- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344982703
感想・レビュー・書評
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◎買
違う方向から物語を書く方法がイメージできる。じっくり何度も読みたい。創作脳をマッサージしてるイメージ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロラン・バルトによって「作者の死」が宣告されて以降、小説のオリジナリティについての神話が解体され、作品は「テクストの宇宙」の中で相互に影響され合って生成するという見方が現われるようになりました。
本書は、こうした立場から、さまざまな小説の相互影響関係を例に取り上げ、そのサンプリングやリミックスの妙技を味わうとともに、既存の作品をうまく模倣することで新たな作品を作り上げるための実践的なトレーニングを示しています。 -
対立と変換
<対立>は、たとえば正義と悪、火と水や空と土、若者と老人、出産と死、口と肛門、東の王と西の魔女、わがままな姉とおとなしい妹のような対立要素からなる構造である
神話のバリエーションは、その基本構造をまったく逆のものにしたり、高次のものを低次にしたり、人を動物にしたり、悲劇を喜劇にしたり、さまざまに<変換>した結果生まれる -
思い切ったタイトルだが、小説を書くお奨め本。過去の文学者たちがいかに先人の「型」を踏襲してきたかが記されている。漱石の「猫」も実はドイツのホフマン「牡猫ムルの人生観」という先例があり、インテリらしいシャレと「猫」の死亡通知まで真似たということ。村上春樹がカフカ、ドストエフスキーの型を取ったことも紹介されている。日本の古代から本歌取りが教養や機知を示す優れた藝術として取り上げられてきたことも、当然かもしれない。パクリの名人、寺山、渋澤龍彦のことも楽しい。最後は小説を書く指南に。模倣を恐れずに書きなさいということ。いくつかの小説のパターンがあるということは既視感を感じさせられることが多いだけに納得できることである。宮崎駿「ナウシカ」がフランスのマンガ巨匠メビウスの模倣だが、メビウスは宮崎に感謝し、娘にナウシカと名を付けたということは心温まる話である。
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作家という人種は絶えず周囲からネタやヒントを探し続け待ち受けているもの。周囲に転がっているものからどれだけ想像力を働かせクリエイティブなものを作り上げるか。そこに作家の真価が問われる。
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う~ん、著者の言っていることはわかるんだけど、小説をつくりだす人の苦悩に対してのリスペクトが感じられない。
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アマゾンで買ったのですが、そこのレビューを見るかぎり酷評されていますね。小説の模倣論については、そもそもが人間の思考がそれほど大きく変わらないので、似たようなものになるんじゃないかと思うのですが、読むほうがそれを見分けられるようになるのが大事なのでしょう。
この本の中で、民話や昔話では、物語を構成する要素を分類すると31まで絞り込めるとするプロップの「昔話の形態学」の研究や、物語が単語を連結して文章を構成する「構成」と同じ位置で単語を選ぶ「選択」の2つの要素からなるとする研究とかからも、同じモノができてしまうなという予感はさせられる。身近なところでは、世界中の神話などでも、国づくりから始まって神が人間を作るストーリ展開はほぼ共通ですから、あとは物語を考えた人がどのような体験をして何を考えてきたかという多様性を効果的に表現できればオリジナル小説になりそうな気がします。
私は書きませんが、これから小説でも書いてみようと思う人にはぐっと小説への敷居が下がるきっかけの本となりそうです。 -
今までいろいろな小説を読んでいて漠然と感じていたことを、わかりやすく整理してもらったという感じ。村上春樹の初期作や谷崎潤一郎・江戸川乱歩・金井美恵子あたりはけっこう好みなので、彼らが影響を受けた外国の作品や彼らに影響を受けた人々の流れがわかってうれしかった。ライトノベルやケータイ小説の位置づけについても、そんな風に言っちゃっていいのかなぁと思う部分はあるものの、大筋は納得。第1章が一番おもしろく、第3章は自分で何か書いてみる気がない限り読まなくてもよいと思います。
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後半は再度読み直してもいいかも。168頁から。