付き合い方、日本の立ち位置では難度が増しているのかもしれない。感染症による世界レベルの危機、オリンピック延期など日本にとっては改めて自国を見つめ直すチャンスなのかもしれない。難しい話も多々あったが、今だからこそ考えさせられる一冊だった。

  • 社会学者の宮台真司氏が、現在(2010年発行)の日本が抱える様々な問題について語った本。

    何やら小難しくて訳が分からない部分も多々あったが、こんな風に色んな角度から日本について語れるその知識に圧倒された。

    世界にも日本にも、どうにもならないような問題に満ち満ちている事があらためてわかった。

  • 読みながら再読しなくちゃ。と思った稀有な本でございました。

  • 再読したい

  • 視界を晴らしてくれる本。
    食、農業への言及が勉強になった。

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著者プロフィール

社会学者。東京都立大学教授。近著に『14歳からの社会学』(世界文化社)、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(幻冬舎)など。

「2021年 『崩壊を加速させよ 「社会」が沈んで「世界」が浮上する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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